第265話 仲なおりの味【side香椎玲奈】

優奈『玲奈…このカレーは彼が作ったものだよ…カレーと彼かけてるの!』


私はお姉ちゃんを無視して聞いたよ!


『なんで?カレー?承くんが?』


承くんは申し訳無さそうに、頭を下げる。


承『先日は、玲奈さんを待ちぼうけにさせた上で、気遣いや準備を無駄にさせて、その上で、あっちゃんの事で頭いっぱいで玲奈さんの気持ちを蔑ろにするような事をしてしまいました…。

本当にごめんなさい!』


承くんは立った状態で床にあたまつきそうな位頭を下げた。

そして頭を上げない。

私はビックリが継続しててリアクション出来ない!


『昨日、玲奈さんに会いたくてずっと待ってんだけど、遅くなるってお姉さんから伺って…。

お姉さんの提案で、今日ご両親不在で夕飯無いから玲奈さんの準備無駄にしたなら夕飯作って返せば?って言ってもらって…お邪魔した次第です…。』



昨日?昨日は両親と外食して帰って…。

お姉ちゃんが?

だからなんかゴソゴソしてたの?

それより気になる。。


『昨日ずっと待ってたの?』


承くんは申し訳なさそうに、


承『16:00から19:00位?』


『そんなに?』


承『お姉さんから聞いた。玲奈さんが前日から準備して、綺麗な良い物食べさせたいって準備してくれてたって。

当日待ち合わせ時間になって俺来なくって、不安でどんな気持ちだったろって思ったら待つのは全然苦になんかならない、

本当にごめんなさい!』


何度も頭を下げる。

もう、仕方ないなぁ。


もう許すつもりだったけど、承くんは家まで来てくれて、手料理までご馳走してくれて。

私チョロいのかな?もう良いや!

許しちゃおう!

カレー美味しい!


『わかったよ。もう良いよ。

もうあんな事しないでね?寂しかったし、不安だったし、私の事なんて忘れてるんだ?って悲しかったんだよ…?』



承『本当に申し訳ありません…。』


バイトの言葉なのかすらすら出てるね。

カレーが美味しいのもアルバイトの成果なのかな?


ふふふ!2人で照れくさいけどはにかんで笑っちゃうよ。

お姉ちゃんが私たちをニヤニヤしながら見てて、



優奈『玲奈?その格好承くんに刺激強く無い?』


あ?!

だって自分の家で寛いで部屋着で、お風呂上がりではだけてて…



はだけてる!!風呂上がりほぼすっぴん!


しゅ!しゅ!私は3秒で、はだけた部屋着をシュッとさせ、前髪を直し、向き直る!


優奈『唇、チキンカレーでテカテカだから大丈夫だね?

ほら!承くん!コレが昨日言った本物の玲奈!すっぴんで油断して、部屋着も着崩して可愛いでしょ?

これで疲れが残ってむにゃむにゃみたいな状態だとめっちゃ可愛いからね?

眠たい時なんて手ずからお菓子口に放り込むとはむはむ食べるからね!』


そういうとお姉ちゃんはなんか承くんに動画を見せてる?

私がお姉ちゃんに後ろから抱きしめられて…与えられたお菓子をはむはむ。。

何コレー?!


急いでひったくって、消去する。


優奈『クラウドやタブレットにバックアップしてあるもーん♪』


悪魔だ…悪魔がおもちゃを手に入れた顔だよぉ!


承くんは真っ赤になって目を伏せてる…。

まあ、見ないでくれてるのは紳士だね…?


優奈『多分違うよ?部屋着で,玲奈の脚が全開だから直視出来ないんだよ?』


『ぎゃーーーーーー!!!』


私、自宅だと、手足が出てる短い部屋着が好きなのね。

普段、外へ行く時は絶対肌を露出しないの、前に一回ミニスカートで出たら目的地着くまでに5組もナンパされてからトラウマで…。

その反動なのか私は自宅では手脚が出てる半袖かノースリーブにショーパンが好きなんだけど…。

人に見せられないよ!


優奈『あー!今日のカレーあまーい!!』


お姉ちゃんがからかうから、無視して承くんも一緒に食べようよ!って誘い、テーブルを3人で囲む。


話しはカレーに、



優奈『でもほんっとカレー美味しいね?

私、料理出来ない男子だけど必死の頑張りの跡を見せて玲奈に取りなそうって思ってたけどすっごい美味しい!』


玲奈『…本当だね…市販のカレールーじゃ無いよね…?』


そうなのだ、そこが気になってた。

承くんは照れながら、


承『アルバイトがカレーとハンバーグの店で…そこで分けて貰ったスパイスを使ってます、ベースは市販のカレールーです。』


!!


本当に?!


承『もちろん、景虎さん…店長に教えてもらった技法で色々下処理して丁寧に作りました。お口に合えば…。』


真っ赤になる承くんが可愛くてカレーおかわりした。

おかわりしたんだけど…。


私の作るカレーより美味しい。。

それがちょっと引っかかる。。


お姉ちゃんが、


優奈『家には?なんて?』


承『友達とカレーパーティするって言って昨日から作って鍋持参しました。。』


優奈『じゃ!今日カレパ?カレパだよ!玲奈なんか作って!わっしょーい!』


承『いえ?ご両親不在のお宅に男が遅くまで居るのは…?』


私もいじわる!


『え?承くん、人に言えないような事するの?!』


しないよ!たすけて!

承くんの困り顔姉妹で笑っちゃう。


じゃあ9時まで、9時まであそぼ?

って事になって、カレー食べて、私は家にある卵でプリンを作った!


3人でレースゲームして、おしゃべりして。

その頃完成した焼きプリンを急速冷却して、有り合わせのフルーツと生クリーム載せてはい、どうぞ!

承くんが出されたプリンを見て、うおぅ…って変なため息を漏らす。

私はニコニコしちゃう、

一口食べて、



承『美味しい!こんな美味しいプリン初めて食べたよ?!』


私はもう、嬉しくなっちゃってにやにやが止まらない。。


優奈『あまーい!』


お姉ちゃんは無視して、そろそろ帰る時間になっちゃって。


『残りは箱にいれるから望ちゃんと、ひーちゃんにどうぞ?』


承『ありがとう、あいつら喜ぶ。』


嬉しそうな承くんに、


『もう一個余分にあるから承くんどうぞ?』


承くんはパッと顔を輝かせ、礼を言って帰っていく。


玄関出て、門のとこで見えなくなるまで、手を振った!

あー仲直り出来て良かったぁ!



キッチンに戻り、後片付けしながらお姉ちゃんに礼を言う、


『昨日、承くん待たせっきりにならなくって良かったよ、お姉ちゃんありがとう。』


優奈『ふふ!承くんはしょげて可哀想な位だったよ?仲直り出来て良かったね?

じゃあ、今日は久しぶりに一緒に寝よう?』


『…。』


私は姉に抱き枕みたいに絡みつかれて撫でられたり、チュッチュされたり、頬擦りされたりという行為を無表情に受け入れた。

姉が要求する代価は必ずこの愛玩動物が如き可愛がり。

私は今日もこれを遠い目をして受け流すのだ…!



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