第314話 夢中な彼が可愛くて【side香椎玲奈】

私も思った。

これ作りすぎだよ?!


私と承くんは最後の温室の公園スペースに辿り着き、ランチタイムを迎える。

公園の大きめなベンチに座り私たちの間に今朝早起きして作った我が精鋭達を並べる!

どう?承くん!私一生懸命作ったよ!

ほら!ほら!…ん?あれ?まだある?


みっちりベンチの上に並べられる私の作ったお弁当…。

ちょっと作りすぎたかな?とは思った。

でも、こんなに?こんなに作ったっけ?


承くんきっと引いてる…馬鹿な女だなー?って思われたかな?

でもね?承くんは美味しい、美味しいって言ってあっと言う間にほぼ全部ペロリと平らげちゃって…。


私の手料理大好き!と玲奈さんの手料理最高!とか言いながら。

私はもうキュンキュンしながら夢中になってがっついて食べる承くんから目が離せなくって、くれる言葉が嬉しくってもうニッコニコ!


最後に、



『美味しかったからいくらでも食べれた。

同じくらいまだ食べれるね?』


なんて言っちゃって。

わかってるよ!美味しく食べれる量があるよね?この6割位で良いんだろうなぁって思ってたら、


『美味しい!美味しいけど動けなくなっちゃうから…この7割位がちょうど良いかな?』


『7割が適量なの?ふふー!食いしん坊さんだね?』


お弁当を片付けて、おしぼりとかも洗って、ひと段落。

承くん満腹でぼーっとしている。

ふふ、可愛いなぁ。

あんなに一生懸命食べてくれて、私を傷付けたって思ったからだよね?

美味しかったって連呼して、大変だったでしょ?って感心してくれて私は十分報われた…でもね?

さっきから食いしん坊承くんに私はキュンキュンしっぱなし。


ちょっと悔しいな。

私ばっかりドキドキして、承くんは澄ましてる。

服装のせいかな?ちょっとは意識してるみたいだけど…ポニテの腋チラの時以外は普通の顔じゃない?

※承くん、今日は玲奈の剥き出しのセクシーにKO寸前ですw


だから!ちょうど今、周りに人居ないんだよ!

ここなら…恥ずかしいけど、アレが出来る。


ベンチに座る横顔は大人になって来た承くん。

その澄まし顔…真っ赤にしちゃうぞ!


一緒ベンチに座る私は、隣に座る承くんの太もも目掛けてこてんと倒れ込む。

自然に音も立てずにね。付けて。

多分恥ずかしさで真っ赤になっているはず…!

永遠だって?とわんこ!とか言ってわんちゃんごっこしたんでしょー?



『…な?』


承くんがびっくりする顔大好きだな。

私は悪魔お姉ちゃんの策に乗った。



私は仰向けになって承くんを下から見上げる。膝枕の感触ががっしりしてる男の人!って感じする。

意を決して甘えて見せる!



『にゃー♪

…れいにゃだにゃー…?』


『…れいにゃ…』


『…れいにゃは猫だにゃー…?』

※意味不明


『…れいにゃさん猫だにゃあ?』


(…っ!思ってたより恥ずかしい!承くん復唱しかしないけど?)


ここまで来たらやりきらなきゃ余計恥ずかしい!

承くん風に言うなら、傾くかぶくなら傾きかぶき通せ!


私は畳み掛ける!


『…撫でて。』


『…撫でるの?』


『甘やかして欲しい…にゃー…。』


もう限界…!

でも承くんもショート寸前!

真っ赤になりながら仰向けの私を膝枕しつつ、私のおでこと生え際辺りをゆっくり優しく撫で撫でしてくれりゅ。


(あっあっあ!もうダメだー!)


女の子『あー!かっぷるがラブラブしてるよー?』


シュバ!私は1秒でねこ耳カチューシャを外し、承くんから一人分間隔を開けて離れた!

優しい笑顔でその小さい女の子に手を振る。

承くんはまだ惚けている。


ママ『きっと今デート中なのよ…初々しいじゃない?』


(さっきまで膝枕で猫耳付けて仰向けで甘えてました…。)



ねこ耳装着れいにゃは諸刃の剣。

攻撃高いけど扱い間違うと大怪我しちゃう危険な女の武器なんだね。

とにかく威力は十分わかった!

まだショック受ける承くんを残して売店へ行き、ソフトクリームを2つ買って手渡す。


『…れいにゃかわいい。』


『ふふー!ありがと♪』


あの悪魔お姉ちゃんの思う壺なのが腹立つけど自分なられいにゃは絶対にしなかったよ。良かったのか悪かったのかさっぱりわからないけど承くん私にメロメロなのは嬉しいかな?

夕方には帰らなきゃ行けないからデートも終わりが近づく…。


☆ ☆ ☆

れいにゃ?!


お腹いっぱい…幸せな倦怠感に身を委ねる…。

そこに、




こてん。


玲奈さん?!玲奈さんを膝枕している格好?!

…しかも、ああああああああ!

猫みみ!ねこ耳付いてる!


玲奈さんは仰向けになりながら、恥ずかしそうに真っ赤になりながら、




『にゃー♪

…れいにゃだにゃー…?』


おお…


『…れいにゃは猫だにゃー…?』


…玲奈さんは猫だったのか…。

もう意味がわからない。


顔小さい!目大きい!可愛い!何これ?同じ人間なの?

しかもさ?タイトなニットが仰向けで…胸の形…ダイレクト…?


玲奈さんは前にも言ったけど細いんだよ…?

細いのに胸結構ある…。

上から見ると綺麗なお椀型に…!

見ちゃう!見ちゃダメ!


俺の膝の上で仰向けれいにゃが猫ゴッコしている。

れいにゃさんの言う事を繰り返し復唱しつつ、心の中で九字を唱える。


(臨!兵!闘!者!皆!陣!列!在!前!)


臨む兵、闘う者、皆陣を列べて前に在り!

忍者や陰陽師、山伏などが唱える精神集中や邪を払う法らしいよね…。

俺の煩悩!出てけー!

俺は紳士にして賢者!

今日は玲奈さんの色気にやられっぱなし!



気づいたられいにゃは終わっていて、ソフトクリームを手渡された…。

まだれいにゃを見たかった自分を感じた。

でも、れいにゃは危険!あれは人を狂わせるって。






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