第306話 香椎さんは餌付けしたい【side香椎玲奈】

『永遠…恐ろしい子…!』


永遠が今日のデートの内容を細かく私に伝えつつ、私を煽ってくるよ。

デートした事ないの?承くんの映画デート童貞もらったよ?って。


『映画デート童貞ってなに?』


意味はよくわからないんだけど大切なものが奪われたような気がするから不思議だよね…?


三連休の初日、私は所用があったから?デート券がかち合った私たちは承くんと話し合い、なんと!私たちは2日目デートすることになったのー!


『デート…婚約者(仮仮仮)が居る私…は…ダメ!ダメだけど!』


葛藤したけど、もうデート券渡しちゃったしね?仕方無いよね?

自分に言い訳してデート約束取り付ける…!


永遠にも言ったけどふたりお出かけすっごい久しぶり!

前回中2だよ?普通ラブコメってそう言うんじゃ無いでしょ。

もっと付き合い始める前からだってお出かけ!口実つけて一緒!あるでしょー!



ふう。落ち着いた。

お姉ちゃんにバレないように支度して、明日のプランを推敲するよ!

永遠は駅待ち合わせ→ごはん→映画→お茶→家まで送ってもらう→バイト先へ押しかける。ってデート。…良いね、楽しかったようだし自分に当てはめるときゅん。

映画ってチョイスも定番の王道。好きなラーメン、映画後感想言い合いながらお茶、家まで話しながら帰る。

非の打ち所がない。相手が自分じゃ無い事だけ。なんで承くん他の女の子とデートを…!


永遠は永遠、私は私。

地方都市のここでは大してデートスポットが無いのも現状。

映画は使ったから?あとは博物館や水族館あたりがメジャーなんだけど?

私は敢えての植物館をチョイスした。


承くんは割と何でも楽しめる方みたい。

あと食べるの好き、いや大好き。


ターミナル駅からバスで20分ほど所にある植物園。

そこで手作りお弁当で胃袋も押さえるよ!



…なかなか婚約問題の松下新二さんの方が進んでなくってね?

最近すっごいストレス。

クリスマス以降、私は一刻も早く彼との婚約を破棄したい!

でも傷付けないように、円満の解決するための諸々が手間かかる。

唯一いい事が新二さんご執心の鶴田さんが良い人で?

たまに会うんだけど良いお姉さん!って感じの人で娘の泉ちゃんも可愛いし、仲良くしてもらってる。


…話し逸れた。

兎に角!私を癒せるのは!承くんだけ!

承くんがお腹いっぱいなる姿!

私のご飯に夢中でがっついてる姿見たいよぉ!

冬でも植物園の温室は暖かいだろうし?お花見たいし?



そんなわけで?明日は植物園デート!

私のお弁当付き!


諸々の下ごしらえして?色々準備して?

明日の早朝起きて?朝お弁当の支度すればもう完璧!

あとは…あの悪魔お姉ちゃんに知られないように?


事前に妹の望ちゃんからね?


望『兄ちゃんはニット好きなんですよ!』


って来たから?明日はニットワンピで勝負!ありがとう望ちゃん!

※望は永遠にも全く同じ事伝えました。


グレーのベレー帽、白いコート、ベージュのニットワンピ!

壁にかけていよいよ明日デート!




翌日、出発直前。


やっとお弁当仕上がった!

多めだけど成長期の男子高校生だもん、きっと食べちゃうよね?

よし!メイクして…!


あれ?



私のコーデが…?

ニットワンピが…ミニに…?丈短くなってる?!

…切った訳では無い?違う服だよね?

色はほぼ同じだけどタイトなミニのニットワンピになってる…!

しかも帽子は無くなり…猫耳カチューシャが…?!



朝は普通だったのに?!

いつすり替えられた?!


あれ?!

なんか?!私の服すっごい無くなってる?!

お姉ちゃん?!


急いでお姉ちゃんを問いただす!

しかしお姉ちゃんの部屋は鍵がかかってて?ノックしても返答が無い!


やられた!お姉ちゃんー!!

もう時間無いよ!行かなきゃ!

この家には魔物お姉ちゃんが住んでるよっ!


☆ ☆ ☆

デート出発直前玲奈の部屋。

玲奈はお弁当仕上げ中。


壁にかけたデート用コーデを一瞥する、姉の優奈。


優奈『確かに可愛さ最高、綺麗さ最高…だが玲奈、

肝心のセクシーが足りてないよっ♪』



優奈さん、玲奈の洋服を大量に自分の部屋に隔離!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る