第266話 承を射んと欲すれば 【side紅緒永遠】
伊勢さんの憂鬱 side立花承
玲奈さんにしでかした俺はなんとか許して頂けた。
もう絶対あんな思いはさせないって誓う、本当我ながらくず。
約束守るのだけが数少ない長所だと思ってただけに自分でもショックだった。
絶対繰り返さない。
宏介や青井にもあっちゃんの事を伝えた。
青井も会いに行ったけど同じように塩対応だったらしい。
俺もそれからちょいちょい会いに行くんだけど…。
ちょいちょい紅緒さんが絡んでくるのだ。
紅緒『また男?私より男が好きなのー?!』
『他人が聞いたら誤解するだろ。』
紅緒『最近承くん冷たい…。』
『俺、忙しい。』
紅緒『じゃあ!じゃあさ?今日夜電話する!それならいいでしょ?』
『…わかった…。』
紅緒さんを振り切る為、俺は了承する。
バイト終わりは面倒くさい…。
俺の放課後は最近、あっちゃんかバイト。
その2択。あっちゃんに呆れられつつ、話しをしに行く。
俺があっちゃんが居なくなってからの話をして、あっちゃんがぼそぼそ詳細を聞いて、1時間位話したら解散する。
最初より聞いてくれるようになったし、少しだけ話してくれるようになった。
今日は俺バイトだから!そこの先行った国道沿い?俺のカレーとハンバーグって店!今度来てよ!なんて話して別れる。
俺がバイトの日に伊勢さんがバイトだと俺カレで待ち合わせて一緒に帰る事も多々ある。
女の子のひとり歩きは物騒だからね。
今日もそれで。21時にはあがりの伊勢さんが俺カレで夜ご飯食べて、俺のあがりを待って帰る。
帰り道、俺も連れが居る方が楽しいから伊勢さんと帰るのは楽しい!
自転車で走りながら色んな話をするんだけど、
伊勢『立花さ、とわわんどうするの?』
『…俺は断ったつもりなんだけど…諦めてくれない…。』
正直に言う。
伊勢『…私さ、こないだ、多分立花が聞いたような事を聞いたのね?
…亡くなった親友、自身の再発率、夢。』
ごく、俺はなんとも言えない。
伊勢さんは泣きながら、
伊勢『…あーしさ、普通だったら立花ととわわんの間に立って、くっつけるなり、無理なら諦めるよう諭すなりするポジなんだよ。
…だけどさ、あんな悲しい…悲しい夢聞いたら…どうしたらいいか…。』
エグエグ泣きながら伊勢さんは自転車を走らせる。
伊勢『身体弱いったってあんなに元気なとわわんが?30%の確率で?寝たきりか死んじゃう?なんで?
普通に接してね?って言われたけどさ。私は…。』
伊勢さんは面倒見の良い、優しい娘だからきっと色々抱え込んでしまうのだろう。俺が言えるのは…。
『どんな結果になるにせよ、真正面から向き合うから、絶対に。
伊勢さんはちょっとだけ、紅緒さんを気をつけてあげて。』
『うん、そうだね。
あたしがとわわんを見てるから立花の思った通りに…ね?』
お願い。俺は伊勢さんに頭を下げて頼むんだ。
伊勢さんはうん,わかった。って言い、伊勢家の前で別れる。
伊勢『来週?もう12月になるけど、とわわんが泊まりに来るんだ。
勉強教えてもらおうw』
紅緒さん勉強出来るから良いんじゃ無い?
伊勢『ふふ!立花も来る?』
いたずらっぽく伊勢さんがからかう。
行かない!もう行く!じゃあね!
俺は手を振って別れる。
紅緒さんの件も含めて俺は伊勢さんにいつもフォローされてるなぁって思った。
☆ ☆ ☆
将を射んと欲すればまず馬を射よ side紅緒永遠
電話するって約束した私は23時、承くんがバイトあがって?家に着いた頃?
…もう寝てました…。
病院育ちでね?21:00消灯に身体が慣れすぎててよっぽどテンション上げないと21:00で眠くなる…。
これよく無いね…だって…子作り…寝ちゃ…もごもご。
翌日朝イチ承くんにロインで謝ったけど怒ってなかった、承くん優しい!
次の日も男の下へ通う承くんを彼女(仮)として寛大な心で見送って、後をつけたけど本当に男…長髪のメガネ男子と話すだけ。
物陰から見てると承くんは嬉しそう、長髪くんは嬉しいとうざい半々って感じだった。
信子ちゃんの漫画だとハンカチ噛んでキーッ!とか言うべきなんだろうけど
正直承くんが毎日話ししに来てくれるなんて羨ましい。
ライバルの香椎さん?の動向がわからない以上私に出来る事はアプローチと外堀を埋めること。
私はかねてから考えてた作戦を実行する事にした!
その夜、
私は承くんに電話をかける。と言ってもビデオ通話。
取り止めない話しをしつつ、様子を伺う。
これ充分楽しい!作戦関係無く承くんと電話楽しいよっ!
ちょっと我を忘れたが、いよいよチャンスきた!
ひー『にいちゃーん!でんわしてるの?』
承『あ、ひーちゃんが風呂あがった…俺風呂入るから?じゃ紅緒さん?』
『あ!ひーちゃんにちょっとだけ変わって?』
承『え?ひーに?』
ひー『ぼくに?ぼくにでんわなのー?!』
『ひーちゃん!こんばんは!覚えてる?ドーナッツ屋さんやったとわだよ!』
『とわちゃん?とわちゃーん!!』
承『じゃ、風呂入って来る…?終わったら切ってね?』
ひー『はーい!とわちゃんげんき?』
『元気元気!ひーちゃんは?』
ひー『ぼくはね?…』
ひーちゃんは可愛い…しかもめっちゃ良い子なのだ。
マジ天使って承くんが言うのがわかりすぎる…。
幼稚園の事、友達の事、心臓の事、私はひーちゃんの話しを真剣に聞く。
子供ってそうゆうの敏感だからね、私はひーちゃんにも共通点がありすっごく興味がある。どんな事を思ってるのか?どんな気持ちで居るのか?他の子との違いは?かつての自分を重ねて見てる。
私、胸の傷や心臓の事でひーちゃんとこないだすごく仲良くなったのね?
241話 ハートで繋がる参照。
ここでも!話は弾み、ひーちゃんは私に懐いてくれる!
ひーちゃん超可愛いよー!!
ひー『じゃあらいしゅう、あそびにきてよ!おねがい!』
『うん、いくぅ!』
私はひーちゃんと遊ぶ約束をしたのだ!
☆ ☆ ☆
翌週末。10:00新川駅
改札を出ると…。
ひー『とわちゃん!とわちゃーん!こっちだよー!』
承『ごめんね、紅緒さん。ひーがわがまま言って…』
『大丈夫!私も会いたかったよ!ひーちゃん!』
ふふふ!立花家へ行けば兄も弟も両方会えるのだ!
持参したお弁当でまず胃袋捕まえちゃうぞ!
…美味しいって言ってくれたら良いなぁ…。
承くんだけじゃ無い、ひーちゃんや、望ちゃん、家族の方たちと仲良くなれたら良いな。私は期待と不安を抱えて立花家へ向かうんだ。
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