第389話 デートは始まらない【side伊勢成実】

『これでいいかな?』


鏡を見ながら確認するんだけどちょっと自信がない。

自分で言ったことだけどデートって言っちゃった…。

あたしらしく無い?らしくは無いけど…立花からあたしってどう見えているのかな?どう思っているのかな?



『よし!』


朝10時気合いを入れて家を出る…!

柄にも無く自分らしさってなんだろう?って悶々としちゃったよ!

あたしは立花の家へ向かう。



☆ ☆ ☆

望『あ!なるみちゃん?ごめんねー!急に?』


さっきさ?急に立花の妹ちゃんの望ちゃんから電話がかかってきて。

望ちゃんの言うには兄ちゃんが寝てしまってること、ラーメンお出かけ楽しみにしていること、…うなされてて寝不足で珍しく眠れているからギリギリまで寝かせてあげたいから申し訳ないけど家まで迎えに来てくれないか?って事だった。


(…うなされてるんだ…かわいそうに…。)


そう思う感情と、


(あたしはドキドキして5時起きして準備してたのになぁ)


ってちょっと残念な感情がせめぎ合っていた。

迎えに行くのは全然良いよ、だって家近いし。

歩いて5分ちょっとだしね。

でもきっと意気込みが緊張感が違う。

もし香椎玲奈相手だったら?



そんな事をもやりつつ立花家へ到着。

何度か来てる立花家。

体育祭の衣装や望ちゃんとの登下校、ダイエットでもよく訪れているお家だね。


呼び鈴を鳴らすと…



ひー『へらっしゅー!!』


ひーちゃん!立花家の末っ子のひーちゃん!

5歳になったんだよね?


『ひーちゃんこんにちわ!』


ひー『おっぱいちゃんこんにちわ!

かわいいおようふくだね?にあってるよ!』


ニコニコひーちゃんは褒めてくれる!

…でもおっぱいちゃんは恥ずかしいよぅ。


望『あー!なるみちゃーん!いらっしゃーい!

…すごい可愛い!』


玄関先で両手をハイタッチ!

バレー部の頃に点決まるとしてたっけ。

ひーちゃんもぼくも!ぼくも!って両手でハイタッチ!


『それでさ?立花は?』


あたしが尋ねると望ちゃんは不思議そうな顔したあとニヤリって笑うと、


望『…はい!あたし立花!』


そのやりとりを聞いたひーちゃんも


ひー『ぼくもたちばなだよぉ!』


ふふ、そうだよね。


『お兄ちゃんの方の立花くん居るかな?』


あたしが笑顔で微笑みかけると、


ひー『ぼくもおにいさんになるたちばなだもーん!』


望『うーん、うち皆んな立花なんですよ?

困ったなぁ?誰の事かな?』


ひー『みんなたちばななんだよ!』


そりゃそうだけど…にやにや望ちゃんを見て意図がわかった。

この娘!あたしに兄ちゃんを名前呼びさせたいのだ!

※香椎家でこんな事あったって承に聞いた望の策略です。


別に…名前呼びくらいで…。

中2からずっと一緒のクラスで…登下校だって一緒にしてるしけっこう親しい関係なんだよ?

立花とあたし…。


立花…たちばな…


名前は知ってる!当たり前じゃん!

でもなんで?なんでこんな恥ずかしいのか。


望ちゃんがニヤニヤしながら、


望『ほら!ほら!なるみちゃん!

言えんのか?おい!言えんのか?!』


なんか変な煽り入れてくるし!

ひーちゃんは横でわくわくしてる!



別に?普通じゃん?

そんな意識する方がおかしいっしょ?

たかが名前で…呼ぶだけ…。


しょ…しょう…。


私は頬が熱くなるを感じながらにこやかに望ちゃんに尋ねる。



『承くんは起きたかな?』


!!!


思ったより!思ってたより可愛い声が出ちゃったよ!

もっと普通にテンション上げないで淡々と言ったつもりだったの!

なんか可愛い女の子って感じの…そう、それこそ好きな人の事を尋ねる女の子の声出ちゃったー!!


望『イヒヒ!なるちゃん可愛い!

今日は服装も可愛いけど、『承くんは起きたかな?』萌えー!!

もう一回言って?今日は承くん呼びね?』


『望ちゃん?』


あたしは照れ隠しで怒ったフリをする!

望ちゃんはごめんごめん!って謝りながら家へあげてくれて、


望『明日からの修学旅行でなるみちゃん推薦の銀閣寺〜哲学の道〜南禅寺を自由行動の日行く事になったのー!

風光明媚な遊歩道でしょ?あたしにぴったり!雰囲気ありそー!』

※望らしい展開が待ってます(笑)詳しくはNTR宏介にてw


ひー『にーちゃんねんねしてるから2かいへどうぞ?』


『え?まだ寝てんの?』


あたしが素っ頓狂な声を出すと望ちゃんは顔を曇らせ、


望『毎日うなされてて…なるみちゃんがこんな可愛い格好で用意して来てくれたのに失礼だと思うんだけど…久しぶりにぐっすり寝てて…。

なるみちゃん、ごめんね起こして連れて行って?

ラーメンも奢らせるし、今日はこの事ダシに振り回して?

…きっとその方が気分転換になる…。』


そんなになんだ…。


祖父母は旅行中で、望ちゃんとひーちゃんももう少しすると修学旅行用品の買い物でお母さんが迎えに来てお出かけらしい。


望『だから兄ちゃん夕飯も無いんでどっかで夕飯も済ませるように言っといてください。』


『立花に言っとく?』


望『この家は立花しか居ませんが?誰の事ですかぁ?』

ひー『たちばなだぞー!』


なんでそんなに?


『承…くんに言っとく…。』


望ちゃんは満足そうに、


望『承くんによろしくー!』

ひー『よろしくー!!』


そう言うと2人に2階へ上がる階段へ押して行かれた…。



☆ ☆ ☆

古いお家だから階段が急!

今日はスカート長めだから気を付けよう?

人の家の階段ってなんでこんなに違和感あるのかな?

階段上がって右側が望ちゃんと…承くんのお部屋だった。


こんこん。


静かにノックをする。

…寝息…?

そっとドアを開ける…


入って正面は望ちゃんスペース。

趣味の良い綺麗なワンピースが掛けてある。

…おやつ多くない?


右手を見ると…。


…承くん…。


仰向けで気持ち良さそうに眠っている立花承がそこに居た。


そっとあたしはベッドの端っこに腰掛ける。

静かに起こさないようにはじっこに。


承『くぴー。…くぴーー。』


『ふふ。』


やっぱり兄弟なんだよねひーちゃんと似てる。

口元とか望ちゃんぽくもある。


少しはだけた毛布から首元が見える。

ジャージは結構はだけててインナーのダボっとしたTシャツは引っ張られて鎖骨がチラり。


『大人の男になったような子供のままのような…。』


私は立花…承くんの寝顔を飽きずに眺めていた。

いけない事ってわかってるけど机の上を見る。

綺麗に整頓されている。

目を引いたのは倒された写真立て…?


そこには香椎玲奈とのツーショット写真。

…あたしにはすぐにわかった…中学の修学旅行時に撮られたものだ。

かたわらにやはり伏せられているのは…お弁当作成券?

…香椎玲奈の字だった。




胸になにか激しい感情が渦巻くよ!

なんでこんなに?


あたしは感情の赴くままのベッドに腰掛ける。

今度はハッキリわかる場所に。



承『…うぅん…。』



妙に色っぽい声を出すにドキドキしながらあたしは…!



☆ ☆ ☆

成実選択肢


→ 『そろそろ起きて?』布団から出た手をそっと取ってキュっと握った。

   (2人して真っ赤になっちゃうジレ甘ルート)

  耳元に口を近づけて『起きてよ、デート行くんでしょ?承?』と囁いた。

   (じゃれあって承が男なんだって意識ルート)



どっちなんだい!?

※締切りました!コメントありがとうございました!


コメントで多かった方の展開にします(笑)

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