第257話 告白後の紅緒さん

※クリスマス編読んで頂きありがとうございます。

また、話は文化祭直後、11月上旬に戻ってます。


☆ ☆ ☆

文化祭の代休が終わり、お祭り気分の残滓が残る、学校へ登校する。


青井『文化祭良かったなー。』


伊勢『うん!楽しかったねー!』


いつもの3人で登校する、久しぶりに感じる…。

文化祭当日は青井は柔道部の出店とドーナッツ屋。伊勢さんはドーナッツ屋の衣装作りをメインでやってたが他クラスの衣装見回りと木多さんの案内って感じだった。


俺は…初日はひーちゃんの具合悪くて家に居たし、2日目はサボった分ドーナッツ屋シフト入れまくりだったんだけど…終わりHRで紅緒さんに『好き!』って皆の前で言われ、後夜祭で社会科教室へ呼び出されて…告白された。

でも、告白が霞むほどの紅緒永遠の闘病生活?を聞き、衝撃を受けたんだ。

…俺どんな顔してあの娘に会えば良いんだろ…赤ちゃん欲しいって…。


考えながら自転車を走らせてると、2人がまじまじと俺の顔を見てた、


『あ、ごめん、俺ちょっと考え事して…』


青井『いつも通りで良いんじゃね?』

伊勢『いつも通りって訳にはいかないよね…?』


2人は同時に真逆な言葉を俺に投げかけた。

おおう…どっちだ?


言い合う青井と伊勢さんの背を見ながら教室に入る。



紅緒さんが満面の笑みでやってくる。



紅緒『おはよ!承くん!』


『おはよう、紅緒さん。』


見た目は普通、いつもより機嫌が良さそうにも見える…。


紅緒『永遠って呼んで?』


『え?なんで?』


紅緒『友達以上の女の子って意識して見てて言ったでしょ?頷いたよね?』



『え?なんか色々あってその辺曖昧…。』


なんかショッキングな話しが多過ぎて何が何やら?

第一好きな人が居るからって基本的には断ってると思うけども。

あれは友達以上の女の子として一年見るって約束になるのか?


紅緒『…私は本当は自分の名前が嫌い…。

なにが永遠だ…すぐ死にそうなのに。

でも両親が考えて考えて付けてくれた名前。

やっぱり好きな人には名前で読んで欲しい…。』


紅緒さんは切ない、悲しい表情で訴える。

クラスメイトたちが興味深々に見てる前で?


『放課後、いつもの場所で…?』


俺は緊急回避行動を選ぶ!



紅緒『告白以来のふたりきりだね…?』


頬を赤らめないでー?!


おおおおおお?!

なんだ順調じゃん…!

マジでもげろ!

でも立花くん、逃げてない?

紅緒ちゃんあんなに勇気出したのに…!


クラスの世論的には紅緒さん健気!って事になってる。

俺は勇気を出した宣言を保留した優柔不断野郎って不名誉な印象を持たれている…!

俺たちふたりのことでしょ?なんでそんなに第三者に言われなきゃ…!


これが公開告白の怖いとこ、香椎さんも手こずっていた搦手。

皆んなの前で宣言されると返答もオープンになってしまうし、それで一定数味方と敵両方発生するのだけれどこれが味方は影響ない癖に敵は面倒って言う厄介さ。


俺、さっきから女子の目が怖いし、男子も結構睨んでる気がする…。





やっと午前が終わり、昼食。

今日は青井、伊勢さんは部活やギャル友と食べるらしい。

紅緒さんもギャル友と仲良いからそっちに…行かないのね。



仙道と合わせて3人で食べる。


仙道今日市販のお弁当?それ何弁当?


千堂『幕の内…』


うん?今日は雰囲気違う?見間違いかな?

名前が違うような?


千堂『彼女出来ないし、キャラ変えようかと?

虎のような関西弁キャラはどうや?』


雰囲気が水木しげる先生テイストから変わってないんだよなぁ…。


紅緒『仙道くんそのまま良いと思うよ?』


仙道はパッと顔を輝かせモジモジしながら、


仙道『じゃあ!あとは何を気をつければ彼女出来るかな?』


紅緒さんは無慈悲に、


紅緒『…ちょっと適当に言ってしまった…反省してる。

自分の告白すらうまく行かない自爆系女子にはどうすることも出来ない…。』


仙道『うわーん!』


昼休み結局、仙道の愚痴が続いた。

紅緒さんとの緊張感ある話しから逃げたかった俺には好都合だった。

仙道は紅緒さんのアドバイスと言う名のダメ出しに血涙を流していた。


次の授業体育だけど先生が急用の為、体育館で自由に運動になり、

皆んなで卓球をしたんだけど、

荒ぶる仙道…いや千堂は、



千堂『スマッシュや!』


荒ぶる仙道は卓球がすごく強かったよ。

でも…女子から注目はされて無かった…。





放課後、紅緒さんと社会科教室で落ち合う。

こないだの告白がだいぶ前のように感じる…。



紅緒『承くん、迷惑だった?』


『迷惑では無い…でも応えられないから、申し訳ない。』


紅緒『頑固だなぁ、

こないだ言ったみたいに、今までの友だち視点から君を好きな女の子だって思って接してくれたら良いよ。

なにも?好きな子に顔合わせ出来ないような事をしろだとか?

無理矢理既成事実を!とか言ってないんだし?』


『はぁ。』


紅緒『承くん彼女居たことないでしょ?

だからその子の為にも、私の為にも練習!練習だよぉ!』


『わかったって…でも、マジで俺絶対付き合えないよ?』


紅緒『わかった、わかってる!

承くんは真面目だね?そこが良いんだけど…ガンコだな。』


うるさいな、性分でしょ?


『わかったよ、そうゆう風には見る。それだけでいい?』


紅緒『じゃ、とりあえず永遠とわって読んで?』


女の子を下の名前で…?玲奈さん位しかしてないよ。

言ったことだろ、大した事無いって…。



『わかったよ、永遠さん。』



見るとこっちにスマホ向けてる?



永遠『初の名前呼び頂きました!』


繰り返し録画された動画を繰り返し再生される…!


『わかったよ、永遠さん。』

『わかったよ、永遠さん。』

『わかったよ、永遠さん。』


とわんこ…ハメやがった…!


『ダメ、お前やっぱりとわんこって呼ぶ。』


『永遠ちゃんが良い!』


『ダメ、お前はわんこだ。』


承と永遠の関係…とわんこが公式呼称になりました。



☆ ☆ ☆


今日はバイトも無いし、夕方家に帰る。

家に帰ると、望も帰ってきたところだった。


望は昨日買ったラケットとウェアの良さを聞いてもいないのにずーっと語っていた。うん、喜んでるのはわかる。

でも、うぜぇ…。


望『でね、今日宏介くんに会ったんだけど…ウェア褒められちゃった☆』


ちょっと驚いた、


『宏介が?マジで?』


望はちょっと不満そうに、


望『まぁ口には出さないけど超褒めてたもん!』

寝取られ宏介 71話変わらないもの参照。



『口に出したら報告してよ。』


なーんだ、宏介が望を?妹分って言うか子供扱いしてるの知ってるから本当?って驚いた。

そこで望が不安そうに、


望『宏介くん元気無くてね、何か嫌な事あった?って聞いたら、

『あった、女の子って難しいよな。』って言ってた。

兄ちゃん…。』


俺は頷く。


そんな事口にする事は無い親友。

俺は不安になり、宏介の家へ向かった。

宏介ママに挨拶すると、先に田中くんが来ているとの事。

俺は2階の宏介の部屋へ向かったんだ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る