第224話 おどるよ!
立花光。
通称ひーちゃん、4歳。
ひーちゃんは生まれつきの心臓の疾患がある為、急激に血圧が変化するような運動、30分以上の有酸素運動を禁じられている。
だからかけっこもパン食い障害物競走も出れなかったんだ。
そんなひーちゃんを先生がお遊戯会ではセンターに指名してくれた!
幼いながらも人の心に敏感なひーちゃんは気合い十分!
森の精霊(?)と思ってる衣装に着替えて先生を先導に歩く年少さんたち。
年少さんはまだ小さい子だから、結構バラバラに動きがち。
同じ学年でまだ3歳の子も居るけどひーちゃんはもう4歳、プライドがあるのだ!
センターを任された事もあり、列の先頭を歩き、真ん中に位置取る。
兄ちゃんが、姉ちゃんが、お母さんが、みんな見てる!
宏介くんも菓子ちゃんも!
本当はおっぱいちゃんやツンデレちゃんも呼びたかったんだけど、この2人の家しか知らなかったんだよね。
みんなを驚かせて、喜ばせたい!
本番直前、ひーちゃんの小さな胸はドキドキしっぱなし!
ひーちゃんにとって身近な憧れ、兄ちゃんのように家族をビックリさせて、喜ばせる、そんな漢になれるかな?
今日はその第一歩!ひーちゃんは気合い十分!
気合い入りすぎてるかもしれない…?
大丈夫かな?
演目はパプ○カ。先に動画視聴後見て頂くとイメージが湧きやすいと思います。
もし歌詞などでクレーム入り次第即刻訂正します。
☆ ☆
おどるよ! side立花光
♪〜
さいしょはね?すきにおどっていいんだって!
みんなぼくをみてるね?
みててね?
おおきなこえでうたって!かっこよくおどるよ!
『まがり!くねり!はしゃいだみち♪』
ぼくがせんたーって言ったらねえちゃんよろこんでた!
『あしたもはれるかなー♪』
にいちゃんはいつも撫でてくれる、ねえちゃんはいつも抱きしめてくれる。
『パプリーカ!はなが!さいーたーらー♪』
おかあさん!おとうさん!
ふたりともいそがしいよ?でももっといっしょにいてほしい…
でもぼくしってる!かぞくのためにぼくたちためにがんばってるんでしょ?
『こーころあそばせあなたにとどけー!』
じいちゃん、ばあちゃん!いつもおうちにいてくれてぼくのそばにいてくれるよ!
ぼく!みんなだいすき!
みんなにかっこいいところ!みせたいよぉ!!
??????
あれ?
2番?
あれ?
あれ?
わかんなくなっちゃった?
…どうして?あんなれんしゅしたよぉ?
「「雨に、燻り、月は翳り!
木陰で泣いていたのは誰?」」
みんな、うたってる!
ぼく、ぼくどうしたら?
ぼくなきそう…。
おおきなしってるこえがする?
承『喜びを!数えたら!あなたでいっぱい♪
帰り道を照らしたのは♪思い出のかげぼうし♪』
にいちゃんが大きなこえで、ねえちゃんおおきな動きでおどってくれてる!
ええ?!しゅごい!!
さすがにいちゃんねえちゃん!!
※ひーちゃんがこれ踊るって知って動画見まくってるうちに望がダンス完コピしました。横で聞いて見ていた承も歌も歌詞も完全に入っています。
『パプリーカ!はながさいたーらー♪』
ぼく!あわててた!
ねえちゃんとおどって!にいちゃんとうたうよ!
そこからはばっちり!
かっこよくおどって、うたったよ!
『こーころあそばせ、あなたにとどけ!
かーかとはずませこのゆびとまりぇ♪』
…さいごふにゃってなっちゃった…。
みんなでおじぎをすると、
パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!
見てくれたひと、いっぱい拍手してくれたよ!!
みんなみてくれた?
おどろいた?!
かっこよかった?
…でもね、ぼくはだめだなぁ。
あんなにれんしゅうしたのに。
みんなをよろこばせたかったんだけどなぁ。
☆ ☆
退場して、次の年中さんの準備が始まるよ。
ひーちゃんはちょっとしょんぼりして、立花家の敷物へ戻るよ。
ひーちゃんが帰ると、立花家は号泣していたんだ。
ひーちゃんビックリ!
『なんで?なんでないてるの?!
ぼくがしっぱいしたから?!』
ひーちゃんは泣きそう。
家族は全員泣いてる。
あたふたひーちゃんに宏介兄ちゃんが優しく、話しかけるよ。
宏介『ひーちゃん。ひーちゃんの歌と踊りが素敵すぎてね?
兄ちゃんも、姉ちゃんも、かあさんも、父さんも、爺ちゃんも婆ちゃんも、
…菓子ちゃん?菓子ちゃんも素敵で嬉しくって泣いてるの。
宏介兄ちゃんもちょっと泣いちゃった。』
ひーちゃんは聞き返す、
ひー『すてき?』
望『すてき!素敵!すーてーきー!!』
望と承はひーちゃんを抱きしめる!
望は飽き足らず、キツツキみたいにひーちゃんにちゅうしまくり!
※前に望はひーちゃんが可愛すぎてキスしまくってひーちゃんの頬にキスマークを付けてしまい、お母さんにガチ怒られした事があります。吸い禁止!
承と望が離れると、父さん母さん爺ちゃん婆ちゃん、順番にハグされます。
菓子ちゃんも宏介くんもハグしてくれて、ひーちゃん4歳は嬉しくてたまらない!
家族がみんな口を揃えて大絶賛!良かった!
ひー『すてきだったのか。』
ひーちゃんは席に戻る途中嬉しくてニヤっと笑ってひとりごと言っちゃう。
そこへやって来る、1人の女の子。
ニナ『かっこよかったよ!ひーちゃん♡』
ニナちゃんが苦手なひーちゃんは乾いた笑顔で受け流す。
ニナちゃんは悪い子じゃない、でも苦手。
なんでって?子供扱いされるから!
ぼくはもうおにいさんなんだよ?
ひーちゃんは主張したい。
家族の笑顔と泣き顔を思い出し、ご満悦!
お遊戯大成功!!
☆ ☆ ☆
まだ序盤だけど、ひーちゃんが一生懸命に歌いながら踊る。
あんなに上手に歌えるんだ。
あんな格好良く踊れるんだ。
小さい弟の成長に驚き胸いっぱいの兄バカと姉バカ。
『夏がくる!影が立つ!』
この歌は少し前に大流行したから知ってる人が大多数。
最近望が動画見ながら踊ってたのを横でずっと聞いてたから、承は完全に覚えちゃった。
次の歌詞は…
『あなたに会いたい♪』
歌詞に触発されちゃった?
承はチラッと横の憧れの女の子の横顔を見ちゃう。
チラッ
チラッ
横の可憐な女の子も同じタイミングで承を見る!
目がばっちりあったふたりは真っ赤になって慌てて目を逸らす。
『あなたに会いたい』
それはふたりには深く深く刺さるワードだった。
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