第276話 突撃!あっちゃん家

『俺んち来る?』


あっちゃんがデレた!

まじか?!

アンニュイな雰囲気で来るも者拒む雰囲気出しまくりのあっちゃんが、俺を家に呼んでくれると言う!

俺の思いが通じた!

※小幡さんが知ったらメガネが曇るほど妄想が捗るコメントです。


『行く!

…なんか手土産…。』


『俺しか居ねえし、要らね。

じゃ行く?』



俺は慌てて頷く、東光駅からターミナル駅方面へ一駅。

自転車で25分ほど。

駅前のアパートに住んでるって聞いた。


自転車で着いて行きながら、話すけどあっちゃんは生返事。

なんか今のあっちゃんは友達居なそうだし、久々に友達呼ぶから緊張してんのかな?


前、新川町に住んでた頃は一軒家で家族5人で暮らしてた。

結構新しい立派な家だった。


見た事ないけど祖父、両親、お姉さんだったはず。

…苗字変わってるって事は…両親の離婚かな?


ナイーブな問題だ。

触れない方が良いんだろうな?


お姉さん…あっちゃんのお姉さん…。

あっちゃんの4歳上の美人お姉さん。

あっちゃんは男前なんだけどお姉さんもすっごい美人!

昔一度香椎さんに話した事あるんだけど…初恋?憧れのお姉さんだったなぁ。

子供心にドキドキしたっけ。

110話 互いの影響力 参照



俺の薄い推理だけど離婚すると大体お母さんが親権取ってる。

お母さん、お姉さん、あっちゃんの3人暮らしかな?


そうこうしているうちに隣駅に着いて、大きなマンションが見える。

でっかい!


あれ?でっかいマンションのすぐ横。

古い木造アパートへ向かうあっちゃん。


ちょっとイメージ違った…。


古いアパートの二階。

1番奥の部屋、そこがあっちゃん家いや東条家の部屋だった。


『お邪魔します?』


あっちゃんに促され中に足を踏み入れる。

それは薄暗いがらんとした部屋。


あまり家財の無い、質素な部屋。

生活感しか無い、娯楽の無い、そんな部屋。



2部屋、トイレ、キッチン、風呂場。

奥に通される、奥のあっちゃんの部屋は…

何も無い。驚くほど何も無い。


記憶にあるあっちゃんの家は玄関が吹き抜けになってて、2階の12畳の部屋をお姉ちゃんと分けて使ってて?お父さんの漫画がいっぱいあって、ゲーム機も何種類もあって、オシャレで楽しい部屋だった。


今は、今のあっちゃんのように暗く、遊びの無い部屋。

でも、目を引くのは…。



それだけ異様だった。

使い古されたバスケットボールとサッカーボールが綺麗に磨かれて飾られている。

普通、使い古されたボールなんて玄関とか押し入れとかもっと雑に置かれてる。

それなのにこのボールたちは磨かれて飾られている。



俺はなんかホッとした。

きっとあっちゃんは忘れて無い、あの日々は俺だけの思い出じゃ無くって俺たちの思い出だってあっちゃんは覚えている。



『何ニヤニヤしてんの?』


『いや?そんなことは?』


それがわかればもうあっちゃんが冷たいのはツンデレみたいなものでしょ?

ふふ、俺の粘り勝ち。

そう思いながら、途中で買ったお茶のペットボトルを取り出し口を付ける。


そこで気付く、この間取りで3人?無理でしょ?

え?あっちゃんとお母さんで暮らしてるの?



居間の掛けてある上着とか見たから多分あっちゃんとお母さんのふたり暮らしだと思った。

なんでだろう?でもそんな事聞けない。


あっちゃんの部屋スペースの和室に座り込み、テーブル挟んで向かいあう。

あっちゃんが珍しくニコニコしながら話し出す。

家だとリラックスして、笑顔出るんだってほっとする。

…学校だと、いつも表情暗くて、俯き加減。

前髪伸ばしてるのも重なって根暗です!って名乗ってる感じするもん。



『今日呼んだのはさ、いい加減諦めて欲しいんだよね。

承は結構しつこいし、お節介だからさ?

キチンと言わなきゃわからないだろ?

ハッキリ言って俺迷惑してるんだよね。』


『ちょっと何言ってるかわからない…?』


あっちゃんは呆れたって顔しながら、


『まだそれやってんの?

よく飽きないな…。子供の頃から変わってないじゃん。』


『何も言い返せない。』


『俺さ、目立ちたく無いしひっそり暮らしてたいんだ。

だっけお前がしゅっちゅう来るのも、放課後話しに来るのも迷惑なんだよ。

年1位なら来て良いからもう来るなよ。』


吐き捨てるように言われる。

いや、納得出来ない。


『だって、久しぶりに親友に会えたんだし、そりゃ話したいでしょ。』


結構ショックを受けるけど、食い下がる。

まあ家に呼ばれてお花畑になってた!

そうだよね、これだけ冷たくあしらわれてるんだからいきなりデレる訳が無いよね。俺甘い!


『俺は話したく無いの!』


『俺は話したい!』


『うぜぇなぁ。』


『そりゃね。ここで引くなら最初から声かけない!』


『なんで?そこまでこだわるの?

子供の頃数年一緒だっただけだろ?同じ学校でもお前気づかなかったじゃん!

…今は友達多いだろ?俺にこだわるなよ!』


あっちゃんは少しキレてる。

景虎さんが言ってた…。



景虎『相手がキレてる時はもっとキレるんだよ!!

それだけで主導権が取れるw』




『友達が増えようが!大人になろうが!親友は親友だろうが!!』

(気づかなかったのはまじごめんて。)


俺はもっとキレ散らかした!

あまり怒らない俺がキレたの驚いたのかあっちゃんは黙り込んだ。


『だったら!何が、あったか、俺に教えろよ!

納得したらもう話しかけないし、行かない!

あの後、小6の終業式のあと何があったんだよ!』


キレたフリからもう本当にキレた。

俺は遠慮をやめた。

俺だってあっちゃんに会いたかったし、あの時は寂しかったし、あの後全く連絡無かったのは辛かった!

しゅっちゅう思い出してた!

なんで、その後連絡しなかったのさ!

俺は思ったままぶつけた。


『俺だって!色々あったんだよ!

承みたいに幸せに暮らしてねえよ!』


『じゃあ、話してみろよ!』


やっと聞きたかったこと、

再会してから踏み込めなかった神崎厚樹…いや東条厚樹の転校後の話を聞いた。


俺は憧れのヒーローの大暗黒時代を垣間見る。


☆ ☆ ☆

千佳と玲奈の雑談。


同時刻。


千佳『!!

あ、男子同士のロマンスを感じる!』


玲奈『…千佳はこれさえ無ければ…!』


玲奈は慣れたもので呆れながらも笑ってる。


千佳『なんだっけ?そうそう!

こないだね?テニスの練習試合でね、10月頃に北翔行ったの。』


玲奈『うん。北翔…宏介くんや三島さんたちの?』


千佳『北翔はテニス部結構強いんだけどね。

そこでナンパされたの。』


玲奈は一気に興味深々、


玲奈『へぇ、千佳に?千佳は美人だけど圧があるからナンパ珍しいね!』


千佳は解せないって顔で、


『それがね、にっこにこで男子が来て、

『僕はクズって言います!』

って言うから、

『クズなんですか?』

って聞き返したら、

『クズって呼んでください!』

って言うから、


『…クズ。』

って言ったらしょんぼりして去って行ったの。』


玲奈はお腹を抱えて笑ってる、


玲奈『なんで自分をクズって言ったの?』


千佳『わかんない。自虐的なのかな?謙虚な姿勢でナンパする手法なのかな?』


『『わかんないね?』』


2人はわからない、クズでは無く九頭って苗字を名乗ってたのを千佳がクズって冷たい目で言ったら何も言えなくなって引き下がった事を。


千佳『…でもクズの気配はプンプンしてたわよ?』


玲奈『どんな気配なのー?!』


※九頭くんのナンパ失敗!ひと笑いを提供しましたw

あるの作品、寝取られ宏介参照。

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