第269話 女教師 紅緒永遠
こうして、俺カレは新バイトを迎え、俺は休日朝から仕事とフォローに駆けずり回る!
保利くんは必死に目の前の事をこなす。
まだ周りを見る余裕なんて無い、俺だってそうだった。
下げた食器をでっかい汚れだけ落として食洗機へ入れる。
厨房の皿を補充する、出来たオーダー品をトレイに載せて回す、洗い終わった食器を戻すこれだけで精一杯。仕方ない。
むしろ初日だもん、キツイはず。
景虎『あせんな、あせんな!大丈夫だっけ!』
景虎さんは笑いながら保利くんの背中をばんばん叩く。
照れたような恥ずかしそうな保利くんの笑顔を見て大丈夫そうだって思った。
2番テーブルで保利くんの母さんがずっと心配そうに見てる。
気持ちはわかるけど…。
景虎さんが苦笑いしながら、
景虎『お母さん、彼もずっと見られてるとやりにくいから?
シフト終わる14時頃迎えに来てください。
大丈夫、そんなに心配しなくても、俺や承が着いてますから。』
景虎さんカッケー!
さっきまで奥さん居ないからちょっと寂しいって言ってた男とは思えない位ワイルドダンディ!
9時、10時普通の時間が終わり、いよいよランチタイム!忙しくなるよ!
さっきの1、5倍くらいでお客が来るし、大忙し!
それもなんとか凌ぎきり、ピークが過ぎた頃お昼休憩に順次入る。
保利『…!美味しい!
…でもカレー食べたい…。』
わかる!そうだよね?!
今日の天ぷらそばめっちゃ美味いんだけど、今日はカレーが多く出ててカレーのお腹になってる。俺カレあるある。
14時に、保利くんは初日勤務を終えた。
疲れたんだろう、でも満足そうな顔が印象的だった。
2番テーブルに待つお母さんのとこでクリームソーダ飲んで帰るって。
俺は15時までだから、もう1時間。
女子大生『承くん!ヌシちゃん来たよー!』
紅緒『どうもー♪承くんがいつもお世話になってますー!』
紅緒さんは勝手に1番テーブルへ座る。
はいはい、俺がオーダー取りに行く。
紅緒『じゃあ…承くんお持ち帰りで♪』
うぜえ…。
『保健所がうるさいんで今はしてないんですよー。』
紅緒『すぐ食べちゃうから!大丈夫!』
『ふざけんなとわんこ。何にすんの?』
紅緒『今ご飯食べたばかりだから…カロリー2倍パンケーキとコーヒーゼリー!』
『まいどー。』
紅緒『承くん!帰りうち寄らない?』
『行かない、そろそろテストだし。来週またテスト講座する?』
そんな話をして、戻ろうとすると隣から、
保利『立花くん、立花くん。』
『何ー?』
紅緒さんの方を見て、
保利『彼女さん?』
紅緒『わかっちゃいます?いつも承くんがお世話になってます♪紅緒永遠です!』
紅緒さんは横で聞いてたのか2番テーブルに出てきた。
保利くんはびっくりして、
保利『え?すごい美人だよね?すごいね…。』
俺は否定する。
『違う、とわんこハウス!』
紅緒さんは悔しそうに
保利くんは疲れた半分、やり遂げた半分で初出勤を終えて帰って行った。
お母さんはずっと俺に頭を下げていた。
俺もシフト終わり、帰ろうとすると。
景虎『まだまだかもだけど、何年ぶりに外出てこれならいけるんじゃねぇ?
うまく行くと良いな。』
『はい。ちょっとお節介だったかもですけどずっと心残りだったので…』
景虎さんは俺の背中をポン!って叩いて、
景虎『ヒーローの本質はお節介なんだってよ?』
俺の中には色んなヒーローが居る。
きっとあの頃のあっちゃんなら、景虎さんならこうしたんじゃ無いか?って思ったから行動出来た。
…俺の目の前のワイルドなこの人も俺のヒーローなんだよね。
景虎『とにかくよくやった承、助かったぜ?』
俺は役に立てたかな?
俺はまだまだ子供で自分の夢が見つからない。
でもこうゆう大人になりたいなって『理想の俺』は形が見えて来た。
理想の俺になれたら…いつか…。
俺は心地よい疲れと満足感をカゴに入れて軽快に自転車を飛ばして帰ったんだ。
☆ ☆ ☆
とわんこ先生の期末試験対策
12月に入ればいよいよ来週は期末テスト
今学期も紅緒さんのテスト対策会に一癖も二癖もある生徒たちがここ社会科教室に集まりました。
『お呼びしましょう、わんこ先生です。』
『『『おおお!』』』
紅緒さんはまたメガネをかけて、何かを指す時の棒を持参して、何故か網タイツっぽいものを制服スカートの下履いてる。
紅緒『…女教師もの参考にしたんだけどせくしー?』
皆んな優しい目でとわんこ見てる…最近美人なんだけど残念感が強くなってた、我が校の一年主席女子。
でも、人気は絶大で、
皆が集まって、寄ってたかって紅緒さんにアドバイスする。
『スカートは腰で巻いてもっと短くするしー?』
『上着は脱いでブラウスだけの方が…。』
『ブラウスも腕捲り上げて、口紅したら?』
紅緒『待って!待ってよ!恥ずかしいよぉ!』
自分で初めておきながら真っ赤になって拒否する紅緒さん。
『立花くんの趣味に合わせたんだよ!』
『とわわん健気っしょ?』
『立花くんの趣味なんだ…さいてー。』
なんでか俺の趣味でセクシー女教師させたって思われるの、やめて!
目白『…良いね、幸せそうで。。』
あの告白事件以降目白くんは元気が無くって…。
津南『マジ有り得ない…モブの癖に…。』
津南は本当にうざくって。
マラソン大会で勝って少し静かだったけど長くは保たないだろうね。
あと毎回だけど、稲田さんはこの会に来ない。
彼女は生徒会書記に立候補してる。選挙活動大忙しみたい。
明後日の投票で当選したら生徒会メンバーになるらしい。
クラスの覇権を諦めて学年に影響力を求めたのかな?
紅緒『…そんな感じでここ出ると思います!』
おお!
前回の講座もわんこ先生の予想ほぼ当たってて。
今回はさらに真面目に聞く生徒が多い。
1時間位、ダイジェストでやると個人的に呼んでわからないとこ見て貰う個人授業編に移るのだが。回数重ねたからかスムーズで良い感じ。
今回は津南大人しい。
紅緒『ふふ、わからないの?先生が教えてあげる…ダメ!』
でも最後には声小さくなって恥ずかしがっちゃうの。
これを3日程かけてやった。
期末がんばるぞ!みたいな雰囲気で解散した。
帰り道、一応講師の先生を家へ送る。
…報酬代わりに送れって要求されたから。
紅緒『みんなと勉強も楽しいね?いっつもひとりでやってたからさ。
…信子ちゃん居なくなってから…。』
『うん。』
紅緒『感謝してるんだよ!こないだも言ったけど。
学校生活を、楽しく過ごせるのは承くんのおかげだ!
…期末試験大丈夫そう?』
多分大丈夫、最近はキチンと勉強もしてるし。
そう言うと、紅緒さんはふふふ!って可愛い笑顔を浮かべて、人差し指一本ピンと立てて、
紅緒『もし?不安なら?セクシー女教師紅緒永遠が?
秘密の個人授業…濡れた…課外授業…ボソボソ…。』
自分で言って真っ赤になる紅緒さんを呆れて見ながら、
『そうゆうキャラじゃ無いでしょ?真っ赤w』
紅緒さんはポカポカ俺の肩を叩きながら、
紅緒『承くんだって!承くんだって真っ赤じゃん!』
そりゃ、可愛い女の子が真っ赤になりながらえっちいBlu-rayのタイトル読み上げてたらちょっと脳がやられるでしょ!
とわんこはいつも俺を振り回すんだよ。
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