外伝 とわんこの遠吠え【side紅緒永遠】
『はあ…楽しかったかなぁ…。』
私は俺カレでたっぷりご飯食べて19:00帰路に着くよ。
冬、ひとり、何も無い道、歩き。
いつも短距離でも自転車移動する体力よわよわな私には歩き時間はひどく退屈。
…。
…。
そうだ!玲奈に電話しよ!
ライバルのあの子に?
今日がいかに素敵だったか?承くんが可愛かったか?
お裾分けしちゃお!
早速、電話をかける。
『どうしたの永遠?デート終わった?』
玲奈は外面が良い、異常に良い。
…それでも出てくる好奇心と焦燥感。
『今終わった…ふう…素敵だった…♡』
『なに?!なにがあったの?』
『聞いちゃう?聞きたい?』
向こうから聞いて来たんだから良いよね?語っても?
私は微に入り細に入りデートを心情を交えながら語り尽くす、
玲奈は聞きたく無いけど情報が欲しいのか熱心に聞いてくれる!
『…素敵なデートだったね…。』
ため息混じりの玲奈の声を聞くとちょっと優越感!
だって?玲奈なんて今まで?好きなだけ承くんに手料理振る舞ったり?お出かけしたり?玲奈の事だから承くんに合わせた提案から、口実作ってお出かけまでなんでも出来たでしょ?
小5から中3まで?五年間クラス一緒で学校イベント共有して?
『貴女だって?いっぱい承くんとふたりでお出かけデートしたでしょ?
羨ましい…。』
本音だよ。私の入院してた暗黒時代の小5から中3の間にどれだけ思い出があるのか…これだけは嫉妬せざるを得ない…!
『…。』
玲奈がぶつぶつ呟く…。
『なに?何って言ったの?』
玲奈は軽くキレながら、
『ふたりでお出かけデートなんてした事無いよ!』
え?なんで?
玲奈は語り始める…。
どうやら承くんが玲奈に自分は釣り合わないってお出かけ全部断ってたらしい…。
『ふたりでお出かけは中3春…いや進級直前だから?
中2の春以来…。』
『なんだ…中2の春にふたりでお出かけはしてるんじゃん。』
『…望ちゃんの誕生日プレゼント買いに行く為。』
『は?』
『妹の誕生日プレゼントを買いに行くのに困ってたから!
私がプッシュして無理やり取り付けたお出かけだよぉ!』
ふーん、そっかあ。
私はにやっとしちゃう。
『じゃ、そっちも初デートなんだ?
悪いね?お先!』
『…ぐぬぬ。』
『あ!承くん女の子と映画見るの初めてだって言ってた!
ごめんねー?玲奈?
承くんの映画デート童貞いただきました♪』
『はあっ?ちょ…』
ここで電話を切ってやった。
玲奈は余裕ありすぎなんだよ。
そこだけは嫌い。
時間は有限、花の盛りは短い、好きならもっと真剣に相手に向き合わないと…。
そこまで塩を送る気は無いよ。
玲奈は本当に恵まれすぎてて嫌になる。
『でも、そっかあ。私が初デートなのかな?
女の子とふたりきりで遊びに行くって定義なら?』
ちょうど家の前に着き、私はふふって笑う。
今日は本当楽しかった!またデートしたい!
そんな冬の日。
※女の子と用事目的で無く、ふたりで遊ぶもしくは食事して語らうって点だと伊勢成実が承の初デート相手でした。(何度かラーメン行って、駅ブラしてます。)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます