第352話 突然のお願い【side香椎玲奈】

※前回同様、性的な表現があります、18歳未満の方は飛ばしてくださいな。


☆ ☆ ☆


「あの本」にすっかりハマった私。

刺激が強くて毎日少しずつ読み進めている。

今日はいよいよ…私は家に帰りながらピンクの妄想をしちゃうよ!


永奈と承次郎の初夜は温和で優しい承次郎が夢中で永奈を責め立てる描写で進んでいく。

あんなに優しい承次郎が永奈の身体に夢中になりどんどんオラオラ系な男になっていく。夢中で永奈を隅々まで愛撫する姿は男の子の欲と本能を感じさせる。

そしてちょっと強引な承次郎の愛撫を恥ずかしがりながら受け入れ悦びを隠せない永奈…。

わかる!わかるよ!


永奈『…ダメ…ダメです…♡』


もっとしてって事だよね?

いいぞ、承次郎もっとヤれ!



いよいよ今晩…ゴクリ。


『あ!香椎さん!』

『香椎さん!こんにちわ!』

『香椎さん…今日も綺麗だね…。』


私は微笑み小さく手を振りながら


『ふふ♪こんにちわ♪』


同級生や知り合いの先輩に声をかけられて微笑みながら愛想よく対応するけど…まさか頭の中ピンク一色なんてまさか思わないだろうなぁ。


☆ ☆ ☆

家に帰り日課をこなす。

…春休みももうじきおしまい。

結局何も無かったなぁ…承くんからお誘い待つんじゃ無く自分から動けば…しかし婚約問題が…。

…まぁいいか?今は承次郎と永奈の物語を…!

私は未知の世界に興味深々だったのね。



☆ ☆ ☆


優奈『え?今日も早く寝るの?』


ママ『良いんじゃない?早寝はお肌には良いものね?

玲奈艶々してる♪』


『ふぁぁ、おやすみなさい。』


お姉ちゃんが怪しんでる?警戒度を上げなきゃ。

私は部屋に入り、電気を消してランプ点灯!

いざ!


☆ ☆ ☆

前回同様玲奈は永奈姫になりきっています。

()は玲奈の心の声です。

☆ ☆ ☆

永奈『承次郎どの…。』

(承くん…!)


承次郎『承次郎って呼んでくれ、あの頃みたいに!』


承次郎はもう永奈の胸に顔を埋めて夢中で貪る。

男性経験は当然無い永奈は戸惑いながらも承次郎の乱暴な愛撫を受け入れる。

そして、いよいよ!

承次郎のモノはそれはもう立派!男らしく逞しく、永奈は怯える。

(え?そんな大きいの?)



永奈『そんな…入らないです…。』

(でも!入るって!)


承次郎『大丈夫、力抜いて?』


永奈は承次郎を拒む気なんか無い、それでも少し怖気付く。

無理かな?ってしょんぼりする承次郎が可愛くて愛しくて永奈は覚悟を決める。


永奈『…承次郎…来て♡』

(私も承くんに来てって言いたいな。)


承次郎はそっとあてがうと…

(ゴクリ、いよいよ♡)



♪♪♪!!


ビクン!ビクン!

私はすぐ横に置いたスマホの急な着信の音と振動と発光に驚いてしまった!

ビックリ!と急な反応で随分乱暴に自分を弄ってしまって…大変なことに…!


誰?でもまだ21時過ぎ…この時間に寝てる方が稀だから…文句も言えないよ…。

良いところを邪魔された…しかし!着信承くん!承くんだよぉ!

どうしよう?!デートのお誘いかも!


私は5秒で電気点けて、髪整えて、リップクリームだけ引いてん!ん!って喉を同時に整える。


『こんばんわ♪どうしたのかな?』


私は極上のスマイルでビデオ通話に応答したよ!




☆ ☆ ☆

承くんは紺色のジャージで湯上がりなのか、血色の良い顔している。


『夜にごめんね?香椎さん、今大丈夫?』


(春休みのお誘い来た!承くんわかってるー!)


『うん、今大丈夫だよ?お風呂上がりかな?』


承くんは少し驚いて、


『え?なんでわかるの?

香椎さんは何してた?

…あ!香椎さんもお風呂あがり間もないのかな?頬赤いね?』


(何してたって言うか…ナニしてたって言うか…。言えない。)


『まぁ、そんな感じかな?どうしたの?お話ししたくなった?』


お出かけ誘って欲しいけどお話しでも全然良い!クリスマス頃の間違い電話以来だもん!…ここから上手くお出かけに誘導しても良いし…。


そんな思惑と裏腹に承くんは困ったような顔で、


『…実はさ?香椎さんにお願いがあって…。』


『お願い?』


なんだろう?大概のお願いなら?他ならぬ承くんのお願いなら?

まずは聞くよ?


『うん、あのね。

神崎厚樹、今は東条厚樹の彼がさ?

なんと!新川町に帰ってくるんだ!』


はあ?うん、帰って来たら良いんじゃないかな?

小6以来だもん、きっと懐かしいし思い出たくさんあるんだろうしね。


『そうなんだ…。厚樹くんがね。なるほど。』


そうとしか言えない。

私にお願い?厚樹くん絡みで?


『それでね?日曜日に来るんだけど、

あっちゃん久しぶりに皆んなの顔見たいって言ってて。

もちろん、無理強いとか集まれ!じゃ無くっててもし都合良い人居たら?

会えたら嬉しいってあっちゃんが言ってて。

…宏介に相談したら…小幡さんに相談してくれたんだけど香椎さんが適任って言われて…お願い出来ないかと…思った次第です…。』


なるほど。でも日曜日って4日後?もう実質3日後でしょ?

厚樹くんが久しぶりに新川に帰ってくる。出来たらだけど皆んなに会いたい。

私や千佳に皆んなに声かけて欲しいと…?


趣旨はわかるし、自分の為じゃなく厚樹くんの為に動いてるんだね。

承くんは色々あったから同級生間ではあまり人脈が無い。

そこに私を…納得だけど…。



『それでね?あっちゃんが!後ろから!

もう必殺な仕事人の如く!それはもう!格好良くって!

あっちゃんってさ!…!』


その後承くんは信じられないほど饒舌に厚樹くんの武勇伝を語っている。

…珍しい。承くんは本来相手の出方を見て話すタイプなのに…ずっと厚樹くんを語っている…。

…厚樹くん語る承くんだけは少し苦手…。


大体?私の良いところ邪魔して?

春休み最後にデートのお誘い?って乙女心を粉砕して?

男の話し…永遠が言う通りライバルは男の子なのかな?

そう思い至ると私は少しいじわるしちゃおうかな?って思ったの。

もちろん軽く。意地はったり拗らせない冗談みたいな意地悪。

それで少しスッキリするし、ちょっとだけ困った承くんの顔見たい。


もちろん厚樹くんだってかつての同級生だし、承くんをクリスマスパーティー連れて来てくれたり?クラスに運営に協力してもらったし、協力するのはやぶさかじゃ無い。折角だから皆んな集めちゃお?


…しかしなに?この状態。

厚樹くんのノロケ話しを聞かされているような状態!

私が考えている間も承くんはうっとり厚樹くん話しばっかり!



『ってわけなんだ。

香椎さんお願い!あっちゃんの為に都合付く人だけで良いから声かけられないかな?』


承くんは軽く計画を語る。

AM厚樹くんを新川駅に何人かで迎えに行って、小学校へ移動して校門辺りで皆んなと再会して話しながら軽く小学校を外から周って解散。

厚樹くんと承くんたちは厚樹くんの生家へ行き、家族と再会して最後駅に戻り解散って。

…家族、お姉ちゃんとお父さんとはその小6から会っていないんだって…。


私はふう。ってため息吐いて引き受ける事を了承する事を決めた。

…承くんは人の為に一生懸命になっちゃう男の子だもん仕方ない…。

少しジェラシーあるけど承くんの厚樹くんへの気持ちを慮って今回は引き受けるよ…!


デートのお誘いかも!って舞い上がった自分が悔しいよ!


そんな自分への慰めの気持ちも込めて一回だけ断って困らせてやろう!っていじわるをすることにした。

引き受けるんだけどね。もう頭の中で算段付けながらちょっと困らせたい一心でお断り…って言うか渋る。

承くんもっとお願いして?私はそれをもうしょうがないなぁって引き受けるのだ。


『で、どうかな?お願い出来ないかな?』


真面目な承くんが可愛い。ちょっと承次郎にも見えてきた。

私はちょっと困ったていで、


『うーん、どうしようかなぁ?』


目を瞑って左手口元に持っていき考えてるよポーズ!

承くんはお願い!って表情でこっち見てる!可愛い!

もうちょっとだけ引いて引っ張る。


『どうしよ?うーん。』


承くんは困った表情をしながらも、なにかアテがある顔していた。


『香椎さん、無理をお願いしているのはわかるんだ。

…俺皆の連絡先知らないし、みんなに声かけるのは俺苦手。

香椎さんにしか頼めないんだ。』


ちょっときゅん!って来る。

私にしか頼めない!良い!すごく良い!

じゃあ、そろそろ引き受けるよ!って時、

承くんは爽やかに微笑みながら、



『だから!ここで使わせて貰うね!

香椎さん!!

『これまでの感謝を込めて、香椎玲奈が立花承のお願いをなんでも一つ聞くよカード!』』



『ええぇ?!』


160話卒業式の朝に 参照。


お…覚えてくれてたんだ…そのカード…。

乾坤一擲!乙女の全力!お願いに制限を設けていないんだよ?そのカード?

例えば…それ使えば承次郎みたいな事だって出来ちゃうんだよ?


…まさかの中学生時代の負の遺産がここで出て来た…!

それほんっとに願いに制限かけていないっ!えっろいことでもなんでもお願い出来る権利をこんな事に使っちゃうの?!


中3の卒業式寸前にドキドキしながらこのカードを作っていた自分を昨日の事のように思い出す。

このカードが卒業式後付き合い始めた私たちを後押しするって信じてたあの頃の自分が悲しい…。

私は勇気を出して作ったなんでも言う事聞くカードを元々引き受けるつもりでちょっと引っ張ったお願いに使われた。

そんな小さなお願いに使わないで…!

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