エピローグ

その娘は綺麗な外見をした少女だった。


真っ暗な深夜に輝く雪が降ったような黒々と光沢のある長い黒髪、くっきりぱっちりした目に小さく形の良いパーツ、肌は雪のように白いが輝くような光沢と艶がある。全体的にスレンダーだが女性らしい凹凸はあるのがわかる。

だがそれより特徴的なのは眼だった。



生気がなく…ガラス玉のような無機質な瞳…。

普段の彼女…紅緒永遠を知るものからしたらビックリするほど覇気の無い目。

本来彼女は目が強い!今まで、


宝石のように輝く瞳にまるで炎が宿るような力強い目をしている。


なんて言われていたのにだ。

彼女が生気なく出て来たのは門。高校の門から彼女は出て来た。

その高校の校門には『県立東光高等学校』と。



道ゆく生徒たちが少女に驚く。

男子生徒も女子生徒も。

彼女は学校でも結構な有名人。

その美貌と病弱さで。

部活などで登校している生徒たちなのだろうが紅緒は皆の視線を集めてる。



その少女、紅緒永遠は呟く。



『気付かなかった…!』


紅緒永遠は泣きそうだった。


☆ ☆ ☆

ある社会科教師の心配。


春休み終盤、東光高校のある社会科教師は頭を抱えていた。


『先生!2年生も先生に担当して欲しい!

クラス決めってどうやるの?ドラフト会議みたいにやるの?』


去年度担当した生徒が暇だと毎日遊びに来るのだ…。

その生徒は『紅緒永遠』と言う名の生徒。

美人で病弱で成績優秀で世間知らずのトラブルメーカーと言う校内屈指の有名な生徒。


それが春休みに入ってから暇があればやってくる。

教師だって春休みに仕事があるから出勤しているわけで。

それが…。


紅緒『先生!ドラフト会議で!旧1-4の生徒指名して!』

※丸ごと指名したらまた1-4と同じメンバーで過ごせる。


次の日、


紅緒『…どうしても無理なら…立花くんと、伊勢さんと、青井くんと、仙道くんだけでも…。』

※自分はドラフト一位だと思っています。


3日後。


紅緒『仙道くんはやっぱり要らないです!』

※前日俺カレで承構いながらごはんしてたら仙道くんが来て、

仙道『いつも俺カレに居るけどヒマなの?』って言われましたw



今日。


紅緒『先生!なんで今日は話も聞いてくれないんですか?

なんで?なんで話もせずに帰れなんて?』


俺が帰れって言うと紅緒が驚いていた。



紅緒『私がクラス替えの事に口を出したから?

それとも春休みなのにほぼ毎日遊びに来て居るから?

私がトラブルメーカーだから?』


『自覚はあるのか?』


思わず口に出してしまった。



紅緒は泣きそうな顔で、


紅緒『先生、問題があれば言って?』



『お前今日私服で来たからだぞ。』



紅緒は顔自分の格好を確認すると顔を真っ赤にしながら、フリーズしている。


『紅緒?心臓に負荷かかるから急がないで帰れ?』


紅緒は目をまんまるくしてやっと起動したのかモコモコのルームウェアの自分を抱きしめて雰囲気を出しながら、


紅緒『くっ…殺せ…!』


先生リアルで初めてくっころを見たよ。


紅緒は手のかかる生徒でなかなかの問題児。

急がないで帰れ?もっと色んな生徒に見つかるぞ?

紅緒は音もたてずに帰って行った。


…先生がしてやれるのは…。



提出書類に記入する。


担任レポート


注意生徒 紅緒 永遠


クラス委員長

成績優秀で真面目だが、世間知らずでトラブルメーカー。

体調面での重大な配慮が必要。積極性が強くなんでも進んでやりたがるが心臓に疾患があり要注意!


担当生徒 立花 承

同じクラス委員長として紅緒を補佐。

人間関係や業務面、体調管理などで紅緒をフォロー。

紅緒は立花の言うことは基本的に聞く。紅緒の体調にまで気配り出来ていた。

同クラス推奨。




『先生に出来るのはこれだけだ。』


☆ ☆ ☆

紅緒永遠は知らない。

旧担任が1番の希望を後押ししてくれた事を。


制服か体操着以外の登校は禁じられているのにルームウェアで4階の社会科教室まで行った事…何人かに見られた…。


家がすぐそこなのも考えものだよぉ。

もうじき入学から一年たつのか…あの頃は緊張したなぁ…最近は緊張無さすぎだよぉ!

紅緒永遠は恥ずかしくて死にそうだった。


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