第331話 クラス最後のイベント

期末テストは何事も無く終わる!

ヒャッハー!!手応えも十分!

これで一年生カリキュラムはほぼおしまい!


期末テスト最終日、俺たちは紅緒邸に集まり打ち上げをする事になった。

俺も前に宏介の家でやったけどさ?

今回のメンバーは紅緒さん、伊勢さん、青井、仙道、俺のいつもの5人。

この間仙道が良い形って言ってた五人。


良いよね、遠慮せず笑い合いながら持ち寄ったお菓子摘みながらジュース飲んで、思い出語って笑って。


途中で紅緒さんが笑い過ぎて腹筋が攣って乙女にあるまじき醜態を見せていた。

それでも1番楽しんでいたのは紅緒さんなわけで。


紅緒『あー。楽しい、楽しいなぁ。

学校生活がこんなに楽しいなんて思ってもみなかったよ。

…憧れて夢見て、でもそれは理想で実際は…って思ってたのに?憧れより楽しいってなんなのー!?』


紅緒さんのニッコニコ俺たちも微笑んで見てしまう。


成実『とわわんはうちらグループの中だと末っ子ポジだね?』


『『『あぁ。』』』


皆納得してしまう。

紅緒さんはニコニコ笑いながら、


紅緒『違いますー?1番大人の?セクシーお姉さん枠ですぅ!』


青井『んなわけない。』

成実『無理がある。』

仙道『可哀想。』


皆に否定されて紅緒さんは俺の横にピタっとくっついて、


紅緒『…本当だよ?今日は大人の勝負下着を着けてるよ?セクシーなやつ!

…見る?』


『すてい。』


紅緒『わん♡』


この日もご機嫌で紅緒さんは初打ち上げを心底楽しんだ。

気の合う仲間との打ち上げって楽しいよね?わかる、わかるよ!

…よっぽど楽しかったらしく翌週にまた紅緒劇場が始まった。


☆ ☆ ☆

翌週。


紅緒『ねえ!皆んな!

球技大会このクラスでの最後のイベントじゃない?

みんなで盛り上がって!球技大会後に打ち上げしない!』


にこにこわんこが皆んなに吠える!

こないだバレンタイン大会がクラス委員長として最後のイベントって言ってたような?


期末結果が続々出てきて結果に一喜一憂する俺たち。

3日後の球技大会その翌日からの卒業式、終業式で今年度はおしまい!

クラスの反応は好意的。

この一年の活動で紅緒さんファンはクラスに多いしね。


紅緒『まずは?球技大会いっぱい勝って盛り上げようね!』


『『『おう!』』』


クラスは大盛り上がり!競技はそれぞれ、

男子はソフトボールとバスケットボール。

女子はバレーボールとサッカー。


ギャル『…つーか?とわわんゴールキーパーなら出れるんじゃね?』

ギャル『あー。飛び出したりは出来ないけどwどう?出る?』


紅緒さんは泣きそうな顔で、


紅緒『良いの?でも私が出て負けたら…?』


女子『球技大会の勝ち負けなんてどうでもいいでしょ?楽しめれば。』

地味女子『とわわん一緒にサッカーしようよ?』


紅緒『うん!する!頑張るよ!』


紅緒さんは少し涙が溢れたけど誰もそれを指摘しなかった。

優しい世界、良いよねー?こうゆう空気…。




津南『ふん!俺バスケ出ないから!負けろ負けろ!

球技大会の勝ち負けなんかどうでもいいっつーの!』


対照的に男子sideは荒れていた。

バスケ部の一年レギュラーの津南がバスケに出ないと宣言したのだ。

…いや良いけど?紅緒さん打ち上げの時にもっと合コンっぽくイケイケでアゲアゲな陽気なイベントにしよ!人数か限ってさ?陽キャ限定!

クラブみたいなとこでさ!って提案してスンって顔した紅緒さん筆頭に大半の生徒に無視されて完全にヘソを曲げた津南はバスケ出ない!ってゴネ始めた。


うちは部活の競技不可ってルールは無いのでバスケ部が居ればそれは戦力なんだけど…たかが球技大会でしょ?勝ち負けは盛り上がるけどそこまで重視はしてないよね?

むしろバスケで目立つ方がチヤホヤされて津南向きの展開じゃ無い?

そう思ったけど俺もクラス委員長として出たく無いって意見を尊重したい。


目白『じゃ、津南くんはソフトボールね?

立花くんや青井くんはこないだバスケしてるって言ってたよね?』


津南くんのアシストもあり、さくさくチーム分けが進む。

津南はもっと皆んなが津南くんが居ないと!津南くんお願い!とか食い下がる展開を期待していたみたいで気に入らなそう…。

どうしたら良いのさ?津南の希望通りソフトボールにしたんだよ?


いつもやってる3on3と5人制のスタンダードのバスケはコートの広さも人数も違うから感覚がすっごい変わりそう。それでも他クラスのバスケ部員とかに自分がどれだけ通じるかワクワクする。


青井『めっちゃ燃える展開じゃね?津南無しでバスケ出れるし!

クラスの仲間たちと勝てたら超熱い!』


青井も言うまでも無くウキウキ!

自分がそうゴネたのに津南一派だけ俺たちの盛り上がりを拗ねたような目で見ていた。



☆ ☆ ☆


紅緒『どうしよう?私が知ってるゴールキーパーって若林くんだけなんだけど…。

ペナルティ?エリア?の外からは絶対に決めさせなきゃ良いんだっけ?』


放課後、社会科教室で最初に話し始めたお犬様は知ってるサッカー知識を披露した。

…うん、素人のサッカーでペナルティエリア外から決める奴は居ないって。

それなんてキャプテ⚪︎翼?


紅緒さんは球技大会に初めて出る。

この体力無しモンスターは基本的に体育は見学オンリーでこの一年済ませてきたわけで。

30分以上の有酸素運動や血圧に影響が出るような強い負荷の運動は出来るだけしないよう指示されている。

そもそも紅緒さん自身が走って倒れて寝たきりになった経緯から運動に恐怖感があるので基本動かないんだよね。そこだけは犬っぽく無い。


紅緒『…特訓!特訓するよう!付き合って!』


そういう事になった。

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