第281話 修羅場のチャチャチャ【side立花望】
お昼前にー、部活から戻ってー。
お腹減ったなぁってシャワー後ゴロゴロしてたのね?
今日、また紅緒の永遠ちゃんが家に遊びに来るって言うからー。
前回永遠ちゃんがお弁当作って来てくれて?卵サンドやコロッケとか美味しかったんだよねー!
自分家ご飯も美味しいけどさ?ひとの家のご飯ってなんであんなに美味しいのかな?
癖が違うって言うの?同じ食べ物でもその家の味ってあるんだよねー?
今日もご飯ご馳走してくれるんだって!
がらん!家の玄関の引き戸が開く音がする。
お、帰って来た!
『おかえりー?』
兄ちゃんとひーちゃんが手を繋いで?
兄ちゃんは荷物も持って?
紅緒『望ちゃん!こんにちわ♪』
『とわちゃんこんにちわ!』
永遠ちゃんに挨拶する、…と?
香椎『…望ちゃん、こんにちは♪』
『香椎先輩!こんにちは!』
何故だ?香椎先輩来た?!
天月の制服姿…かわええなぁ。
先輩の制服姿めっちゃ可愛くない?
香椎先輩と永遠ちゃん…。
どこでエンカウントしたのか?駅かな?
…ビリビリくるこの雰囲気…。
駅からここまでこんな感じで来たのかな?
ひーちゃんがぷるぷる震えてる…。
ひーちゃん可愛いっ!こんな時でもうちの弟天使だよぉ!
とりあえず4人の目は、
兄ちゃん バッキバキ
ひーちゃん チワワみたいなうるうる
香椎先輩 真剣
永遠ちゃん 爛々
だったよ。
兄ちゃんこれどーすんの?
祖父母に挨拶したふたりは、キッチン横の8畳の和室、通称茶の間にお通しする。
兄『俺お茶淹れて来る。』
兄ちゃんはお茶を淹れる。私は共通の知人でもあるからふたりをもてなす。
ひーちゃんもマスコットとして、側に居る。
『おふたりは駅で会ったんですか?』
私が話をふると、
香椎『そうなの、改札出たら承くんとひーちゃんが居たから話しかけたら紅緒さんが遊びに来るって話しを聞いて?
承くんに遊びに来る?って誘われちゃって?』
永遠ちゃんが口を挟む、
永遠『まあ、社交辞令で誘うけど…本当に来ちゃったね?
女の子が男の子の家に遊びに行く時、途中で知人に会って?普通その知人着いて来るかなあ?』
ピシ!って氷が割れるような音が聞こえる気がした。
香椎『…不健全な遊びとか言ってるから心配になっちゃって…
お邪魔なら帰るけど?』
永遠『…そうだね…ちょっとお邪魔かなあ?』
香椎『あ!私望ちゃんに用事があったなぁ。(棒読み)
そっちの件もあったからしばらく帰らないよ。』
ピシ!また氷の音がするよ。
…しょうがないお姉ちゃんたちだよね。
『まあまあ、折角なんだから仲良くしましょうよ?
みんなで遊んで!みんなでご飯食べて!
ほら仲直り♪仲直り♪あくしゅー!』
このタイミングで兄ちゃんがお茶淹れて戻って来た。
会話を聞いてたんだろう、兄ちゃんは目でありがと!って目配せしてきた。
2人とも気さくで優しい良いお姉さんなんだから上手く付き合えればすっごく仲良しになれるんじゃ無い?
私の感覚だとね、このふたりはすっごい親友になるか敵対するか?両極端になりそうな気がするよ…。
ふたりの手を取って握手させる。
香椎先輩の手は指が長くってしなやかで綺麗な流線美って感じだった。
永遠ちゃんの手は真っ白スベスベつるっつるって感じ。
良い女は手も綺麗。勉強になるなぁって思ったのも束の間、
あ!とわちゃん!
とわちゃんが!香椎先輩の手をギュー!!って握力で握り締めた!!
それ悪役ムーブでしょ?!
ヒロインのする事じゃ無いでしょ!
とわ『…。
…
…!』
香椎先輩は笑顔のままそれを握り潰した?!
先輩握力45kg位あるって言ってた。
157話 香椎さんvs木多さん 参照。
とわ『!!!
ギブギブ!』
たまらずタップして降参するとわちゃん。
笑顔のまま完全には緩めない香椎先輩。
兄『あ!香椎さん、そこまでで?この子身体弱いから…!
ごめん、こいつ勉強は出来るけどおバカなとこあるの。許してやって?
まったく!唯一自信がある握力で勝負しようとしたんだろ?
とわんこ!次やったらハウスだからな…?』
香椎『とわんこ?!あだ名呼びしてるの?!』
紅緒『だってぇ…。手痛い…。』
あ、香椎先輩が涙目でショック受けてる…。
とわちゃんも手をさすって涙目だけど、
とわちゃんから仕掛けたのに、まるで被害者ムーブ!
(今日のとわちゃんすっごいな。悪役ムーブから被害者面してる…。
あの香椎先輩がペース握られてるなんて…。)
私はふたりだったら香椎先輩が有利と見ていたから意外だった。
お茶出したけどあたしお腹空いたし、この空気じゃよく無いから?
早速ご飯にしよう?って提案。
香椎先輩が申し訳ないって顔で帰ろうとするから?
『チャーハン!チャーハンの作り方教えて先輩!』
香椎『チャーハンは簡単だけど奥が深いよ…。』
って言って、有り合わせのハムとネギをみじん切りにして、卵だけで黄金チャーハンって言うの?作ってくれた!
同時進行でスープも。先輩めっちゃ手際良い。
コツとか手順教えて貰った!
…いつか先輩みたいに好きな男の人に自然に作って出せたら良いのになぁ。
って思う,突発的に作って見せる先輩の女子力の高さは大いに学ぶべき。
先輩のチャーハンとスープ。
とわちゃんのおにぎりとメンチカツ、ほうれん草とベーコンのソテー、きんぴらごぼうなどをみんなで分け合って食べた。うま!
お互いの料理を食べて、無表情に頷くふたり。
香椎『…うん。おいしいね。』
永遠『…なるほど、おいしい。』
『美味しいもの食べてるんだからもっと笑顔♪笑顔♪
ほら?』
私は兄弟を指し示す、
兄『うんまぁ…♪』
ひー『おいしい!おいしいね!』
どっちも美味しいから兄ちゃんひーちゃんもニッコニコでもぐもぐ食べてるよ?
うちはよく食べる一族だよね。
見てて気持ち良いってよく言われる。
兄ちゃんもひーちゃんも男の子だから食いしん坊なんだよね?
※望もそうとうな食いしん坊ですw
ふたりは同じ表情で満足そうに吐息を漏らして、兄ちゃんとひーちゃんが喜んで食べてるのを見つめていたよ。
食べ終わって、ため息漏らしちゃう。
美味しかったよー。
折角だからテニスのことで香椎先輩を2階のあたしの部屋に呼ぶ。
とわちゃんはひーちゃんに約束してたカードゲーム貰ってはしゃいでた!
そのルール説明を熱心に聞いてる。
階段を上がりながら、即興で歌う。おもちゃの歌アレンジだね?
修羅場のチャチャチャ♪ 修羅場のチャチャチャ♪
うちの兄ちゃん待ったなし♪
兄ちゃん迎えに行きましたー!
とわちゃん迎えに行きましたー!
だけど玲奈もやって来たー!
兄ちゃん修羅場でチャッチャッチャ♪
香椎『…望ちゃん?それなんの歌?』
『修羅場のチャチャチャです。』
2階で、テニスの事でドライブボレーの打ち方の話しをする。
話し始めると熱くなって、ふたりで熱く討論を交わしたよ!
結構話したから、お茶取りにキッチン行って、戻って来たら香椎先輩が艶々になって機嫌良くなってた…。
さて、そろそろ一階のとわちゃんやひーちゃんに合流して?ボードゲーム大会だね。
ひーちゃん希望で人生ゲーム大会。
うちに昔からある古いボードゲームだけどあたしら兄弟はこれ大好き!
みかん賭けたりするの!
先輩たち仲良くなって欲しいなぁ…何か良い手無いかなぁ?
☆ ☆ ☆
望ちゃんの部屋 side香椎玲奈
望『…で、ノーバウンドでドライブ回転かけて?』
『そうだね、ボレーよりスピードあるし、ストロークより対応しにくいから攻撃に行くなら必須だね。』
テニス談義を交わすけど…ここ望ちゃんの部屋は承くんの部屋でもあるわけで…。
仕切りの向こうは承くんの部屋…。
望『あ、ながながすいません、喉乾きますよね?
下からお茶持って来ます!』
良いのに!止めようと思ったけど…ごくり。
下に降りる望ちゃんの足音が消えた瞬間、こっそり承くんスペースに侵入するよ!
あ、あ、あ…。
無造作に制服掛けてあるよ…。
パジャマ代わりのジャージが無造作にベッドの上に…。
ここはパラダイスだよ…。
いや、ベッド…ベッド入っても…良いかな?
ちょっとだけ…失礼して…。
ベッドに腰掛け、こてんって横に倒れる。
枕の匂いをちょっとだけ…。
くんくん、くんくんくん!
トン!トン!
階段登る音がする。
あ!望ちゃん帰って来た!
私は3秒で、ベッドメイキングをして、望ちゃんの部屋スペースへ戻り、しきりを完璧戻して自然な笑顔で対応する。
…私、ちょっと大人気無かったかもね?
…正妻の余裕を持たなければ。
もうちょっと優しく接してあげよう?
下の茶の間へ望ちゃんと戻るよ。
…紅緒さん?
茶の間へ戻ると紅緒さんは胸元を開けてひーちゃんはそれを覗き込んでいた…。
承くんも真っ赤になってそれを見ていた…。
『望ちゃん?みんなそこに正座させて?』
☆ ☆ ☆
もちろん、胸の手術痕ですよ?
修羅場編長くなっていますwすいません。
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