第343話 対決
※前回同様暴力表現や脅し文句でラブコメでない言葉が飛び交いますがくれぐれも真似しないで下さい!
☆ ☆ ☆
あっちゃんは4人の下拵えを終えて戻ってきた。
手足をビニールヒモで縛られて転がる4人。綺麗に並べられた。
俺と青井、津南と山目くんが静かに睨み合う中あっちゃんが無造作に入ってくる。
厚樹『…じゃ?3対2?』
青井『…どうする?立花?』
山目『…。』
津南『卑怯者!大勢でボコる気か?』
あっちゃんは静かにキレながら、
厚樹『お前のこと良く知らないけどさ?お前みたいなの見逃すと絶対に人数集めて闇討ちしてくんの知ってる。』
納得しか無い。
山目くんが震えながら前に出る、
青井がそれを見て前に出る。
津南『山目!防いで!俺援軍連れて戻ってくるから!』
厚樹『はい、そこは2人で潰し合いね?
じゃお前は俺と承でやっちゃおうか?』
あっちゃんは青井対山目。承、厚樹対津南で対戦と見定めてる。
俺はあっちゃんに礼を言いつつも、
『本当助かった。
…でも、遺恨を残さない為には?』
厚樹『最後はタイマン?
覚えてるん?あのヤンキーマンガ!』
そう、あっちゃんの家で読んだ漫画の文言。
策で勝っても遺恨が残る、納得出来ない。
最後は頭同士のタイマン。
『…人数でぼこすなんて俺は言わない。
お前と違うから。
俺だって一回襲撃されてそれ忘れらんない。津南…やろうぜ?』
青井『…千佳が聞いたら喜ぶぜ…。』
青井は黙ってて?
青井は山目くんに、
青井『俺とお前は引き分け。俺は絶対手を出さないからお前も手を出すな。』
山目くんは頷いた。
津南はまだ毒付いている、
津南『なんで俺がタイマンなんて…一方的にボコる予定が…。
マジムカつく…。勝てる気でいるモブも青井も静観してる山目も使えないお前らも!』
縛られてる仲間すら見下げている津南は哀れなほど滑稽で救い難い…。
俺だって荒事慣れはしてないけど景虎さんに自衛隊式の格闘術と組み手で鍛えられているし、青井とガチでやり合った事もある。
正直今だって青井とやり合う直前に比べて全然怖くない。
縛られてる4人に山目くん。
青井とあっちゃんに見られている観客の多いタイマン。
…タイマンより怠慢したい…現実逃避気味だった俺の意識を引き戻す津南の奇襲!
急に飛びかかって来た!
でも卑怯なのはわかっているから俺は拳を肩で受ける。
こうして始まったクラスメイト津南との河川敷公園高架下の決闘。
津南は東光高校に入学して1番最初に話したクラスメイト。
…それがここまで不倶戴天の天敵になるなんてまったく思わなかった。
俺と津南の何がそんなに反発したんだろう?
同じクラスで一緒にイベントやって同じように紅緒さんに注目してて何故こんなに彼女について思うことにここまで違いがあるのだろう?長い人生わかり合えない人なんて数え切れないほど出会うのだろうけども。
そんな事を考えるほどには余裕があった。
俺は前述した景虎さんとの組み手で結構ビシバシに鍛えられていた。
…前に津南奇襲で囲まれて殴られた跡を景虎さんに見られて見てらんねぇって。鍛えてくれた…。
景虎さんは鬼である。不自然こそ教育と言う。
痛いを痛いと言う。辛いことを辛いと言う。
そんなの教えられなくてもできんじゃん?
痛い時こそ痛くない、辛い時こそ辛くないそう言えるように頭と心と身体を鍛えろよ?
景虎式調練は海兵隊式の流れを汲む、罵倒しながら鍛えるシステムで…げふんげふんこれ以上は言えない。
その景虎さんは自分と自分の仲間を守れるだけの力は必要って言ってた。
津南と俺は違う。
でも確かに仲間の安全の為にもう関わりたくない、それこそ2年になって会ったら逃げてくれるような力関係にしておきたい。
つまり圧勝!俺たちにちょっかいなんて出せないほどの!
津南は格好良く蹴ったり殴ったりする、
それを俺は全部さばける。
…マジ寸止め景虎さんの打撃(ちょっと当たってる)の方が怖いし痛い!
『そんなもんか…?』
(バトルマンガっぽくない?!)
津南『なんだよ!クソモブの癖に…!』
津南の焦りが俺にはよくわかる。
コイツ逃げ出したいって思ってる気がする。
『…俺なんてここに居る3人で最弱…フィジカル最強の青井。1人で音も立てずに4人始末した…。』
(あっちゃんって言っちゃいけない気がする…!)
俺は言葉を飲み込む、それが貯めに聞こえたのかな?
津南『そいつなんなんだよ!』
俺は出来るだけ真面目に、
『
津南『毛沼レオ…毛沼レオだな!覚えたぞ毛沼レオ!』
逆さから読むと…オレマヌケってなる…!
あっちゃんは笑いを必死に堪えている。
わかるでしょ?元ネタあっちゃんちで読んだ魁!男
『そんな最弱な俺相手だぜ?
いいよ、先に1発殴らせてやる。』
圧勝する絵が浮かばない俺はバカの一つ覚えを選択する。
青井もこれでなんとかなった…きっと今の青井には通用しないんだろうね?
津南はわかりやすく激昂した!激昂したけど、
津南『絶対!絶対避けんなよ!』
そう言って助走をつけて殴りかかってきた!
ええ…助走までつける?普通…。
景虎さんが言ってた当たるポイントをズラすだけで打撃って威力全然変わるんだぜ?って言葉を信じて前に当たりに行く、1番頑丈な額で受ける!
それでも脳が多少揺られれ一瞬ぐらんぐらんするけど…
勝った!って顔の津南の顔がスローで見える。
俺は顔はケンカしました!って言わんばかりでまずいと思ったので、腹部に縦拳で思いっきりぶち込んだ!
手応え充分!
…肘を使うと洒落にならないからこっちにしたけど津南は一発でもうのたうち回っていた…最低な奴だけど…暴力を振るうと気分が最低…。
後味の悪さを噛み締めていると津南はまだ悶絶している。
『まだやるかい?』
津南『…うっせえモブが!絶対復讐する!絶対お前ら狙うから!』
このやろう。
津南は言うに事欠いて、
津南『絶対!お前ら覚えていろ?
永遠はピーするし!仙道もぼこす!伊勢もピーしてやる!』
こいつ…もうヤルしか無いのか…。
あっちゃんがニヤニヤしながら俺に耳打ちする。この後の展開を軽く打ち合わせる、マジで?
…でもあっちゃん居なかったら大惨事だったんだ、言う通りにしよう。
そして俺にしか聞こえないように、
厚樹『承、出来るだけこいつ脅して逃がせ。そしたら俺があとヤッとく。』
俺はギョッとして、
『殺しちゃダメだって!』
大声で突っ込んだ俺の言葉に皆んな反応する!
青井もびっくり!
津南は真っ青になりながら毒づく、
津南『どうせハッタリだろ?ヤレるわけねえし…!』
厚樹『…俺は四天王に入れなかった…。』
急に始まるあっちゃん劇場!こうゆうノリ好きなんだよ!あっちゃん!
津南『毛沼レオ…!』
毛沼レオって言う度にオレマヌケって言ってる気がして笑いそうになっちゃう俺たち。あっちゃんはニヤニヤ笑いながら、
厚樹『紅緒さん?を守る四天王…。その中で承は最弱!!』
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