第367話 大人の釣り

青井『なあ?提案あるんだけどさ?

皆んなで大人の釣りしねえ?』


その提案に静まりかえる社会科教室。

仙道が少し慌てながら、


仙道『あ、青井?それって…あのナンパ的な?』


仙道は彼女が欲しい、いや超欲しい。

イケメンの青井主体なら…!とか呟いているのが聞こえる…。

ナンパ…ナンパを阻止したりカットに入るってのは何度かある。

でもする側は…ちょっと?

瞼に浮かぶ香椎さんが悲しい顔…うん?なんかゴゴゴ…って迫力出している絵しか浮かばない…!


『いや?俺はナンパは嫌かな?』


伊勢『…だよね?』

紅緒『…だよ。』


女子ふたりはうんうん頷き仙道と青井を冷たい目で見つめる。

危なかった…!


青井は不思議そうに、



青井『ナンパ?なんで?

俺には千佳居るんだぜ?ナンパなんてする必要ない!』


だよねー?女子2人は仙道だけを冷たく見つめた。

仙道は真面目な顔で、


仙道『それで青井大人の釣りって?』


青井はそうそう!って思い出したように経緯を語り始めた。

柔道部の先輩が今年受験で、部活も夏の大会で引退になる。

それで受験勉強と部活に専念する為、趣味の釣りを一時引退する事に決めたんだって。

志望校入ったらもう一段グレード高い一式揃える!それをモチベーションに今は部活と受験勉強に注力する!

青井、釣り道具あるとしたくなっちゃう!お前に譲る!

って事があってさ?


青井『俺その先輩に2度かな?連れてって貰ったんだけどさ?

めっちゃ面白いのよ?スズキ釣り!』


スズキ… シーバスとも呼ばれる大型魚で1mクラスもいる。ほぼ周年ねらえてエサ釣りでは虫エサへの反応がいい晩秋から5月ごろまで。ルアー釣りでは4~6月、10~12月が最盛期らしい。



聞いた事はある、大型魚でめっちゃ引きが強くて面白いとは…どこで釣れるの?


青井『すぐそこの!俺らが毎日渡る大河を下流に5km行くと河口だろ?そこ!』


河口…川が海に注ぎ込む境目、海と川が交わる場所。


『すぐそこじゃん!』


仙道『ふーん、釣りかぁ。』


青井の計画は一度先輩の釣り講習を受けて(先輩釣り話ししたいらしい)ゴールデンウィークに早朝か夕方あたり?皆んなで集まって釣りしよう!って提案。


青井『その先輩さ?テントとかも持ってて?今使わないから汚さないなら貸してくれるらしいのよ。だっけさ?泊まりがけで一泊二日でどうよ?』


…めっちゃ楽しそう!

何それ!泊まりがけの釣り?最高じゃん!


紅緒『えー?アウトドアは汚れるし?』

伊勢『うん、汚れるのはちょっとなぁ?』



青井『え?女子は無理でしょ?

来るの?』


伊勢『は?この話し方だったらあーしらも来る?って展開じゃ無い?』

紅緒『千佳ちゃんも来るんじゃないの?』


青井『…千佳泊まり無理だもんよ。

男の趣味だし…誘いにくい…。』


女子2人に詰められる青井は困った顔。

言い方悪いでしょ?でも釣りとか汚れるから女子向きじゃ無いよね。


とりあえず女子には気が向いたら釣りしてるとこ見に来る?ってだけ。

俺超乗り気。絶対面白いでしょ?

最悪釣れなくてもキャンプして帰るって思えば楽しいし。

田舎の子供の嗜みとして俺も釣り好き!

ルアーは初めて!釣り久しぶり!

中3の夏休みに青井と完くんと釣り行って爆釣でヒャッハー!ってなってなー。


もう俺と青井は盛り上がり!

ふたり意見出し合ってキャッキャ騒いじゃう!

仙道はあまり釣りした事無いらしいけど友達と行ったら絶対楽しいって!って言葉に超乗り気!

道具も借りれるしお金かからないレジャー!

上手くいけば大物釣れたら伝説できちゃう!


めっちゃ楽しみ!

じゃ?参加メンバーは青井、仙道、俺。

あとは?


青井『宏介と田中も誘わない?

…絶対!俺と立花の親友だからさ?仙道気が合うと思う!』


仙道『時々立花と青井の会話に出てくるから…多分大丈夫と思うけど…橋渡ししてくれよ?』


まかせとけ!

あとは…


青井『厚樹にも声かけたいんだけど良い?』


『良いけど…あっちゃんは難しいんじゃない?』


…俺だってデレさせるのに時間かかったんだもん…いくら青井と言えども…。

スマホぽちぽちしてた青井が、


青井『厚樹今から来るって。超乗り気w』


…まじ?


少しして、


厚樹『おっすー。』


青井『おいっす。』

仙道『あれ?彼こんなイケメン?』


あー、仙道は多少顔知ってるって程度か…。

あっちゃんは少し明るくなって良い感じ。


紅緒さんとも顔馴染み、伊勢さんも同じ小学校だしこないだの同窓会でも会ってるし。


厚樹『それで?シーバス釣り?』


あっちゃんは一回やってみたかったんだよねー。って呟いた。

そう言えば俺も宏介もあっちゃんに釣りを教えて貰った。

あっちゃんは釣り好きだった。餌釣りしかした事無いって漏らす。

俺たちもだよ。


厚樹『バイト始めたけど金無い。それなのに道具揃ってる状態で釣り出来るんでしょ?

めっちゃ良いじゃん。』


あっちゃんも超乗り気!

じゃ!ゴールデンウィークの5月の連休の初日!ポイントは俺が先輩に相談しておくから!

幹事 青井航による釣りキャンプが絶賛計画進行中!

絶対楽しい!子供の頃以来のキャンプ、釣り、友達と泊まり。

アガる条件が揃っていよいよゴールデンウィークが楽しみで仕方ない!



☆ ☆ ☆

その帰り道。


紅緒さんに引っ張られて耳打ちされる。


紅緒『まあ釣りは顔出す程度だけど…ゴールデンウィークの最終日なんだけどさ?

おうち遊びに行きたい!ひーちゃんと約束してるの!良いよね?』


『あー、なんか望が言ってたね…。』


とわんこはひーちゃんとすっかり友だち。

俺か望のスマホでひーちゃん宛に電話寄越すのだ…。

自分に電話かかってくるのが嬉しいひーちゃんは毎回紅緒さんからの電話来ると楽しそうにお話ししている…。

でも家に女の子呼ぶの抵抗あるわ。


…それを見越した紅緒さんはひーちゃんとの約束だよぉ!って主張する。

最終的に、


紅緒『…じゃ玲奈も呼ぶから!それなら良いでしょ?』


…俺は押し切られて5月4連休の初日と最終日に予定を入れた。

間の2日はバイトあるしね。大体予定が出揃った!

ゴールデンウィーク楽しみだなぁ。でも結構スタミナ要求されそうな盛りだくさんな連休になりそう!


…ただ玲奈さんと紅緒さんがまた一緒に来るって事だけは怖くて仕方がないよ…。

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