第284話 愛称と相性

紅緒『承くんってさ?香椎さん苗字で呼ぶんだね?』


玲奈『は?』


紅緒『私、あだ名で『ぬし』とか『とわんこ』って呼ばれてるよ?あと『わんこ先生』とか?』


ピリついた人生ゲームを終えて一息ついてるとまた!またとわんこが香椎さんを煽るの!止めて!今日の香椎さんなんだか幼くって、挑発に乗っちゃう。

いつもの余裕や完璧っぷりが見る影ない。



玲奈『…そうだね?なんでここでも香椎さん呼びなのかな?』


『だって…人前で…。』


玲奈『玲奈。』


『玲奈…さん。』


玲奈『よろしい…と言いたいところだけど!

私にも愛称を要求するよ!

東光で紅緒さんは愛称で呼んでるの?そこんとこ詳しく…。』


紅緒『じゃあ!じゃあ!私も前に言った様に?名前で呼んで欲しいなー!

リピートアフターミー!とわちゃん。』


『…永遠ちゃん…。』


どさくさに紛れて要求は大きくなる。


玲奈『愛称!あだ名!可愛いの!』


今日は玲奈さんの(直した)幼児化が止まらない。

考えて、永遠+わんこ=とわんこ…ときたら…?



『…れいにゃ?』


玲奈さんはみるみる真っ赤になっていく、


玲奈『なっ…なっ…なっ…れいにゃ?』


うちの子達も連呼する。


望『れいにゃん先輩!』

ひー『れいにゃちゃん!』


真っ赤になったれいにゃ(仮)さんは、


玲奈『…ふたりだけの時にして…。なんか恥ずかしいよ…!』


恥ずかしがってる玲奈さんこそ至高…!

だけど俺も顔から火が出そう!

愛称は封印の方向で…?



☆ ☆ ☆


バチバチに煽り合うふたりを仲良くしてもらう策…色々考えたけど思いつかなくて?

何か要望ある?ってふたりに聞いた、


玲奈『…アルバム見たい!』

永遠『私も!』


そんなの見たい?って思いつつ、母さんが作った俺アルバムを披露する。


紅緒『…おとなしそう!』


玲奈『…ほっぺ可愛い!』


意外にも、俺のアルバムに興味津々なふたり。

俺は本日何度目かのお茶を淹れる…。

俺はお茶習おうかな?武将の趣味筆頭の風流な趣味だろ。


紅緒『可愛いー!』

玲奈『ほら!こっち!幼稚園!目がクリクリ!』


ふたりは大盛り上がり!


紅緒『今もいいけど…小さい承くん愛でたいよぉ!』


玲奈『抱っこして一緒に寝たくない?』


紅緒『わかる!寝る寸前まで甘やかしたーい!』


なぜか盛り上がるふたりに安心したひーちゃんが、


ひー『なかよくなったの?』


ふたり『『なってないよ?!』』


意外と相性良いのかもしれない。




たった半日の紅緒さん訪問イベントもそろそろおしまい。

夕方になり、駅まで送りに行く。


ぞろぞろ、うちの三兄弟に、玲奈さんまで着いて来て、新川駅まで歩いていく、



組み合わせは歩いてると時々変わる。


玲奈『…今日はいっぱい言いたい事あるけど、家に呼んでくれたから、側で見れたから、よしとするよ!』


良かった、死刑は免れたらしい。


『楽しかった…?』


恐る恐る聞いてみる、


玲奈『楽しかったよ?…紅緒さんとは?いつか決着付けなきゃだけど?』


チラッと玲奈さんが見るととわんこはのぞひーに囲まれてニコニコしている。


『ホストとして、力不足を痛感しました。』


本音である。


玲奈『ふふー!…でも女の子ふたりを手玉取ってしまう承くんなんてらしくないからこれで良いんじゃないかな?

一生懸命に私と紅緒さんの間取り持とうとしたり、楽しませようって必死なのは伝わったよ?』


結局、香椎玲奈には敵わないんだよね。

苦笑しながら肩を並べて歩く。


いつもの小学校横の歩道橋を渡り、信号待ちの時間に組み合わせが変わる。


紅緒さんだ、


紅緒『今日は楽しかったな!』


『楽しかったの?玲奈さんとバチバチだったじゃん!』


紅緒『まあね。でもそれも含めて楽しかったよ?

こうして承くんたちが育った町見て、家族に触れて、ライバルにも会えて?』


紅緒さんはうふふ♪って笑う。

冬に夕方の寂しい景色に紅緒さんの微笑みが妙に儚く見えて胸騒ぎがする。

止めてそうゆうの!いつもの元気なとわんこで居て!


紅緒『ああやって、皆んなでボードゲームするのもさ?初めてで!

ライバルと妹や弟と!私兄妹居ないからさ?ああゆうの憧れてたんだ。

…またやりたいな?』


『…何度でもやれば良いじゃん?』


紅緒『何度もでもヤル?』


『とわんこ!絶対玲奈さんの前でそうゆう事言うなよ?』


紅緒『あーあ!私も今日の人生ゲームみたいに、

お金無くっても良いから、赤ちゃんいっぱい産んで、家族たくさんで幸せに暮らして、幸せに人生ゲームをあがりたいな。

今日はそんな幻を見ちゃった♪だからなんか胸がいっぱい。』


そんな表情するなよ。

俺は儚い、透明感のある紅緒永遠が大の苦手。


駅前の大通りで信号待ちの時、組み合わせが変わる。

立花家と玲奈、永遠組に別れる。



後ろから2人の後ろ姿を見る。

美人なふたり。すっごい絵になるしすれ違う男子学生が振り返る。

ふたりで笑い合って、肩を叩きあってる、ここだけ見たら仲良しなのに…。

それをぼんやり見ている俺。


望『何を話してるんだろうね?』


『…さあ?』


ひー『なかよしになったらいいのにね?』


『本当だね?』


また前の美人たちはケンカし始めたw

これはこれでいいコンビなのかも知れないね?


電車来る直前までホームで話して、電車乗る所まで見送って。

見えなくなるまで手を振って。

また来たら良いじゃん、紅緒さん涙目になるなよ?

雰囲気出しすぎ!


紅緒さんを送って、家へ帰る途中にいつものコンビニに望とひーちゃんが寄る間に俺は5分もかからない香椎邸へ玲奈さんを送る。


夕方薄暗い。

今日の話しをしながら、2人で歩く。

隣を歩きながらポツポツ話してた玲奈さんの口数が減って行く…。


今日の対応でダメなとこあったかな?

香椎さんの家がもうすぐのとこで、


すっ


香椎さんが俺の手を取る…!

ビックリしちゃう!


ビックリした俺は体をこわばらせるけど玲奈さんは手を離さない!


え?



繋いだままの手をそれぞれ見つめるふたり。

沈黙がふたりの間を流れる…。


静かな冬の夕方、肌寒いから繋いだ手が暖かい…いや熱い。


俺は言葉が出なくって。


玲奈さんは真っ赤になりながら、でも手は離さない。

かろうじて玲奈さんから出た言葉が、




玲奈『あの!その!これは!


…永遠が…永遠が…承くんの手がすっごい男らしくって素敵だって…良さをさっき語ってきて?手を繋いだって自慢するから…。』


もう俺は何も言えなくって、10歩だけ手を繋いで歩いた。

去年の文化祭の後夜祭以来だったけど…玲奈さんの手はスベスベで小さくって素敵だったよ。

そんな冬の日!


※紅緒永遠は手フェチです。



☆ ☆ ☆

今日の誤字


玲奈を癖で香椎さん呼びして玲奈に追求されるシーン。


×玲奈『…そうだね?なんでここでも香椎三、四尾なのかな?』


⚪︎玲奈『…そうだね?なんでここでも香椎さん呼びなのかな?』


さんよび→三、四尾 誤変換。


この後、れいにゃ呼びされるけどただの猫じゃ無くって尻尾何本もある化け猫なのかも知れないとあるは納得したのだった(笑)

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