第307話 初デート待ち合わせ【side香椎玲奈】
日曜日、9:30、新川駅前。
集合は11:00にターミナル駅なんだけど気が早って早く出てしまった…!
…って言うか…服…。
私は途方にくれる。
さすがお姉ちゃんでサイズは完璧。
わざわざずり落ちにくいようにフラッシュテープ(ずり落ち防止の服用両面テープ)を用意してあった。
タイトなのも若干落ちにくい原因だろうけど…。
身体のライン出過ぎるし、丈が短すぎ!脚出すぎ!
それでなくても今日は初デートって気負っちゃう。
頑張って作ったお弁当を抱えて家を出るよ。
結構時間かかっちゃったよね。
作ってる時間は夢中で、おにぎりとサンドウィッチどっちが良いかな…?
どっちも作っちゃえ!
唐揚げ、ミニハンバーグ、卵焼き、プチトマト、ちくわにきゅうり入れて輪切りにしたもの、ポテトサラダ。
うん、作り過ぎたかも?でも足りないより良いよね?っておかしなテンション!
承くんが喜んで食べてくれたら良いなぁ、夢中でがっついてる姿見たいなぁ…。美味しいって言ってくれるかな?
もちろん今日はお弁当作って行くことは話してあるよ!
☆ ☆ ☆
玲奈の妄想
承『お弁当うま!』
『いっぱいあるよ!たくさん食べて!』
承『全部美味しい!こんなに美味しいなら24時間食べ続けられるよ!』
『いくらでもあるよ!』
承『こんな美味しいお弁当作ってくれる玲奈さんをお嫁さんにしたい!
お嫁さんになって!』
『なるぅ!』
※あくまで妄想です。
☆ ☆ ☆
うん、妄想してたら駅に着いてた。
道順も歩いた記憶も全く無いぞ?
危ないよね気をつけないと…!
駅に着くといつもの事ながら同級生たちとばったり遭遇。
同級生『わ!香椎さん今日すっごい可愛い!』
同級生『すごい!脚綺麗!しかも長い!
写真撮って良い?』
『だめだよ。』
私の趣味じゃないよ!
私の価値観としては?
可愛い>綺麗>セクシー
将来セクシーになりたいなとは思うけどまだ高1だしお姉ちゃんみたいにはいかないことはわかってる。
駅で会う同級生たちは口々に褒めてくれるし、男子はすっごい見てくるし恥ずかしいよ!
…時間もあるし…ターミナル駅の駅ビルで買い換えようかな?
私は迷い始めた。
私は人目に敏感なんだよね。
どうしても見られちゃうから普段から立ち振る舞いや言動には気をつけているし、人当たりは良い方だと思うし。
でも…これだけ格好ひとつで注目浴びると正直居心地が悪い…。
普段も登下校中に見られたり、手紙貰ったり、告白されたりはあるんだよ。
自意識過剰かもだけど、昔から容姿は整っていたしね。
…でも、綺麗や可愛い以上にセクシーってたちが悪い。
電車内で他の人。
特に男の人視線を身体の線や脚に注目を感じているし見られている感じすごい。
コートの前は完全に閉じて出来るだけ出さないようにしてるけどすっごい見られてる。
…普段の視線よりちょっと怖いよ…。
承くん好みなのかも知れないけど…まだ私には早く無いかな?
ほんっとお姉ちゃん許せない!いっつも人をおもちゃにして!
私や承くんが恥ずかしがってるのどこかで見ているんじゃないかな?
私は辺りを見回すけど今は居ない。
電車はいつものターミナル駅に到着して、同級生と別れる。
前はターミナル駅に来ると、来た!って感じあったけど今は登校時必ず通るからなんの感慨も無い。
待ち合わせは駅前のモニュメントで11:00。
まだ約1時間以上はある。
どうしよ?服買う?
何せこの服では尋常じゃない注目を浴びる。
コートで前きっちり隠しても脚全開…脚は自信あるパーツだけどこれだけ見られると辟易する。
そして、
ナンパ『お姉さん!すっごい綺麗だね!モデルさん?』
ナンパ2『俺たち、メンズ雑誌によく載ってる?いわゆる読者モデルなんだよね?』
『…毒藻って感じはしますね。』
髪に変なパーマ当ててなんか不潔感ある…すっごい脚見てるし…!
??『あ!その娘俺の彼女なんで!すいません!』
私のウエストに手を回そうとするシルエット。
私はそれをヒラリとかわす。
ナンパ『ちっ男連れか…!』
ナンパ『まああのレベルじゃな。』
ナンパ男たちは去って行った。
??『じゃ、行こうか?』
『誰かな?近づかないでくださいね?』
その男の子は爽やかそうに笑うけど頭の中で警報が鳴る。良くない。
九頭『ナンパから助けてあげたじゃない?
俺は
その男の人は一見爽やかそうに見えたけど目は私の脚を凝視してるし、頭の中で警報が大きく鳴る。
…この手法本当だったの?
※276話 突撃あっちゃん家の下部の千佳のナンパ談より。
『クズなんですね?
自覚があるようなら更生出来ると思います。
家へ帰って勉強でもした方が…?』
クズの人は勉強した方がって言ったら傷ついた顔してる…?
本当に自分をクズって貶めて同情を買うナンパ方法あるんだね…?
初めて見たよ!
しかし、ナンパを撃退してくれるタイプのナンパ方法とは斬新だなぁ。
それもこの服が悪いよ!
私はクズの人に、
『…頑張って下さいね?』
って声をかけて背を向けると後ろからコート越しに肩を掴まれた!
何かな?いい加減にしないと?
でもね、振り返ると、横のお店から!
承くんが飛び出して来て!クズの人の腕を捻りあげたの!
承『…ナンパはよそでやって?』
クズ『…ちっ!』
クズ人は手を離して尻尾巻いて去って行った!
なんで?なんで?
修学旅行の時もナンパから助けてくれたよね?
私の目…ハートになってるかも♡
承『…綺麗な娘はナンパされるモノって考えるようになったよ…。』
『私がナンパされてるのよくわかったね?』
承『…香椎さんは綺麗だし、可愛いからチラッと視野に入ればすぐにわかるよ?』
『…。』
私は承くんに照れ隠しでポカ!って叩く。
恥ずかしい…可愛い?綺麗?もう!
口元が綻んじゃうよ!
でも横のお店に入ってたのに私すぐわかったの?
私はニヤニヤしながら思っちゃう。
(承くんは…私好きなんだよ!やっぱり!)
なんのお店入ってたの?まだ待ち合わせまで結構時間あったけど?
承くんが出て来たお店の入り口を見て私は目を疑う。
横のお店…パン屋さん?
…イートインコーナーがガラス張りで席が通路向きになってる…?
そこに居たから外見え飛び出して来たの?
…は?
なんで?今日お弁当だって言ったよね?
『承くん…今日お弁当あるの知ってるよね?』
ビクって承くんが身体を震わせる。
『楽しみにしてるって言ってたの嘘なの?』
承『…いや?!ちが?!』
承くんは慌てて否定する、
『…じゃなんでパン食べたの?このあと私のお弁当あるのに?』
承くんは黙って俯く。
承くんだんまり私は悲しくなる。
…私が作るお菓子とか本当は美味しく無いのかな?
だから…今のうちに美味しいモノ食べておこうってしたのかな?
嫌なのに無理して食べてたのかな?
私は昨日からルンルンで作ったお弁当を投げ捨てたい衝動に駆られる。
滑稽だよね…望まれてないお弁当をあんなに一生懸命作って…。
あ、だめ!泣きそう…!
私の今にも泣きそうな兆候に承くんは土下座しそうな勢いで、
承『まだ!まだパン食べてない!ちょっとだけ聞いて!』
承くんは死にそうな顔で何度も謝りながら理由を話し始めた。
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