第300話 バレンタイン編 立花望は怒られる【side立花望】

う、う…そりゃあ、あたしが悪いよ…?

でも、ちょっと友チョコ忘れただけじゃん?

※寝取られ宏介 109話バレンタイン中学生参照


放課後、私は親友四人に囲まれてガチ責めされていた…。

望はいつチョコ作って来てくれるの?って問いに笑って答えなかったからです。


親友『だけじゃないでしょ?』


う…みんなのチョコを食べたよ…遠慮無く…。


親友2『は?それだけじゃ無いっしょ?』


え…芹の皆んなに配って食べるチョコまで食べたから?


芹『…そうだよ。作り忘たクセに遠慮無く友チョコ食べまくって明らかに作って返す気がないからでしょー?』


だって、あたしチョコ作ったこと無くって…

ちょっとアテが外れてさ?

ら、来年!来年作ろうと思ってたのー!

ね?ね?許してよー!


親友3『どうする?芹?』

芹『…この猛獣は時間稼いでうやむやにする気だよ!

…強制収容して?矯正しましょ?』


親友3『おっけ!場所は?』


芹『立花家。逃げ場無いように弟くんをひーちゃんを人質に取ろうか?』


『ひーには!ひーちゃんには手を出さないで!』


親友1『ふふ、姉ちゃんの悪行はひーちゃんに返してもらおうかな?』


親友2『ひーちゃんにちゅうしちゃおう!』


『や、止めて…』


芹『…ひーちゃんを返して欲しかったら今日中にチョコ作ってちょうだい!』


『…はい。』


甘えすぎたか…私は帰りに駄菓子屋さんで板チョコをたくさん購入して家に帰るハメになった…。


親友2『あ、今日望の財布お金入ってる…!』


『…あたしのなけなしのお小遣いなのー!』


親友1『おばあちゃん!この板チョコ20枚くださいな!』


おばあ『…貴女食いしん坊だけどこんなにいっぱい食べると体壊しちゃうよ?』


うう、おばあちゃんがあたしの体気遣って止めてる…あたしこれひとりで食べるって思われたんだ?


親友2『これからバレンタインチョコ作るんです!』

親友3『今から!この子忘れん坊だから!』


おばあ『あらあら。』


くっ中学生になって忘れん坊呼ばわりは…!

女の子だよ?


『坊って言うか?おばあちゃん、あたし女の子らしくなったと思わない?』


私もう中2いや2ヶ月後には中3!もうじき15歳だよ!

ちょっとポーズして、香椎先輩みたいな品のある清楚なお嬢様スマイルをキメる。


おばあ『…私目が悪くなったからよくわからないねぇ。』


親友たち『『『ぎゃはははははははは!おばあちゃんまだ目大丈夫だよぉ!』』』


『…ふぁっく。』


無用な辱めを受けてあたしは我が家へ連行される。

4人で笑いながら。

雪だるま3きょうだいの横を通り、帰宅


家へ帰りジジババに帰ったよ!って挨拶して、親友たちも挨拶して家へ入る。

荷を下ろして、エプロンを付けて頭も髪入らないようにタオルを巻く。


親友2『なんか可愛いヤツつけろよ!』

親友3『ラーメン屋さんの大将!』

親友1『こんなに可愛いラーメン屋見たこと無い!やったね望ちゃん!』


『うるさい。』


芹『…お待たせー!』


芹は余ったチョコやラッピングや箱、チョコペンを持って来てくれた。

本来チョコの件は忘れて無かった。アテが外れてさ?

私は正直自信無いし、みんなでさ?キャッキャ楽しみながら作らない?


芹『私たち甘やかしすぎてた。』

親友1『反省してる。』

親友2『無駄に厳しくする。』

親友3『叩き直す。』


『甘やかしてよぉ!』


こうしてスパルタ合宿みたいなバレンタインチョコ作成が始まった。


芹『ほら!包丁でチョコ刻んで!』


『えー?湯煎ガンガンしたら溶けない?』


芹『…ダマになっちゃうでしょ?ほら反対の手は猫の手にして!』


望『にゃー?』


親友1『芹ー!こないだ望が家に忘れた乙女心見つけたー!』


『…何を…?


ぎゃーーー!!!』


それ!あたしの!勝負のやつ!

奮発して買った…秘蔵のフリルがいっぱい付いた未使用のピンクのブラとショーツセット!


親友2『…かろうじてBの望にブラなどいるのか…?』


親友3『…夢くらい見せてあげようよ?』


親友1『ファイト!』


『ふぁっく。』


こうして、私は芹たちに監視されながら泣きが入るほど厳しく付きっきりでチョコを作った。


ひー『ただいま!おねえちゃんたちいらっしゃい!』


親友たち『『『ひーちゃん!』』』


初めてすぐひーちゃんが帰って来て、親友たちはひーちゃんを抱っこしたり、膝に乗せたりキャッキャ楽しそう。


でも、芹は離れずあたしを監視してる。

芹に聞きながらチョコを湯煎で溶かして型に入れて、冷やす。

これを何個か言われるまま作った。


芹の持参した、型に流し込んでいる頃兄ちゃんが帰ってきた。



兄『ただいま…。

お!望の!いらっしゃい。』


親友たち『『『お邪魔してまーす!』』』


兄ちゃんはなんか浮かない顔で。

表面は笑顔だけどなんか暗い。

兄ちゃんは不思議そうに、


兄『今日チョコ作ってるの?』


『…感謝と愛情を贈りたい。

今日渡せば文句無いでしょ?』


兄『…文句は無い。』


『友達やいつもお世話になってる人に感謝を贈るチョコでもあるよ。』


兄『お菓子メーカー販促そのまま』


芹『…お兄さん、聞いてください。

望ちゃん皆んなの友チョコ食べまくりで返さないんです。』


兄『しつけが行き届かなくて申し訳ない。』


一通り笑うと、


兄『そうだ、伊勢さんと紅緒さんがこれ、望ちゃんとひーちゃんにって。』


私は礼を言って受け取る。ひーちゃんも大喜び!

さすがなるみちゃんととわちゃん!

あたしを癒してくれるのはチョコだけ!


『兄ちゃんチョコ何個貰ったの?』


最初に冷やしたチョコを注意深く型から出しながらあたしは兄ちゃんに尋ねる。


兄『3個。』


『え?3個?すごいじゃん!よく3個も?』


私は2個だろうなぁって思ってた。

だって…。



兄『伊勢さん、紅緒さん2個。』


芹『なんで2個?』


兄『…とわんこの奇襲。』


とわちゃん仕掛けたんだなぁ。

あたしのアテが外れた理由なんだけどさ?



『やっぱ香椎先輩からは貰えなかったんだね。』


兄は顔を曇らせて、頷いて言う、


『…まぁ、仕方ないよね…。』


あれ?兄ちゃん知らない?


『香椎先輩にちょっとチョコ作り見てもらおうって思って電話したの、土曜日。

そしたら先輩が金曜日に先輩のおばあさま亡くなったって言ってて、ちょっとバタバタするからって言われた。今年は残念だけど仕方無いね。』


そう言えば土日は私部活で兄ちゃん夜までバイトだったから全然会って無かったね。知らなかったんだね…。

兄ちゃんは一瞬考えた後、大きく頷いた。

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