第270話 あっちゃん俺カレ
そして、期末試験が終わり、成績も結構良くって気兼ね無く冬休みを迎える。
わんこ先生講座の解説で出るよ?って言ったとこ所マジで試験に出る!
ありがたやありがたや。青井は特に感謝してた。
そう言えば稲田さんは生徒会書記に当選した。
まぁどうでもいいんだけどね。。
冬休み、青井は部活、伊勢さんは服屋さんのバイト、俺も俺カレでバイトが主な活動。
寒冷地のこの県としては今年は暖冬で雪はパラパラで助かってる。
先日、宏介にもあっちゃんが東光高校に居た話しをした。
会いたい!って言ってたけどあっちゃんは相変わらずの塩対応。
少し反応があったのが、先日の保利くんのバイトの件で、
『え?保利のやつ不登校なの?』
って、俺話すのにヒント欲しくて保利くんの事を聞いた。
あっちゃんちの近くだったから詳しいかな?って思って聞いた。
引っ越す前だけどな?って前置きで、
保利くんはあまり社交的で無くて、少し気難しいとこがあって友達が居なかったからあっちゃんは気にして、釣りとか誘ってたって言ってて。
それヒントに話をしてバイトに誘ったんだ。
お礼を兼ねて誘ってみる、
『だからさ、お礼に?俺カレ行かない?保利くん今日居るよ?
俺のバイト先だし、ハンバーグカレー超美味いから!』
今までだったら断られてたんだけど…。
厚樹『…一回だけ行く。』
『マジで?行こう!』
って事になって、終業式後行くことになった。
紅緒『また男遊びして!』
人聞き悪い事言うな。
小幡さんが喜ぶだろ!
終業式後、俺は自転車を引いてあっちゃんと一緒に俺カレへ向かう。
11:30でランチタイムで長居は出来ないけど短い方があっちゃんも楽だろうって思って。
…って言うか?俺カレの旨さを知れば…沼って常連になるでしょ?って企みがあった。
景虎『へらっしゅー!!』
『お疲れ様です!』
景虎『あ?承?今日働いてく?』
『今日は友達と飯食いに来たっす!』
ははは!2人でこれから混む事を予想してカウンター席に座る。
厚樹『何がおすすめ?あんま金無いんだけど?』
『ハンバーグカレーおすすめ。ボリュームあるよ?』
じゃあそれでって事になった。
たわいも無い期末試験、冬休み、そんな話しをしてると、
保利『あ、立花くんお疲れ様。』
俺たちの制服姿を一瞬眩しそうに見る保利くん。
俺は、横のあっちゃんを指指して、
『保利くん、覚えてる?あっちゃん、神崎厚樹…くん。』
なんと無く呼びつけに出来なくて、俺はくん付けで呼ぶ。
『よしひろ久しぶり、あと今は東条厚樹。』
保利くんは一瞬ポカンとして、
保利『え?!厚樹くん?!厚樹くん!髪切った方がいいよ。』
俺もそう思います。
一週間勤務した保利くんは少し余裕が出てきて、もう少ししたらフロアもやってみるかも?って聞いた。
保利くんは懐かしそうにしばらくあっちゃんと話していたが忙しくなってきたから奥へ戻って行った。
ハンバーグカレーが来たあ!
ここでバイトしてても全然変わらず美味い。本当にもっと賄いにカレーとハンバーグ出して欲しい…。
厚樹『…え?美味い!』
『でしょー!!』
我が事のように誇らしい。
あっちゃんは再会してからずっと無表情にしててあまり感情を出さないようにしてたんだけど…美味しいって自然と人を笑顔にする。
…俺も香椎さんのクッキーとかケーキとかプリンとかめっちゃ幸せな気分に…。
少しだけ感情が出たあっちゃんと話す。
そこで初めて、あっちゃんから聞かれた。
今までは俺から出た人名に反応する形であっちゃんが聞き返してその人の話をする展開だったからちょっと驚いた。
厚樹『…香椎さんはどうしてる?香椎玲奈さん。』
こないだ、あっちゃんとの再会にかまけてお話会忘れて大変な事になったなんて言えるわけない。
『香椎さんは…成績優秀でテニスで全国大会出場したり、中学時代もみんなのアイドルだったよ。『完璧女子』なんて呼ばれてたし。
今はあの天月高校へ進学したよ。』
厚樹『そうか。頭良かったもんな。』
うんうん頷いて、あっちゃんが口を開こうとした時、
景虎『ししししし承くん?
きょきょう、今日今からシフトおっけー?』
景虎さんご乱心!
なんでも、奥さんが産気づいた?!
景虎『俺、すぐ車出すから!今日の2人分奢りでいいから!
わり!承の友達ごめんな!もうじき厨房出来る奴来るから?
落ち着け?』
そっくりそのままお返ししますよ?!
あっちゃんは奢りになったハンバーグカレーに恐縮しつつ、東光駅へ歩いて向かう。
俺はすぐ着替えて、フロアに出る!
景虎『其の疾きこと風の如く!!』
とか言って出て言った。
長尾景虎のライバルの武田信玄の旗印じゃん!とか大学生バイトと笑い合った。
数時間経っても景虎さんは帰って来なくって…。
時間は良いの。
それより何かあったんじゃ無いか?!ってスタッフ一同心配で心配で…。
結局閉店まで居たんだけど、大丈夫かなぁ?
ってなった頃、景虎さんが帰ってきた。。
皆景虎さんの一挙一動を固唾を飲んで見守る…。
景虎さんは、泣き出して、
景虎『…難産でさ…すっげぇ大変なお産でさ…。』
ひゃっ!って喉が鳴る。そんな。。
景虎『女性って本当にすげえ。
…無事…産まれました…!!』
男泣きに泣く景虎さん!
やめて!最初にそっち言って!
ヒヤヒヤした!
景虎さんを囲んで、みんな憤慨するけど本当良かった、無事産まれて良かった!
皆んなで馬鹿みたいに笑って、景虎さんが泣きながらビール飲み始めて、付き合う大学生たちが羨ましく見えた。
ありがとう、ありがとう、ありがとう。
誰に対してなのか?全てに対してなのかな?景虎さんはその日ずっと感謝の言葉を口にし続けたんだ。
景虎さん38歳待望の長男誕生!!
男の子は『
景虎の息子が信って信玄っぽいなぁ…なんて思ってた。
景虎『俺、キングダ⚪︎も好きなんだよねー。』
『大将軍でも目指すんですか?』
はは!って笑ったけど、
景虎『それは冗談だけど、
信じる事が何より大事だろ…。』
いつか景虎さんの人生語って欲しいなあ。
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