第351話 読書中【side香椎玲奈】

永遠のおうちのお夕飯はとっても美味しくって!

ママさんの天ぷら揚げたてで美味しいから私もついついたくさん食べちゃって。


ママ『玲奈さん?もっと食べて?』


パパ『永遠がお泊まりに友達を連れて来るなんて…!

伊勢さんに引き続き2人目!』


…伊勢さんも来たんだ…。


永遠『大袈裟過ぎー!

玲奈!この椎茸天とか、エノキ天とか?これならカロリー気にしなくて大丈夫でしょ?』


『…?揚げてるからカロリーはそもそも多いでしょ?

私は大丈夫だよ?』


ママ『この娘も太らない娘!?

ママショック…!』


永遠も食べるけど太らない子。私も運動量あるからそうなんだよね。

紅緒家でご馳走になり、帰り支度を始めると。


紅緒『えー?泊まっていけば良いのに…!』


『だって下着とかパジャマとか諸々の準備いるでしょ?今日は帰るよ。』


永遠は不満そうに、


『長期休暇は承くんもだけど皆んなに会えないし寂しいし、つまんない。

承くんもなるみんバイトバイトでかまってくれないし?』


『バイトあるって言われちゃうとねー?』


私が相槌打つと永遠がくいつく、


『でしょ?本当それ!』


『しかもだ!その少ない時間に「あっちゃん!あっちゃん!」だよ?』


ちょっと私も食いついちゃう、


『私も千佳ちゃんみたいな寛大な女の子なら良かった…!』


『…?

いや千佳は寛大じゃ無くって完全に欲望の…。』


キリがない、私は紅緒邸を後にする。

永遠パパは車で送ってくれるって言ったけどすぐそこの東光駅から隣駅ですぐ着くから大丈夫!とお礼を言いつつお断りすると駅まで永遠とそのパパ、ママが見送ってくれた。


電車時間は調べてあったから、すぐに到着した電車に乗り込むと雰囲気たっぷり、永遠は涙目でずって手を振ってるから私も見えなくなるまで手を振った。

…永遠のこういうとこ可愛いよね…。

私は自分にあるもの、永遠にあるものを比較しながら家路に着いた。



☆ ☆ ☆

春休みはゆっくり過ぎて行く。

毎日のように午前中は部活、午後は日替わりで色々やっている。

学校の勉強も法律の勉強も、フィジカル強化などやる事は色々あるから忙しい毎日。


(…今日は!武将の本が来るよ!)


いつものように部活出て友達とターミナル駅でランチ食べて、家に帰って一階の居間に陣取り勉強タイム。

ふふー!今日は悪魔お姉ちゃんが講義あって朝から夕方まで帰って来ない!密林の受け取りスポット使おうか迷ったけど今日届くならまず大丈夫!

一応置き配にしてるし?今日誰も家に居ないから?安全!


…私は『あの本』を手に入れた!


開封して?箱や明細を処理して?

本は隠して?夜にじっくり仕事終わらせてから読むんだー!


合間に休憩挟みながら勉強と諸々の処理前倒しで終わらせて夕方夕飯を作り始める。

今日は私がご飯を作るって言ってある。

お姉ちゃんが17時に帰って来て、両親が18時に帰って来る。


今日はベーコンとじゃがいものグラタンとコンソメスープに海藻サラダ。

なんか手が空いたのでトマトのマリネも作った!

バジル効かせてさっぱり!トマトの甘味と酸味がいい感じ!


ご飯を食べながらパパママお姉ちゃんとお話ししながら家族団欒を楽しむ。

皆んな美味しいって言ってくれて私も嬉しい!


お姉ちゃんが、


優奈『…なんでこんな美人で気立ても良くてお料理上手で尽くしたがりの玲奈が春休みに毎日家に居るのか…!』


『お姉ちゃんだって毎日定時におうちに帰って来るでしょ。』


お姉ちゃんは余裕の顔して、


『お姉ちゃんは大学もあるし、色々仕事してるし?』


お姉ちゃんは株式運用や大学の人脈を使い家業の貿易会社の香椎商事に仕事取ってきたり確かに家に貢献している。でも頻繁に旅行に行ったり色々不審な点もあるけど…きっと私を煙に巻いて答えてくれないのだろうな?


長期休暇はこうやって諸々処理や勉強をたっぷりやりつつ自分の時間を捻出する余裕があるから好き。

…承くん何か誘ってくれないかなぁ…。

そんな事を思いつつ、部屋でのんびりしつつ『あの本』って楽しみが私をニヤけさせる。


ふー、時計見ると9時。

早い、早いけどまあいいかな?


私は家族にも仕事中毒ワーカホリックって言われる。

そんな私も疲れた日などはたまに9時に寝ちゃうこともあって。

その際家族は皆んなたまにゆっくりした方が良い、良いこと!早く寝な!って私が早寝するのを推奨すらしてくれる。


私は今日なんか疲れたから早く寝ちゃうね?って言うと皆おやすみ!って言ってくれる。お姉ちゃんでさえゆっくり寝な!って添い寝まで申し出る。(絶対断るけど)



こうして、21:30には電気を消してベッドに付いてるランプだけ着いている状態でベッドに横になる。

ふふー!私は本の世界に没頭する…!



☆ ☆ ☆

舞台は戦国、乱世の時代。

田舎の小領主がひしめく辺境の地の一つの小国。

外交上の失敗でその国は周辺諸国のほとんどから集中攻撃を受ける国家存亡の危機。

皆が予想した。

あわれこの国は周辺諸国集中攻撃で消し飛んでしまう。

きっと民は奴隷にされ、女子供は売り飛ばされ故郷は消失してしまうだろう。

特にここの領主の娘は近隣でも有名な美人姉妹で負けたらきっと口には出せないような辱めを受け短い生涯を恥辱の日々で過ごすことなる…!




(ははぁ、最近永遠の言う「恥辱」ってワードはここから来てるんじゃ?)

私はクスっと笑いながら続きを読みすすめるよ。



しかし若い武将、承次郎(!)の活躍で大勝利!

※詳しく書いたら気づけばここだけで2話位のボリュームになりましたw

カットw


そして論功行賞の場で、


殿『承次郎!望みのものを言え!

地位か?領地か?金銀財宝が良いか?それとも姫か?』


ここで主人公姫が出てくる。主人公は妹姫。

姉姫は薔薇のような華やかなで陽気な太陽のような美しい姫。

妹姫は大人しくて学問好きな静かな月のような美しい姫。

妹姫も大層美しいんだけど大輪の薔薇のような姉姫にコンプレックスがある。



世間の噂も城務めの者達も2人を見たら姉姫に夢中になってしまう。

で、妹姫は若い将こと承次郎と面識があった。

ここで子供の頃、城から抜け出した永奈姫が承次郎に出会い、わずかな期間だが心通わせた日々が語られる。妹姫は凛々しく育った承次郎を眩しく見つめる。

論功行賞の場で無ければ姫が承次郎に会う事なんて無かっただろうし、きっとこれからも無いだろう。

幼い日の憧れと思慕の念を胸に抱き一目見れて良かった。姉姫が羨ましいって涙をひと筋流す。

承次郎は平伏して乞う、



承次郎『妹姫様を賜りたく…。』



こうしてトントン拍子に妹姫こと永奈姫(!)は承次郎に嫁ぐ。

10年ぶりに祝言で顔を合わせたふたり。

そして初夜で10年ぶりに言葉を交わすふたり。


※ここから性的描写あります、18歳未満のかたは読み飛ばしてくださいな。



燭台の薄明かり、緊張するふたり。

承次郎は急に会えなくなった事が辛かったと語る。

永奈姫は私も会いに行きたかったと切々と語る。


でも、ふたりはもう子供じゃない…。


触れ合う手と手、絡み合う指。

そして重ねる唇。


爽やかで、あまり目立たない承次郎。

しかし…ふたりきりになると…。



承次郎『ずっと逢いたかった、逢いたかった!』


永奈はきゅっと彼の胸に抱かれる…!



(きゃー!)

※ここから玲奈さんは女優モードで永奈姫になりきります(笑)

玲奈の心境は()の中身本編に関係ありません。


永奈は彼の胸に抱かれ身体の芯が火照り始める。

切ない疼きとともに承次郎の胸板に顔を埋め懇願する。


永奈『恥ずかしいです…。』

(恥ずかしがってないで!くんくんしなきゃ!)


温和で目立たない承次郎は永奈を見て目の色変えて永奈を求める。


承次郎『永奈、永奈、えいな!』


永奈『承次郎どの…。』

(もう!承くんとしてるとしか思えないよ!)


さっきまであんなに紳士で優しかった承次郎はもう我慢出来ないとばかりに姫の着物に手をかける!


永奈『…だめ…。』

(いい!すごくいい!)


あんな優しかった承次郎はもう抑えきれなくなってて、


承次郎『ほら、姫のここも…。』


永奈『…だめ、言わないで…!』

(もっと言って!)


そう言うと承次郎は姫の身体中に唇を這わせる…、びくん!ビクン!と反応する永奈は承次郎を余計に夢中にさせた…、


承次郎は永奈の先端を丹念に…。永奈は甘い声をあげる…!


☆ ☆ ☆


玲奈『〜っ♡〜〜っっ♡

…ふにゃぁあ♡』


私はビクンビクンしながら本を一度閉じた。

短めの部屋着は捲れ、白いおなかを丸出しにして私は我に返った。


(永奈のつもりで…物語を追体験したらこんなにすごいなんて…!)

※女優モード使用。


どうしよう?まだ本番始まってないのに…。

これはすごいものを手に入れた…。


これ入っちゃったらどうなるんだろ?

挿絵がいちいち承くんに似てるし、ヒロイン名が永奈って…。

永遠も玲奈も感情移入出来ちゃうよ…。とにかく正しい用法、容量を守って楽しもう?







翌朝玲奈はいつもより艶々して元気に部活へ出掛けて行った。


玲奈はこれを数日かけて読み進めていくのだった。

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