第356話 初恋のおねえさん
玲奈『…これ姉の上着です♪お姉さんほどの美人さんはこういうの着てないと…ね?』
香椎さんは驚くほどの速さでで自宅に戻り、優奈さんのオシャレな上着を持って来た…。俺の新しい服…そんなに嫌?
『香椎さんはっや。』
俺が呟くと若葉さんは反応した、
若葉『…さっきから?気になってたんだけど香椎さんって…優奈ちゃんの?』
香椎さんは少し驚いて、
玲奈『はい、優奈は姉ですが?』
若葉『きゃー!面影ある!可愛い妹が居るって言ってた!』
若葉さん香椎さんを抱きしめながら優奈さんの思い出を語る。
…優奈さんは俺たちより三つ上だけど若葉さんは四つ上だから優奈さんの一年先輩なのか?
優奈さんとは中学時代吹奏楽部の先輩後輩だったらしく、優奈さんも才色兼備で有名で尚且つ自由人だったらしく、吹奏楽部なのにギターを持ち込んで弾き語りしたり、トライアングルで涙腺を責める音色を出したり好き放題してたのよ!あの娘元気?そう聞かれて香椎さんは『…嫌になる程元気です…。』
って遠い目をしていた。
若葉『承くんの上着も未練あるけど…優奈ちゃんの上着を着ちゃおうかな?
ありがとね承くん♪』
若葉さんはしゅるりって音を立てて俺のウインドブレーカーを脱ぐ…それをぼんやり見ていると、
ぎゅー。
脇腹…痛い…。
つねられている…。
香椎さんが本当に頬を膨らませて、
玲奈『女性の着替えを凝視するなんてなっていないと思う…!
初恋のお姉さんだよね?良かったね?初恋のお姉さんと再会出来て?』
110話 互いの影響力 玲奈視点で初恋について語ってたw
『…。』
俺は目を逸らした、怖い…。
バーベキュー焼きますから、服とか汚さないように厚樹くんの側でどうぞ?
香椎さんは笑いかけながら若葉さんの脱いだ俺の上着を小脇に抱えて、優奈さんの上着を着せ掛けた。
若葉『ありがとう♪玲奈ちゃん可愛いね?
うちの厚樹の彼女は玲奈ちゃんみたいな娘がいいなぁ♪』
若葉さんはニコニコそう言った…。
ずきんって胸が痛くなった。
いや…若葉さんの戯言…。
だけど…あっちゃんほどのイケメンで運動神経なら…。
ちょっと想像すると胸が痛い。
香椎『はは、厚樹くん好きだった子この中にいっぱい居るんですよ?』
若葉『えー!教えて!玲奈ちゃん!教えてー♪』
若葉さんと笑い合いながら香椎さんは主賓席へ案内して行く。
…あ、俺のウインドブレーカー…。
香椎さんはあっちゃん横に若葉さんの席を設置しながら俺の目線気付くとちょっとドヤ顔で俺のウインドブレイカーを羽織った。
そしてドヤ顔のまま襟口に可愛い仕草で匂いを確認する…!
ちょっと傷付く…俺の服着る機会今まで何度かあったけどさ?
毎回匂い確認してない?俺男子で汗かくから気になるのかな?
本人が気を付けても匂いってあるものとは言うもんね…。
でもさ!アレ今日おろしたてなんだよ!だから今日は大丈夫じゃ無い?
俺もドヤ顔で香椎さんを見つめる!
さすがに!おろしたての服は大丈夫でしょ!
しかし香椎さんは匂い確認すると首を傾げて、少し怒り顔で戻って来た…。
玲奈『承くん?この服?』
安心してください!おろしたてですよ!
香椎さんはわかって無いって顔で俺のウインドブレーカーを乱暴に突き返した。これ風や冷気を通さないから薄いのに暖かい機能性に優れた…!
玲奈『…そういうんじゃ無いの!
承くんが1日着てから没収する…!』
『解せぬ。』
俺の新しい服没収されるらしい…。ウインドブレイカーは手元に戻って来た…。
何の罪があって俺は断罪されているのか…香椎弁護士は容赦が無かった。
☆ ☆ ☆
14:00頃になると食事はひと段落。
ポテチや煎餅、チョコやらクッキーやら皆が差し入れたおやつ類が振舞われる。その量たるや各テーブルにいっぱい余る量。
その辺を摘みながら飲み物飲んで、テーブル移動しながら人が動き回る展開。
俺のテーブルはいつメンプラス保利くん。
テーブルに来た子は保利くんに目を止めて首をかしげる。
保利『…お久しぶり、保利です。』
大騒ぎしそうになる子に目立ちたく無いからって説明すると皆んな頷いて、
久しぶり、会えてよかった。元気そうだね?って言葉を交わす。
保利『めっちゃ緊張する…。』
宏介『…でも一度会っておけばもう会っても平気でしょ?』
俺は色々やらかしているから人望無いのでこのテーブルにはそこまで人来ないしね?
香椎さんも保利くん来た直後少し話したあと離れてる。
香椎さん側は注目が大きく目立ってしまうからね。
俺たちは大人数なのも幸いして端っこでひっそり楽しんでいたんだ。
…しかしお腹一杯になれば眠くなるか遊びたくなるのが習性なわけで。
誰かがバスケしようぜ!って言った!
男子は色めきたつ!
そろそろ話すのも飽きた!
…香椎さんたち女子も見てる!
女子に良いとこみせたい!
そんなお調子者たちが早速隣接するバスケコートに集まる。
あっちゃんも行きたそうにしていたがまだ周りに再会を懐かしむ人が集まって居たため動けない。
陽キャたちは女子たちの視線をめっちゃ意識しながらバスケをしている。
あっちゃん横の小石もそっちへ行きたいけどあっちゃん横が女子と1番絡みのあるポジションと見切っているからあっちゃん横から動かない。
女子の視線を集めるってそんなにモチベーションになるんかな?
ってほど陽キャたちは爽やかにバスケをしている。
倒れたら引っ張って起こしたり、点取ったらハイタッチしたり。
30分もすると我慢出来なくなったいたずら坊主は昔のように俺たちに召集をかける!
厚樹『承!宏介!…宏介そっちなの?
あと小石でいっか?俺たちも参戦!』
あっちゃんに指名されれば俺は嬉しくなっちゃう!ウインドブレーカーを脱いで椅子にかけて参戦!
陽キャたちもバテて2戦目の対戦カードが終わったばかりのとこに厚樹軍団は乗り込む。人数的に3on3になった。
急造チームで対戦開始!相手は青井と宏介、木村くん(体育祭で活躍したモブ)
あの頃で言うなら1組対3組みたいな感じ。
…もしあっちゃんが中学に行って、1組に居たらこういうカードで対戦してたかもね…外町使えたらめっちゃ有利だけどw
小石はこう見えてそつのない動きをする万能型。
あっちゃんは爆発的な得点力を誇るFWタイプ。
俺が起点にならなきゃだけど…。
向こうは、
青井はセンタータイプ(ゴール下の力勝負特化)
宏介はゲームメイクとシュート打てるポイントガードタイプ。
木村くんはわかんないけど。
なんか1組対3組を彷彿とさせるのか、香椎さんと小幡さんの距離が離れて応援に力が入る。
持ち味を活かすなら…!
俺はフルコートマンツーマンを選んで、俺と宏介、あっちゃんと青井、小石と木村くんの1対1で勝負!
俺のとこが1番戦力差がある。あっちゃんと青井が互角かあっちゃんが上だけどスタミナ考えればほぼ互角。小石対木村が多分小石のが上。俺と宏介なら宏介が上。俺が宏介を削ればいい。
試合は白熱!
一進一退で攻守の入れ替えは早く油断出来ない展開!
宏介のゲームメイクは的確で早い。
特にドリブルとパス!部活で毎日やっている宏介は別格!
でもね?宏介はさ?あっちゃんの記憶小6まででしょ?
俺のパスがあっちゃんに入る!
青井『宏介!厚樹ボール持たせちゃダメなんだって!』
ゴール下であっちゃんはフェイントからの凄まじい跳躍で!
バシン!!!!
ゴールが振動するほどのダンクを決めた…!
え?スタミナ強化が課題だったでしょ?
厚樹『スタミナも取り組んでる…。』
身長173cmでダンク出来るんだ?どんだけ飛んでるの?
宏介も呆然としている。青井もびっくり。
『『『キャーーーー!!!!!』』』
女子たちが一斉に歓声を上げる。
…うん、運動神経が良くてモテるのって小学生までだと思ってた…中学生も少し。
でも、高校生になってもあっちゃんほどイケメンで運動神経良ければモテる(断言)
宏介『…ずっる!』
『俺もそう思う!』
宏介に仕事させなきゃ俺の勝ち!
俺の持ち味持久力で宏介の良さを消す!
こうして、宏介に仕事させない俺の密着マンマークとあっちゃんに仕事させない為の青井の消耗戦でそれぞれのキープレイヤー宏介とあっちゃんが目立たない展開で意外な事に小石が活躍。
宏介が俺を躱したり、パス通して点入れても小石は木村くんよりややスペックが高くてトータル1番点入れたのは小石っていう塩展開。
女子たちの印象はあっちゃんの敏捷性と跳躍!青井のフィジカル!宏介のドリブルとパス!って印象で小石はずっとぶつぶつ言っていた。
食べて遊んでもう夕方。
楽しかった1日ももうじきおしまい。
…あっちゃんが帰る時間が迫って来た。
夕方の河川敷公園はオレンジ色に染まりつつある。
厚樹『…チャイム鳴ったら家に帰らなきゃだな…。』
小学校の名物チャイムがもうじき鳴る。
これは帰宅を促すチャイムでこの辺の子供はこれが鳴ると遊びを切り上げて家へ帰るのだ。懐かしいって呟くあっちゃんの顔は哀愁に満ちている。
…帰宅の時間が迫る…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます