第288話 初めて…【side小幡千佳】
※性的な表現があります、ご注意ください。
私には彼氏が居る。
子供の頃からの幼馴染と言っても良い位家は近所で、小さい時から知ってる男の子。
実際親しくなったのは中2の頃からで?最初は委員長と問題児って間柄。
そこからイベントを一緒に戦う仲間になって、中学校卒業を機に交際が始まった。
…秘密にしてるわけじゃないけど誰にも聞かれないから私と航が付き合ってるの知ってるのは私と航の友人だけだと思う。
航は私を大事にしてくれる。
委員長と問題児って間柄が長かったっから?今もその風情が残っているんだけども、航は私を壊れやすいモノみたいに大事に優しく扱う。
キスすると目の色変わって強く抱きしめてくれたりするけどその先には躊躇してる。
…正直女の子の方が耳年増で?何でも知ってて?そういう話題もエゲツないのだが航はピュアでそこを可愛いと、気に入ってる自分がいるので無理して先へ進める必要もないって思っちゃう。
最近、そんな子供だと思っていた航が喫茶店で、
航『千佳、俺、消防士になりたいんだ。』
唐突に夢を口にした。
少なからずびっくりした私は詳しく聞く。
高校に入学して入った柔道部は彼の性分に合ってて、出稽古先に警察署や消防署があって、そこの消防士のおじさまに熱心に誘われたらしい。
航『簡単な事じゃないし、大変だし、危険も多い。
でも、こんな俺でも人を助けられて、それが仕事に出来たら最高だなって。』
はにかむ航の少し大人っぽくなった笑顔に胸がきゅーってする。
格好良いじゃない私の彼氏!
でもね、私も夢がある。
…司法書士を志している。
法律関連の書類を作成し、法律知識で人や企業の役に立つ仕事で弁護士よりは市民の身近な法律家って感じかしら。
なかなかに難易度が高く勉強は難しい。
…玲奈の夢が弁護士だった事に驚くと共にどこか私との縁に運命めいたものを感じるわね。
航の夢と私の夢。
共存できるのかな?いつか夢のことでふたり別つ日が来るのかしら?
それはまだわからない。
でも、私は航の夢が見つかった事を素直に喜んだ。
休日、私の家。
『勉強思ったより悪く無いね?』
航『ああ、紅緒試験対策が当たってる。』
紅緒さんとは私もロインしてるんだけど、なんか面白い子なの。
承くんに告白して玲奈と敵対関係なのに喧嘩して仲良くなってわけわからない。
…でも、玲奈がライバル認定してる…それちょっと気になる。
私、ちょっと油断してたのよ。
ちょっと前のクリスマス、お正月を過ぎて?
もう少しするとバレンタインデー、ホワイトデー。
もし付き合ってる男女が進展するなら?
そういうイベント関連で?もしくは長期休暇で盛り上がって?って思ってた。
だから油断してたんだ。
なんに準備していない。下着や諸々!
付き合って半年以上キス止まりだから?
胸元チラッと見せても赤面して指摘してくるような男の子だから安心しきってたのよね…。
私は、この時魔がさして、
クリスマス進展させようかな?って思って買った。
でも、恥ずかしくって見せれなかった、コスプレ衣装…それをふと航に見せたくなった…!
航『え?なに?何見せてくれんの?』
能天気な声がする。
ちょっと待ってて?
『じゃーん!』
私は真っ赤なサンタ衣装。
ミニスカサンタにガーター付けて網タイツっぽいの付けて航の前に飛び出す!
成実っぽい?ほっぺに手のひら付けてらしくないけど可愛いポーズで。
私綺麗って言われるけど実は可愛いに憧れがあって…玲奈はそこんとこうまく両立出来てて参考になる。
※玲奈はその頃猫耳れいにゃ!です。
航『…。』
航の目が点になってる…!
やだ!恥ずかしい!
私は何故これを航が喜ぶと勘違いしてたんだろう?
私なんて可愛く無いのに…勘違いしてた…。
あはは。
航に謝って、着替えようとすると。
ひしっ!!と抱き締められて!
なに?!
って思うともう、ベッドに投げ出されて?!
ちょ!まって!
だめ!
…あ。
ハッキリした幻のような時間はあっという間に過ぎて、私は初めての事を終えた。
目の前で航が土下座している。
『なんで?』
航『恥ずかしがる千佳、ミニスカサンタ衣装、網タイツっぽい奴が全部ストライクで、スリーストライクでバッターアウトでした…。』
とにかく、航のどストライクだったらしい…。
改めて顔合わせると恥ずかしいね…。
航『一生懸命、一生大切にするから!』
『先のことなんて誰にもわからないでしょ!もう!』
私は嬉しかったけど恥ずかしくって素直に甘えられなかった。
むしろ航の方がデレデレで意外だった。
恥ずかしいけど嬉しい気持ちも強くて
『何がそこまで良かったの?これまでキチっとキスまでで線引いてたじゃ無い?』
航が考え込む、
航『やっぱミニスカサンタさんかな?』
私は照れながら、
『もう!2月にミニスカサンタで彼氏が興奮して…もごもご…なんて友達に言えないわよ!』
航『子供の頃から戦隊モノは赤が好きだし、消防車のミニカーお気に入りだったし?赤好きなんかな?』
私は軽く引きながら、
『赤なら何でも良いんじゃ?』
口に出して怖くなった。
赤いセクシー衣装着た娘にすぐ浮気するんじゃない?
航『しねえし!』
…こうして、私の初体験が無事終了した。
でこれで?初心でねんねな玲奈に何か聞かれても答えられるでしょ?
事後の不思議な高揚感と喪失感。これで良かったのか?って疑問と好きな人との初めて!って訳わかんないテンションを落ち着かせる為にコンビニに向かった。
航と手を繋いで…。
☆ ☆ ☆
次の日、駅で外町くんに会った。
外町くんは中学卒業式の日に、木多さんにお尻をハサミで刺されて入学が遅れしまった。
その為、スタートダッシュに遅れてしまい中学時代の彼からは想像つかない立ち位置に、散々卑下してきた陰キャになってしまった。
県内の公立高校の最難関高だからね、差はそんなに無いから勉強も苦戦してしまってサッカーも辞めたから太って来たしね…?
それもあって同じ高校だから社交辞令で声をかける。
テスト範囲、先生の話、新しい生徒会の話。
私的な話は一切していない。
なのに、外町くんは結構異性関連の話を振ってくる。
最近は遠回しに私が綺麗とか僕今彼女居ないとか囁いてくる。
私は青井を切り捨てた外町くんに良い印象を全く持ち合わせていない。
良い機会だからこれまで明言しなかった青井との交際をハッキリ口にした。
『…だから、私は航と、青井航と付き合ってるの。
その遠回しに探り入れるのと、値踏みするようにジロジロ見るの止めて?』
外町くんはショックを受けた表情で顎の下をぷるぷるさせて、
外町『あっー!!』
叫んでた。
ショックだったのかな?
でも、あのまま遠慮して口説かれても面倒くさいし良いか♪
☆ ☆ ☆
玲奈ダメだったんで高校で彼女探したけど上手くいかなくって千佳を口説いていた外町くん。
残念!自分が切り捨てた青井航の彼女でした!
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