第223話 立花家の食事風景【side香椎玲奈】

二人三脚でゴール後に我に帰った私。

いや、ゴール直後はわかってなかったわけで。





あれ?これどうゆう状況?

承くんに抱きついちゃった?

私の腕は承くんの首にからまってる?

ああ、良いんだ?夢最高!


承くん…高校生になって?大きく逞しくなって。

こんなになんかゴツゴツしてる…。

はあ、首筋に顔埋めちゃえ?くんくん。


くんくん、くんくんくん!

夢なのに匂いがする…この真面目な武将みたいな男の子は私を気遣わしげに眺めながら揺さぶるの。揺さぶらないで?

目が覚めちゃうでしょ?



承『香椎さん?香椎さん大丈夫?』


『ふーっ…ふーっ…ふーっ♡』


やばい、興奮しちゃう…。

もう夢なんだから?好きにしても…?










うん?






ああああああああああああ?!

夢であって!!

むしろ!夢であってー?!




私は承くんにだらしなくもたれかかり、首筋をくんくんして!

しかも息を荒くしてる醜態を承くん本人に!

この至近距離で?!




『あ、あ、あ、あ、あ…。』



意識が覚醒してきた…これ?この状況なんて?なんて言えばいい?!



『ひ!ひーちゃんの為に必死!

必死だったの!』




承『ええ?!そんなに必死に?!

…確かに…最後完全に俺の全速に合わせてくれたもんね?

ひーちゃんの為に…ありがとう!香椎さん!』



承くんの尊敬の眼差しが心に刺さる…。

そんな純真な目で見ないで…。



セーフ!一応凌げたし、これはアクシデント!

一応、一応義理で婚約中(仮仮仮)だから、なんかえっちいことしたら

有責になっちゃう!そうゆうの絶対承くん許せない奴でしょ!

私も嫌だしね!ちゃんとなんとかしてから!




そんな事を考えてると、ひーちゃんがすごい勢いで抱きつくよ!



ひー『にいちゃーん!かしちゃーん!!』


まだ足首が繋がってるからくっつく私たちの腰にひーちゃんが抱きつくよ!

ひーちゃんは嬉しそうに、



ひー『しゅごい!すごいよぅ!

にいちゃんも!かしちゃんも!超はやいね!』



幼稚園の先生『はい、ひーちゃんのお兄さんとお姉さんかな?

メダルどうぞ?』


承くんはメダルを受け取ると、ひーちゃんの首にぶら下げる。

ひーちゃんの首には二つ目の金メダル!



それを誇らしげにぶら下げ、ひーちゃん立花家の敷物へ凱旋!


祖母『ひーちゃん格好いい!』

祖父『男前!』


立花家の面々がひーちゃんを褒めるからひーちゃんは得意げ!






午前のカリキュラムが終わり、お昼タイム。

お昼を食べていよいよメインイベントひーちゃんのお遊戯!


立花家は健啖家揃いの一族でお弁当盛りだくさんなの!

一応、私も作って来たんだけど…あわよくば承くんやみなさんに食べて欲しい!



承ママ『香椎さんも、宏介くんも一緒に食べよ?』

祖母『そうそう、みんなでね?』


宏介くんは慣れた様子で、私はちょっと緊張しながら、


宏介『…すいません、じゃあお言葉に甘えて。』


『私もサンドイッチと、おかず数点作りました。

皆さんでよろしかったらお召し上がりください。』


緊張するよ!承くんママと承くん祖母のふたりに嫁失格とか言われたら!



…でもそれは杞憂で。

立花家はもりもりテンポ良く食べてくれる。

美味しいね?うま!これ何入ってる?とか会話は止まらない。

モグモグしてる時以外ならしゃべってる。

(たくさん会話する家なんだね。)

って思った。


承くんのお父さんはもりもり食べてお母さんが嬉しそうに見てる。

おじいちゃんとおばあちゃんもそんな感じ。

面白いのが三兄妹弟はみんな食べて美味しい時同じ顔してるの!

立花家ってこんな感じなんだなあ。



隣に承くんが居て、私の手料理食べてくれるだけで幸せなのに、

承くんは目をキラキラさせて、


承『この卵サンドすっごい美味しい!少しだけカラシ入ってる?』


『わかる?少しだけ玉ねぎも入ってるんだよ?』

(やった!)


私は顔に出さないように、ニコニコし過ぎないように顔を抑えるの大変!

ああ、この遊戯運動会毎週やらない?



承ママ『ほんと!香椎さん!美味しいわぁ。』

承祖母『うん、美味しいし後味もスッキリ。』



良かった!

うん?ピリピリ?



承祖母『あなたのお弁当ちょっとコッテリじゃない?』


承ママ『はは、お義母さん、承や望は成長期なんですよ?』


承祖母『私たち年寄りには…。』


おほほ、うふふ。

何あれ?怖い!



望『あー、先輩。あれいつもなんで。

どうせすぐに?』




ひー『そんなこといわないで?

ぼくおかあさんのごはんもばあばのごはんもだい好きだなぁ。』



ママと祖母『ひーちゃん♡』


ひーちゃんが間に入って立花家の嫁姑はすぐ仲良しに。


承祖母『ほんと孫たち可愛い!あなたの教育よねぇ。』


承ママ『いえいえ、家にいない間見てくれてるお義母さんの居る環境が…。』



望ちゃんが笑いながら、


望『あのふたりはいつもああだから!大丈夫ですよ!先輩!』


私はなんか納得しながら見てた。

他人同士が暮らすには息抜きというか、捌け口が必要なのかも。

ああして小さい不満をちょっとだけ相手に伝えてガス抜き。

その後相手を認め合い、労いあってるのかな?

嫁姑って大変!




承『…うん!この鳥の照り焼きも美味しい!』


望『ほんとだ!うま!』


ひー『おいしいね?かしちゃんつくったんでしょ?』



もちろん!わたしが作ったよ!ってひーちゃんに伝える。

ひーちゃんはニッコニコの邪気の無い笑顔で、



ひー『ねー?

にいちゃん!かしちゃんいいお嫁さんになるね?』



こんな小さい子供の言う事だけど意識しちゃって私は真っ赤になっちゃうよ!

お嫁さん…良い!




ぶっ!!


それを聞いてる承くんがお茶を吹き出した!

気管に入ったの?すっごいむせてるよ!



承『ぎほ!!ごほ!!』


『承くん!大丈夫?

もう!しょうがないなぁ。』


私は立花家持参布巾でで承くんの服にこぼしたお茶を拭き取り、持参のハンカチで口まわりを拭いてあげるよ!

出来るなら、承くんのお世話してあげたい。

一応澄まし顔しながらも嬉しく楽しいよ!



望『あ、正妻ムーブだ!』

宏介くんは黙って、うんうん頷いてる!



正妻ムーブ!そうかな?

…でも私は愛人は認めない主義だよっ!



立花家の食事風景に私は違和感無く、入れたと思う。

…いつか!

……それには…なんとかしないといけない、あれを。



幸せと漠然とした不安が入り混じるお昼タイムは終了した。



いよいよ、メインイベント!

ひーちゃんセンターのチューリップ組のお遊戯タイムがはじまるよー!


☆ ☆ ☆

昨日で60000pv達成出来ました。

いつも読んで頂きありがとうございます。

楽しんで頂けるよう頑張っていきます。




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