第228話 紅緒組の体育祭

こうして、本番当日を迎えていよいよ体育祭が始まるぞ!

朝HRで皆を見回すと結構気合い入ってる!



青井は応援団に入り、1年の仕切りを任されて気合い十分!

いつのまにか伊勢さんも応援団の手伝いをしていて?

応援衣装の作成のお手伝いをしていた。


伊勢『めっちゃ可愛く無い?!衣装の袖と襟のとこ!』



伊勢さんは今年も応援グッズをキラキラにデコってて女子陣は大盛り上がり!

みんなキャッキャって騒いでる。

俺は裏方仕事がメインだったけど体育祭準備は滞り無くできて本当に良かった…!



目白『じゃ、紅緒さん!一言!』


紅緒『みんながんばれ!

私は走れないけど、精一杯の応援はするし全部見てるからねー!』



『『『おおう!!』』』


クラスのまとまりは良い。

紅緒さんはひとりひとりに話をして、協力するって奴も、運動苦手だからって奴も、稲田さん達みたいに嫌!って奴も色々居た。

それでも、ひたむきに、誠実にひとりひとりと向き合う姿勢は稲田や津南グループ以外からは大きな支持を取り付けた。


紅緒拒否!って派閥以外は最低でも体育祭頑張るよって反応を得て、クラスはまとまる。

紅緒さんが鼓舞すれば士気は上がるし、敵対以外はサボる奴も居ない。

敵対派閥と近くてもクラスの大半を味方につけた紅緒さんに逆らう奴は居なくってびっくりする。

紅緒さんクラスのヌシになってる?!


驚いて、どうやったの?って聞くと、



紅緒『承くんが話してくれた中学生時代のね、【香椎玲奈】に勝った女の子の話、【小幡千佳さん】の方法を真似ただけ。

小幡さんはクラス完全にひとつにしたんでしょ?そこまでは無理だったー!』

41話小幡さん委員長になる 参照


俺は慌てて言う、


『いや、あれは小学校からずっと一緒だった人たちだからある程度の知識があったから出来たんだよ?

宏介や青井や田中くんが補佐した上で…。』



紅緒『そう!青井くんの彼女さんが小幡さんなんでしょ?一回お会いしたいなー!』



なんか紅緒さん、小幡千佳女王のファンになってた…?


稲田さんや津南は不満そうだけど今の1ー4は紅緒会が与党、それを青井組、伊勢組がガッチリ固めてって感じ。

俺や仙道はもう紅緒会に組み込まれている。



決して上からじゃ無い、イベントに参加する人を、参加してきた人を紅緒さんは純粋にリスペクトしている。

人間同士だから本当に思ってる事と本当は思って無い事ってわかっちゃう事ってあるよね。

でも、紅緒さんはその純粋さと真っ直ぐさで裏表無くクラスに向き合った。

それがこの支持を集めた。

今、クラスは体育祭頑張ろう!紅緒さん見ててね!ってメンタルが大多数。

…あの、初日の自己紹介で完全に痛い子として敬遠された紅緒永遠はもう居ない。

今居るのは、

今を一生懸命みんなと歩きたい紅緒永遠。

そんな形。紅緒永遠のクラスと言って良いほどの支持と熱量で1ー4は体育祭に臨む!




☆ ☆

開会式直前。


小5以来の体育祭に興奮状態のとわんこ。

クラスの皆んなは微笑ましく紅緒さんを見ている。


稲田『何がそんなに楽しいんだか?』


稲田さんが皮肉を言っても、



『えー?体育祭楽しみっしょ?』

『そんな事言わないでさ?お祭り、お祭り!』

『稲田っちもね?意地貼張らないで?ほらほら!』


伊勢さん派ギャル組に容赦無く囲まれてチームカラーシュシュを着けられて写真を一緒に撮られる(笑)


紅緒さんは言う、

小さい集団が集まって出来た組だよ。

ひとり、ひとり小さい集団を作りそれが集まり組になってる。

みんな力を集めて組の力にして、体育祭を成功させて!出来れば勝とうね!


みんなも


『『『おおう!!』』』


一致団結、強制じゃない、なんか良いよね?

あれかな?有名な奴!

『ひとりは皆んなの為に、皆んなはひとりの為に!』


これを紅緒さんが成し遂げたって思うと感慨もひとしお。

今日はクラス委員長って立場を忘れてどこかのグループの一員として動こうかな?



しかし、俺は紅緒さんにすぐ捕まった。

紅緒さんば嬉しそうに目を細めながら、



紅緒『承くんはね?

紅緒会系 紅緒会直参、紅緒組若頭 立花 承

だよ!』



『いや、それ!反社でしょ?!』




いや、紅緒さんそうゆう事言うからヤクザの娘とか言われるんだよ?



青井『ばばーん!

紅緒会系 青井組 初代組長 青井航!

いや、竜が如き大好きなんだよね!』


自分でジングルまで言っちゃったよ…。

青井ノリノリ!

伊勢さんまで来ちゃって?




伊勢『【けだもの青井 航】(笑)』


青井『ケダモノはやめてくれよー!』


伊勢『キラキラー!

伊勢成実だよ?

…え?違うの?そうゆう遊びじゃないの?』


青井『伊勢は【猛将 伊達成実】みたいに名乗れってw』


伊勢『可愛くないし!』



キャッキャ楽しむ1-4。

楽しいね?俺クラスイベントってクラス内で戦う行事って常識で育ってたんだって思った。

俺の常識おかしくない?


☆ ☆ ☆

体育祭の開会式を終えて、クラスの待機場所に戻るよ。

紅緒組の若頭になった俺の仕事は紅緒さんの横に居ること。

…これ必要?



紅緒『必要だよ!

やっぱ違うよね?若頭が居ると!』


意味わかんない…。

あ、目白くん…そんな悲しい顔で見ないで…。



全員参加の100m走前に目白くんと話す。いや話しておいた方がいい気がする。紅緒さんを補佐して体育祭の準備でしょ?絶対とわんこ言う事聞かなかったでしょ?

テニスコート横、人通り少ない校舎横は日陰で涼しい。

俺から声をかける。


『目白くん、お疲れ様。』


目白くんは温和なイケメン。外町ほどじゃないけど文武に秀でた優しい男。テニス部員で悪評は聞かない人。津南と比べちゃいけない人格者。


目白『ああ、立花くん、お疲れ様!』


挨拶がもう爽やかで明るい。

俺にこの明るさがあれば、

目白くんは誰にでもニコニコ話す、俺もそのつもりで話しかける、

しかし、



目白『僕、立花くんと話しておきたかったんだ。

…僕、立花くんの事ライバルだと思ってるんだ。』



なんと?

突然のライバル宣言にあっけに取られた俺。

目白くんと会話しておこうって軽い気持ちだったのだが思った以上の衝撃に俺はかろうじて世間話の形で話を続行した、完全に気合い負けしてる状態だったんだ。

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