第229話 目白くんの思い
…!
『紅緒さんの補佐大変だったでしょ?
あいつ全然言う事聞かないでしょ?いつも手を焼いたんじゃない?』
俺、動揺した。動揺したから笑いながら準備における目白くんの苦労を慮ったような当初頭に浮かべてた話をそのまましちゃった…。
それは目白くんの突然のライバル宣言を流した形になっちゃった。
しかし、目白くんは首を振り言った、
目白『…ううん、全然。
僕の言うことは素直に聞いてくれるし、止めれば止まるよ。方針としては全員に話したいって聞いてたし、それを支持したけど僕の言う通りにしてくれた…。大人しいし、笑顔で応対してくれるし言う事無いよ。』
ええ?!あの紅緒さんが?あの無鉄砲で学習能力高いくせにすぐ失敗しちゃいそうな紅緒永遠が?すぐノリノリでテンポ良く墓穴掘りマシーンのあの娘が?!
正直驚いた…そんなに目白くんと紅緒さん上手くやれてたんじゃん?
紅緒さんからの話だとあまり上手くいってないように聞こえてた…でも良かった。ホッとする。
それが顔に出たんだよね、
『良かった、さすが目白くん!紅緒さんの取り扱い上手いね!』
すると、温和な目白くんが少し苛立って言った。
目白『…そんな事ないよ!君と違うってずっと…!』
え?
目白くんは続ける、
目白『紅緒さんの魅力ってあの純粋な願望と真っ直ぐな気持ちだと思う。
…でも、僕じゃ、僕と一緒だと…物分かりの良い、借りてきたわんこみたいな優等生で大人しい可憐な女の子でしかない。』
(それ、良くない?)
口には出せない。
目白『いつも君と一緒の紅緒さんを見ていて、いつも君にワガママ言ったり、願いを希望を言う紅緒さんに僕は心惹かれていた。
それは君にしか見せない表情なんだよ!』
ええ?!目白くん…紅緒さんの事…!
目白『だから…思わず、
『紅緒さんらしく無いねって』
言ってしまった。あの天真爛漫でふにゃってした笑顔を僕には見せてくれない…。いつも立花くんとしてる楽しそうな掛け合いも僕とは弾まない。
紅緒さんはその言葉にショックを受けていた。ごめんねって言わせてしまった
…。』
目白くんが真剣で俺は声が出せない。
目白『立花くん、僕は君を認めてるし、きっと仲良くできる良い男だと思ってる、でも君とは…紅緒さんを巡ってのライバルだと思ってるから!』
目白くんが俺を?ライバル?!
なんにも言えない。俺は完全に気合い負けしてた。
目白くんは良いヤツで慌てて、
目白『あ!ライバルって言ってもそんな敵とか潰すとかじゃなくってね?
ごめん、急に一方的に!仲良く、でも紅緒さんは譲れないって言うか…?
わかる?』
『あっはい、わかる。大丈夫!』
俺、目白くんにライバル宣言された。
紅緒永遠を巡って。
あの夏服の白ブラウスに盛大なカレーの水玉付けるような女の子にだ。
俺は心がざわざわして落ち着かない。
宣言の言い方強かった!ごめん!って謝る目白くんに大丈夫大丈夫ってフォローする俺。
目白くんが良いやつだってわかるからなんとも…。
目白くんとは敵になりたく無いなぁ。って思った。
ん?敵?俺の敵?
なんで?目白くんは敵じゃ無いだろ?
紅緒さんを巡って?
別に紅緒さんが誰と付き合ったって…?
俺の心はざわついている。
バイトの賄いで今日はカレーが来ると思ってたのにマグロの漬け丼が出てきた時に1番似ているこの気持ち…。
自分の心がわからない時がある。
それは香椎さんを好きになってから気づいた事。
逆に香椎さん以外でそんな事は一度たりとも無かった。
ごめんね、そうゆう事だから!目白くんは去っていき、俺はひとり校舎横で佇む。
色々思うけど答えは出ない。
ため息をついてクラスへ戻る。
席へ戻ると気づいたのかチョコンと横に座る紅緒さん。
改めて観察する。
黒々とした光沢のある長い黒髪、ぱっちりと整った目鼻立ち、肌は雪のように白く、細く長い綺麗な脚、控えめながら主張するバスト。
久しぶりの体育祭に興奮して紅潮した頬に強い眼差し。
…欲目なしに香椎玲奈と紅緒永遠は自分が今まで会った事ある人間の女性では1番綺麗。ふたりどっちが?は好みもあるだろうが俺はそう思う。
紅緒『承くん?なに?私に見惚れてる?』
なんかポーズをとってどうよ!って顔してるけど…
どうなんだろう?俺は自分の心の取り扱いがわからない。
それは間違いなく目白くんとの会話で揺さぶられた感情。
『見惚れてない。ハウス!』
紅緒『私の家はすぐそこだよ!』
ニッコニコで紅緒さんは突っ込んでくる。
その笑顔は無邪気で楽しそうで確かに見るものを惹きつける笑みだった。
紅緒さんの好みの男性のタイプは真面目で頼り甲斐のある誠実な男だったっけ?
目白くんは間違いなく該当する男だろ?
なんでこんなにモヤモヤするのか俺にはわからない。
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