第368話 GWの誘い【side香椎玲奈】

もうじきゴールデンウィーク!

今年はどうかな?去年は連絡取る術が無かったけど今年は?

承くんから何かお誘いあったりして!

忙しい私は割り切ってオフの日、詰め込んだ日を設定してゴールデンウィークの予定をたてる。

4月末の三連休は部活、勉強、家族とお出かけ。三日平日をはさんで四日祭日のうち…

初日と最終日だけ用事が詰まる。

5月の連休2、3日目だけはオフになるよ!


…そう思ってたんだけど…。

承くんから珍しく電話来てね?


承『…そっかあ。残念。』


『…うん、残念だね…。』


ことごとくね?予定が合わないの…。

承くんのバイトと私の部活と全く逆で。

お互い諸々の予定が立て込んでて…。


5月連休初日なんて友達と釣りに行くってすっごい喜んでて?

…最初から相談して1日だけでも合わせれば良かったなぁ…。

そうは思うけど先約を破るなんて出来ないし今年のゴールデンウィークは残念!って事になった。


望ちゃんが北翔の練習参加に行く話しや青井くんたちと釣りに行く件の話しを聞いてちょっと一緒に行きたいなって思った。

いや!男の子と外泊なんてしないよ!

でも絶対楽しいだろうなあ。



☆ ☆ ☆

さて、私はやっちゃったなー。って思ってる。

目の前にはニコニコした厚樹くんが座ってる。

ここはターミナル駅と東光駅の間の駅の駅前。


そこのカフェに私と厚樹くんはいる訳で…。


厚樹『…それでね?その時承が…』


(私の知らない承くんの高校生活ぅ!)


話しは聞かざるを得ない…。

事の発端はあの厚樹くんの帰郷からだった。


☆ ☆

私のところには毎日膨大なロインが来る。

カテゴリーとして分けるなら、

家族、親友、友達、知人、同級生みたいな分け方。

そのうち同級生って結構多くて、中学時代、今の高校と。


半分より少し多く男子からロインが来る。

近況報告からなにか相談、事件の話。

そしてさりげないアプローチから直接的なお誘いまで様々。


私は基本一対一で応じない。

グループでとかこの間の同窓会みたいな企画とかなら受けるけど男子と2人きりなんて基本断っちゃう。丁寧にね。

でもそれでもまた誘う人も居るし、誘い無くなる人も居る。

でも同級生たちは私が多分応じないって知ってるから大体軽く誘ってダメだよね?みたいなリアクションで引いてくれる。


ところが最近連絡取り出した厚樹くんはそれを知らないんだね…。

ロインも話題豊富で爽やか。

見た目も格好いいから女子ウケしそうだけど最近私にグイグイ来るんだ。

先日再会して、アドレス交換した私たち。

何かあればロインしてね?って言ったけど思ったより頻度が高い。

…まあ先日の会では感動して泣いてたし、級友たちとの再会を御膳だてした私に感謝してくれてるのかも知れない。

承くんの話だと色々あって大変だったらしいし人との繋がりに飢えているのかも知れない。

同級生は私が男の子と2人きりで出かけるなんてしないってわかってるけど厚樹くんは知らないだろうし…。

(承くんと婚約関係は別だよ!)


そんな訳でこの1ヶ月ほど結構な頻度でやり取りはしていたんだよね。

私はたわいも無いことを厚樹くんは東光の事や自分のバイトの事、承くんの事、承くんのバイト先のこと。

…ついつい私が見れない承くんの生態の話し聞きたさに私もロインを返しちゃったり。


そしたら厚樹くんが帰りにお茶しない?って誘ってきた。

…私は忙しいし、男の子とお茶は基本的にしてないって断った。

そしたらある日ね?



厚樹『承のことで話せないかな?』


ドキっとした。

何かあったのかな?どうしたんだろ?

私は迷った挙句、ターミナル駅の一個手前の厚樹くんの最寄り駅のカフェで落ち合う事になった…。



☆ ☆


目の前の厚樹くんは楽しそうに笑いながら話している。

髪を先日より短くして笑う姿は女性の目を集めるだろう。

…私も目立つ容姿に天月の制服で注目されやすい。

良く無いなぁって思いつつ、


厚樹『そこで承がさ?真面目な顔で『また来る』って。

来るなって言ってるのに。』


『絵が浮かぶよ。』


話は確かに承くんのこと。承くん話しに私は笑いながら続きを促しちゃう。

その話も厚樹くんも承くん大好きでしょ!って話しの内容。

本人は隠してるつもりだろうけど信頼と愛情が見え隠れ。

…やっぱり私のライバルは目の前の男の子の可能性が…!


私がライバル心を抑えていると厚樹くんはとんでも無い事言い出す。


厚樹『でも、びっくりした。

承に彼女が居たなんて。』


『what do you mean?』

※どうゆうこと?


厚樹『え?知らないの?紅緒永遠って言う東光の生徒なんだけど?』


『…ちょっと何言ってるかわかんない。』


厚樹くんはビックリして、


厚樹『承以外も言うんだ?!』


『ふふ♪私sy…立花くんと中3の頃一緒に過ごす事が多かったからね?』


綺麗な笑顔で流すよ!誰から聞いたの?


厚樹『え?紅緒さん本人から聞いたけど?』


(あの娘…シメる!)


『それ…たぶんウソだと思うな?』


一応誤解は解いておく。

でも厚樹くんは東光高校での承くんがいかに永遠がそばにいるか語る…。

ちょっと…ううん、結構効くな…。


厚樹『香椎さんは承と体育祭や文化祭一緒に戦ったんだもんね?

良いな。』


厚樹くんはそんな思い出がきっと少ないんだろう。

東光で承くんたちといっぱい思い出作れたら良いね?

店を出て駅まで送ってくれる厚樹くん。

そこで、


厚樹『俺…俺も香椎さんと、修学旅行や体育祭や文化祭とか一緒に過ごしたかった…!』


顔を上げると厚樹くんの面持ちが一変して熱い目をしていた。


(これは良くない…!)

勘と経験でわかる、これは良く無いやつだ!

私は遮ろうとするけど、



厚樹『まだ再会できたばかりだから言わない。

…でも玲奈さんって呼んじゃダメ…かな?』


私に対する熱意が、思いが伝わってくる。

でも迷うことはない、



『…ごめんね、名前では呼ばないで欲しいかな?』


申し訳ないけど、まわくどいけど断りのニュアンスを伝える。

厚樹くんは全然気にせず頷いて、


厚樹『今日はここまでにするね。

付き合ってくれてありがとう、またね。』


引き際も爽やかに厚樹くんは手を振って去って行った。

多分厚樹くんは…どうしよう?

承くんがこれを知ったら…厚樹くんに遠慮してとかならないよね?

私はなんとも言えない気持ちで家路に着く。

私たちは会う時間をもっと持つべきだよ。


…そこは私も悪いような気もする…

うわっ…私の時間無さすぎ…!

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