第369話 挟まれひーちゃん

ひーちゃん4歳、数日後には5歳になるよ!

嬉しいな、楽しみだな!誕生日早く来ないかな!

今日行けばいよいよゴールデンウィーク!

…なんか兄ちゃんは1日泊まりがけで出かけちゃうらしいけど…。



それでも数日後誕生日を立花家の末っ子ひーちゃんは楽しみで仕方ない!

…でもね?幼稚園へ行くと、


ニナ『…明日からまたひーちゃんにあえない…さみしいよ。』


彼女はニナちゃん(5)

同じもみじ組の女の子でおままごとのプロ。ニナちゃんとおままごとした男子はみんなニナちゃんが気になっちゃう魔性の女の子。

おませなニナちゃんは全然なびかないひーちゃんにくびったけ。

何かふたりで組になると必ずひーちゃんを狙う肉食系女子なのだ!


ニナ『…ひーちゃんもさみしい?』


今日はしっとり攻めてくるニナちゃんから目をそらすひーちゃん。

目をそらした方からやってくるのは…



優姫『ひーにいちゃん♪ゆうきとあそぼ?』


最近知り合ったばかりの優姫ちゃん(3)

弟が欲しいひーちゃんが男の子だと思って弟にしよう!兄ちゃんみたいに守る宣言をプロポーズと受け取った可愛い女の子。プロポーズされた日に目覚めて女の子らしい可愛らしい格好してくれるようになった!って優姫ママ大喜び。


ニナちゃんはムード出してるとこに優姫ちゃんが遊びに誘って来たから大慌てでカットに入ります。


ニナ『ゆうきちゃん?ひーちゃんは私とお話ししてるからあっちでともだちとあそんだら?』


優姫『ひーにいちゃんあそぼ?』


優姫ちゃんはそれをスルーします。

ひーちゃんは思います、


(ニナちゃんからにげるためゆうきちゃんとあそんであげようかな?

ゆうきちゃんはまだちいさいしぼくおにいさんだもん!)


ひー兄ちゃんって響きに弱い末っ子は優姫ちゃんに向き合おうとするけど…

なにか心のなかで騒ぎます…?少し様子をみようかな?


優姫ちゃんはあどけない笑顔で、


優姫『おばちゃんはほっとこ?ゆうきとあそぼうよ♪』


ピシ!氷が割れるような音がします。

ひーちゃんの勘は正しい。


ニナ『…ゆうきちゃん?わたしまだ5さいだよ…?』


優姫『2さいもとしうえはおばちゃん。

ニナちゃんはおなじクラスでしょ?

いまはゆうきにゆずって。』


ニナ『…こむすめ…!』


優姫ちゃんは一歩も引きません。空気がビリビリしてきました。

おばちゃん!こむすめ!幼稚園らしからぬ罵りあいにひーちゃんは震えます。

ひーちゃんはまだ幼いながらも過去の経験から成功例を必死に探します。


(にいちゃん!)


ひーちゃんは長兄の承くんを参考にします。

にいちゃんだったらどうするかな?

280話 初めての修羅場 参照


(にいちゃんだったら…こうするよ!)



ひーちゃんは威嚇し合うふたりの間に入り


『けんかしないで?みんなであそぼ?』


ニナ『…ひーちゃんはだまってみてて?このこむすめにわからせてからあそぼ♪』

優姫『…いまおばさんどかしたらあそぶからまってて?』


空気はビリビリを通り越してバリバリしてきました。


ふたりは静かに両手で押し合いをはじめます。


ニナ『…!』

優姫『…!』


無言なのが余計に怖いです。

1学年上で誕生日も早いニナちゃん有利ですが優姫ちゃんは一歩も引きません。


どうしよう?ひーちゃんはまた過去の事例を必死に思い出します…。

女の子がつかみ合い…その仲裁…?

しかしひーちゃんには心あたりがありました。


☆ ☆ ☆

少し前、立花家


家に帰ると望姉ちゃんが親友sのお姉ちゃんたちと楽しくおしゃべりしてて…。

お姉ちゃんたちはひーちゃんを可愛がって楽しく和気藹々したJCおしゃべり。



でもね?


緑『は?』

きい『は?』


お姉ちゃんふたりが些細なことから言い合いに。

言い合いから両手で押し合い、力比べみたいな感じでJCつかみ合い!


茜『がんばれー。』

望『どっちがつよいの?』

芹『…もう、ひーちゃんも見てるしやめさせて?』


芹ちゃんの言葉に姉ちゃんがカットに入ります、

ふたりの間に望が身体を入れて緑を芹が、きいを茜が引き離し…

ふたりとも引き離されながら顔を見合わせて笑い合います。

引き離された2人を見ながらお姉ちゃんはドヤ顔で、


望『ふぁいっ!!』


望が手をクロスすると皆んな笑い転げましたw

げらげら笑い合ってお腹かかえて大笑い!


お姉ちゃん達は楽しそうでしたw


☆ ☆ ☆

さすがねえちゃん!こうゆうときに使うんだね?

ひーちゃんはふたりの間に割って入ります!


ニナ『…ひーちゃん…。』

優奈『ひーにいちゃん…?』


ふたりは顔を見合わせてだいすきなひーちゃんを前になんとも言えない雰囲気…。

ふたりに笑いあって欲しい、その思いからひーちゃんは望ちゃんをイメージして一歩引き…。ふたりの前で手をクロスしかけて…。



ひー『これだめなきがする…。』


お姉ちゃんと違い大惨事の予知ができる幼児でした。

ふたりの間に挟まりながら困り果てるひーちゃん。


ひー『…どうしよう…。』


ふたりはひーちゃんに聞きます。


ニナ『ひーちゃんは!』

優姫『どっちがすきなの?』


ひーちゃんは悲しい顔をしながら、


ひー『…ぼく…けんかきらい。』


ひーちゃんはけんかの悲しいところをこんこんとふたりに説明します。

ふたりは黙って聞いて、黙って握手しました。

目を合わせないので決して仲良しじゃないけどひーちゃんが悲しむってわかったんだね。



ニナ『みんなであそぼっか?』


優姫『…そうだね。』


ニナちゃんの提案に優姫ちゃんも頷きます。

ひーちゃんは…。


俊輔『ひーあそぼ?』


ひー『遊ぶ!!』


俊輔くんは砂場で黙々大作を作る職人気質の男の子。

最近仲良くなってきたひーちゃん待望の男友達!

ふわっとした仲良しは多いけどひーちゃんは兄ちゃんにとっての宏介くんみたいな親友が欲しい!


ひー『まったねー!』


ひーちゃんは嬉しそうに俊輔くんについて行きました。

ニナちゃんと優姫ちゃんはぐちぐち旦那の悪口を言い合う若奥さん同士のおままごとを初めて結構盛り上がりました。



ひーちゃんもうじき5歳、ちょっと承兄ちゃんに似てきたね…。

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