第239話 忘れていた感覚【side紅緒永遠】
昨日承くんにいじわるしちゃったせいでずっと気持ち悪い後味で1日目が終わってしまった文化祭こと正式名称東光祭。
一晩たち、私は冷静になり自分を客観的に見つめて自己嫌悪が止まらない。
…自分がしでかした事だけど本当に気持ちが悪い。
会ったらすぐに謝って、素直な気持ちで私がどう思ってたか、何で不愉快だったか伝えてしっかり謝罪とごめんして、またいつも通り一緒に居られる関係を取り戻そう!
でもまごまごしてたらあっという間に登校する時間。
なんて言おう、どこから話そう?
私は悩んでいた。
私は登校していつも通りに、そういつも通りに皆んなに朝の挨拶をする。
『おはよう!』
『『…。』』
『…おはよ。』
『…おはよう。』
??
あれ?なんかトラブルでもあったかな?なんかみんながよそよそしい…。気のせい…ではないよね。
私は気を取り直して承くんを探す、窓際で青井くんと仙道くんと話してる。
あ、そっちか。
私が行こうとするときゅって引っ張られる。
なるみん?
なるみんはちょっとイラついた様子で、
なるみん『とわわん?昨日なんかあった?』
『なに?なにか?』
なるみん『なんか稲田っぽいけど、とわわんがワガママとか立花にいじわるしたとか?ウワサになってる。』
『え!』
なるみん『とわわんそんな事してないよね?』
私はなるみんの目が見れなかった、なるみんだって元々承くんの友達。
なるみんを私に紹介したのは承くんなんだ。付き合いは私より承くんのが長く、深い。
『いじわる…した。ごめんなさい…。』
なるみん『は?何してんの?あ、先生来た。
終わったら話聞くから!なんか行き違いや誤解でしょ?』
私は涙ぐみながらコクコク頷く。
先生の短い話のあと、すぐに準備。今日は一般開放だから昨日と違う緊張感がある。
私は今日も9:00のシフト。あと15:00のラスト。基本1時間交代。
承くんは昨日入らなかった分長めの12:00−ラストまでまとめて入るって。
昨日と同じ、ワイワイ皆んなで準備するけど皆んながよそよそしい。
自己紹介に失敗して孤立してた時はこんなに辛く無かった…。
私は弱くなっちゃったのかな?
承くんが居てくれて、なるみんや青井くん、仙道くんが側に居るようになって、皆んなと仲良くなれて、暖かさを知ったから寒さが辛い。
目白くんやギャルちゃんは気にせず接してくれるのが本当に心強い。目白くん邪険に扱ってごめんなさい。
目白『大丈夫?』
『大丈夫!がんばろ!』
私の失策だ。前回の失敗に何にも学んでいない、おバカな娘。
刺すような視線はビシバシ感じる。咎めるような、ダメ出しするような無言の圧力。
私の自業自得。
ほんと、なんで昨日はあんないじわるしたんだろう。
好きな男の子に素直になれずにいる女の子を少女マンガで見ると、
(バカだなぁ、素直に思ってる事言って、イチャイチャしちゃえば良いのに…。)
って思ってた。
そうだ私はバカだ。
なんで何でも出来る!なんて馬鹿げた妄想を抱いていたんだろう。
おかしくておかしくて泣きそう。
なるみんが腕組んで壁際に居る。
稲田さんたちがなるみんにビビってる。
あれは私の為かな?ありがとうなるみん。
一般のお客さんは主にうちの学生の家族や知人が大半で。
それ以外にも近隣の高校生とかも来てる。
近隣の高校も今日が文化祭って所多いみたい。
ナンパ?されるけど笑顔でかわす。だからなるみんそんな怖い顔しないで?せっかく可愛いのに。
なるみんやギャル、目白くんが居たから何も言われずシフトは終わる。
ヒソヒソ、何かは聞こえる。
これは私が悪いから、受け止める。
それはそれとして12:00までに承くんを捕まえて、謝りたいよ!
でも、その前に、
『お待たせ、なるみん。
…昨日ね…。』
私は昨日の事を説明する。かくかくしかじか。
私が悪いんだ。
聞き終わると、明るい茶色の髪をかきあげてなるみんは肩をすくめる、
なるみん『なるほどねー。
甘えすぎだー。立花も言葉足りないけどとわわんも…あー。』
なるみんは、んーって伸びをする。おっぱいが強調される。羨ましいな。
なるみん『まあ悪気が会ったわけじゃ無いから立花は謝れば大丈夫でしょ。
クラスはねー。立花がとわわんのフォローをしてるのみんな知ってるからなおさらワガママで恩知らずの調子乗ってる嫌な女に見えたんだろうねー。
まあとわわんが悪いかな?』
親友のなるみんの口から聞かされてグサっと来る。
でも悪いことを悪いって言ってくれる友達は貴重、ほんとありがたい。
私たちは一緒に承くんを探した。見つからずロインすると今は柔道部の出店で軽食をバカ食いしてるらしい。
承くんも東光祭を見て回ってるらしく青井くんと仙道くんと楽しんでるらしい。
で、シフト前に体育館横の目立たない人気のないベンチで待ってるってロインした。
最初の頃はこのベンチでよく話ししてたんだよね。
目処がついたら少し安心して、ホッとした。
なるみんのおかげだよー!
なるみんはいっつも私をそれとなく助けてくれるし、友達のギャルちゃんもすっごい良い子ばかり。
なるみんが良い子だからそうゆう子が集まるんだってわかる。
そして、時間までなるみんと文化祭を見て回る、楽しい!昨日ひとりで見て回る数倍楽しい!
…承くんと回ったらもっと楽しかったのかな?
ううん、皆んなで、いつもの皆んなと回る時間を作れば良かったな。
承くん、なるみん、青井くん、仙道くん、私いつものメンバーで回りたい。
そんなこんなであっという間に待ち合わせ時間になりそう。
靴洗わなきゃだけど外から回って校舎横のベンチへ向かうのが早いからなるみんと中庭抜けてテニスコート横通って、待ち合わせの校舎横ベンチへ向かうよ。
グラウンドやテニスコートは催し物やってないから人の気配は無い、勝手知ったる我が家みたいな場所に異物が居るなんて思わないよね…。
待ち合わせベンチ横に他校の男子生徒が居る、4人?
その中の1人が大袈裟な身振りで言う、
『君!可愛ういぃね!』
ナンパかぁ…。今、時間無いのに!
☆ ☆ ☆
昨日の香椎さん。
ロインにて。
玲奈
うち明日から二日間学園祭なんだ!承くんとこの学園祭いつかな?
承
うちもあすから二日間なんだ!一緒だね!
玲奈
うちのクラスはクレープ屋さんやるよ!
テニス部はテニスウェアで接客するテニス喫茶する!
私どっちも参加するの。味には自信あるんだよ?
承
うちはミスドードーナッツ!ミスドードーナッツ仕入れてそのまま販売!
残念!玲奈は学園祭の入場チケットを渡したかった!
呼んでないのにお姉ちゃんは明日来る!
玲奈がどんなにクレープ!喫茶店の手作りクッキー!ケーキ!アップルパイ!ウェイトレス!テニスウェア!
パワーワードでアピールしても承は文化祭の話をするばかり…。
電車で会った同中男子は学園祭チケット欲しい、行きたいって猛烈アピールするのに意中の彼は他校の学園祭へ行くという選択肢をまるで知らない。
玲奈『他校の学園祭って行けないって思ってるのかなぁ?』
※正解!
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