第294話 バレンタインチョコ作製記【side紅緒永遠】

なるみんに啖呵を切った手前、失敗って訳にはいかないよ!

…でも?参加メンバーに?経験者が居たりしない?

だって10人以上居るんだよ?

1人や2人や3人居たっておかしくないっしょ?

あーしはクラスロインで探すことにしたんだよね?

※錯乱中、成実の口調が伝染ってます。


ロインにて、

『明後日のチョコ会だけど、チョコ作った事ある娘どれ位居る?』


祈るような気持ちで投稿する。


『私は初めて!』

『わたしも!』

『料理したことも無い!だから今回助かるよ!』

『だよね!1人で台所立った事も無い。敷居高い!』

『家じゃ家族にばれちゃうし、1人じゃ不安だし…本当助かる!』


思ったより…喜ばれている事と、作った事ある娘居ない事が不安になるよ…。


なるみん『ほら!教える側とか?ちょっと分けた方がやりやすいじゃん?

上級者、初心者、教える子みたいな?皆んなどんな感じ?』


皆んな口にする、

『初めて。』


やっっばい。大丈夫?

素人だけ14人(人数集計できた)集めて何が出来るのかな?


『とわわん、料理上手だし☆』

『しげもクッキーとか上手いしな?』

『良かったー!1人じゃ作れない!』

『きっかけ欲しかった!感謝!』


『明後日、楽しみだねー?』


ロインを終え、もう一度なるみんと電話。


なるみん『やばくない?火事や怪我心配になるレベルでみんな料理してこなかったみたい?』


『…それでも、どげんかせんといかん。』


なるみん『知り合いに居ない?』


『私の知ってる女の子は全員なるみん知ってる娘だよ!なるみんこそ居ないの?』


なるみん『…私が知ってる中で1番製菓技術が優れてるのは…香椎玲奈。』


なるみんの声が固い、香椎玲奈と昔何かあったんだろうなぁ…。

親友のなるみんがやりにくいなら呼ぶ訳にはいかない。

承くんに贈るチョコに玲奈の助力を乞うのも引っかかるし…!



なるみん『…もう1人居る。でもスパルタだよ?』


『おお!良いよ!』


私はなるみんの提案に一も二もなく乗った。



☆ ☆ ☆

翌日、11:00紅緒邸。


なるみん『とわわん!来たよ!』


『いらっしゃい!ようこそ!』


?『立派なお宅なのね?』


『千佳ちゃん!ありがとう!』


小幡千佳ちゃん!

なるみんの友達でもあり、俺カレで会って私とも時々ロインしてくれてるし、玲奈の親友でもある。

※玲奈破ったエピで千佳を尊敬してます。


千佳『航からもお願いされたけど?チョコ作るの?みんなで?

多少下手でも男子喜ぶから皆んなでワイワイ作れば良いんじゃ?』


『…それが…?』


私は恥を忍んで惨状を伝える。

誰も経験者が居ない14人の素人集団…数人は監督者や経験者居ないと大失敗になっちゃう…。


千佳『え?1人も居ないの?14人も居て?』


『チョコを湯煎する事位しかわからない。昨日スマホで包丁で削ってからやった方が良いって知ったレベルで…。』


申し訳ない。

なるみんが言うには千佳ちゃんじゃ体育祭の時に手作りお菓子でチームの士気をあげたり、玲奈と時々一緒に製菓してたって聞いたからきっと、呆れられるんだろうな。って思ってると。


千佳『誰だって初めてはあるでしょ?そんな事で呆れないわよ。』


『女王…!』


千佳『女王は止めて!』


クール女子が照れて真っ赤になるって破壊力あるね!

青井くんはこういう千佳ちゃんにメロメロなんだろうね?


朝イチで購入した、多めのチョコ作製材料を使って今日なるみんと私が基本的な事を学び明日は指導的なポジションに。

未経験者をに付き添いおかしいとこ注意して回る先生ポジで臨むよ。


千佳先生の指導が始まった。


千佳『私が知ってる事まず教えるね?』


まず1番簡単な板チョコ溶かして固めて直す方法。

ラップせずにチョコレートを器に入れて電子レンジで90秒、スプーンで滑らかになるまで混ぜて?そのスプーンで型に流し込み45分位冷やす。

その後チョコペンなどで模様や文字を描く。


千佳『これが1番簡単だね。湯煎するなら最初のチンを包丁でチョコ刻む?削る?って感じで細かくして耐熱ボウルで湯煎にかけて溶かして同じ工程。

…チンは電子レンジの事ね?下ネタじゃ無いわよ?』


『その補足が下ネタっぽい…。』


実演してくれる千佳ちゃん。

これだけなら見れば大丈夫だね。


千佳『あと、簡単でゴージャスっぽく出来るのが生チョコで?』


ボウルにミルクチョコレートを割り入れて、鍋に生クリームを入れて沸騰直前まで温めてさっきの割チョコに入れて溶けるまで混ぜ合わせてクリーム状になるまで混ぜ合わせてバットに入れてラップして冷蔵庫で1時間。


千佳『切り分けて最後にココアパウダーをまぶして完成っと。』


これを冷やしてる途中でスプーンですくって一口大に丸めてココアまぶすとトリュフチョコになる。…なるほど…!

一応このあたりが失敗少なくって結構美味しいし、見た目も可愛く出来ると思うよって千佳ちゃん。


なるみん『…さすが千佳ちゃん。』

『ほんと、さすが千佳ちゃん。』


千佳ちゃんは恥ずかしそうに、


千佳『…玲奈はもっとすごいよ。

手際良くて、細かい細工を施しながら、味にも見た目にもうるさい。』


…さすが我がライバル…!


千佳『…私は今年ガトーショコラに挑戦しようって思ってて。上手く出来るかわからないけど。』


ガトーショコラ!すごい!

ここに、材料あるよ!一通り!

一緒に作ろうよ!私は提案する。


千佳『紅緒さん!ちゃんと測って!成実!ちゃんと念入りに卵黄混ぜ合わせて!』


ガトーショコラはしっとりした濃厚なチョコケーキ。

これ出来たら女子力レベル高そうに見えない?

でも、さっきまでと違い、千佳ちゃんがスパルタになった!


千佳『さっきのチョコと違ってケーキ類は計量や手を抜くと一発アウトなシビアなお菓子なの!』



『はい!』

なるみん『わかってるよ!』


3人でレシピ見ながら一生懸命作る!

大変!これ大変だよ!


でも、




『『『うわぁ!!』』』


出来栄えは最高!

輝くような黒々艶々なしっとり濃厚!

これ!売れるでしょ!

冷やしてから試食したけど味も最高!三人でハイタッチ!!



11時から始めたチョコ作製もあっと言う間に15時。一通り出来た所で折角だからすぐ目の前の東光高校に居る青井くんを呼ぶ。部活終わりだね。


☆ ☆ ☆


青井『家近いから仙道も呼んだ。』

仙道『!!

初めまして?東光の仙道です。』


仙道くんは千佳ちゃんは初めてか?

仙道くんキリッとした表情で千佳ちゃんに挨拶してる。



青井『あー、千佳は前言った俺の彼女なんよ?』


仙道『俺はイケメンが許せない…!』


血涙を流しそうな表情の仙道くんに、なるみんが。



なるみん『まあまあ、仙道?バレンタインチョコの試食できるんだぞ?

こんなイベント無いっしょ?』


仙道『また僕を騙そうと…その手に乗らない…まじ?』


ガトーショコラは本番で千佳ちゃんが青井くんに出すから存在を秘密にしてる。


試食は三種。

溶かして型に入れたチョコと生チョコ、トリュフチョコの三種。

全部チョコだし、後の二つはほぼ一緒だし味は甘くていっぱいは食べれないかもね。


最初に生チョコ。

『うん、美味しい!』

みんなも口々に言う。

ココアパウダーの苦味がアクセントになって香りもすっごい良い!

作りたてだからかな?自分で作ったからかな?


次に型に入れたチョコ。

これは市販品の味そのままだね。


仙道『これは?』


なるみん『さっきチョコペンで書いた。』


仙道『ハート型なのに割ったの?』


なるみん『うん、誤解があるとお互い不幸っしょ?』


仙道くんは泣きそうな表情で、


仙道『あんまりだ…。』


仙道くんのチョコはなるみん作製。

わざわざハート型を二つに割ってある。

チョコペンで『仏恥義理』って書いてあった。


仙道『…しかし、美人巨乳ギャルの手作り…!ありがてぇ!』


仙道くんは泣きながら食べてた。


最後にトリュフチョコを食べた!

これも美味しくってたまらない。


私はなるみんと胸を撫で下ろす。

明日はこの辺を作れば大丈夫!

きっと楽しくなるぞ!


千佳ちゃんありがとう!

青井くんの自転車で二人乗りで新川へ帰るんだって。

…なんか良いなぁ。


千佳『…本当は少し羨ましくって。

永遠も成実も航と一緒の学校へ通って毎日同じクラスで一緒でしょ?』


玲奈も私をそう思ってるのかな?


なるみん『…とわわん、防寒に色々貸して?』


なんで?


なるみん『2月の大きな川舐めちゃいけない。

死ぬよ?』


千佳ちゃんは彼氏の登下校ルートを自転車二人乗りで帰る乙女モードだったけども。

あのオシャレ番長のなるみんが着膨れを勧める事にひきつつ言われるがまま着てモッコモコになってた。


帰宅後のロイン。


千佳『成実、永遠。ありがとう。

大河を舐めてた…着ててもあんなに寒いなんて…!』


なるみんは来た時同様電車で帰った。



こうした準備もあって、翌日の本番はバタバタしたものの皆んなでチョコ作って、ごはん食べて大盛り上がりの女子会で!

11時から18時までみんなでわいわい笑って泣いて恋バナして?

楽しい思い出に残る会だったの!

それぞれが勝負チョコを作製したり、友チョコを作ったり、義理だけど…繋げたい!そんな女の子たちの勝負の1日が翌日始まった。



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