第222話 二人三脚【side香椎玲奈】

ふたりで話す時間はあっというま。

楽しくて暖かくって時間を忘れる。



おんぶ競走が終わったけど望ちゃんはなかなか帰って来ない?

と、思ったら、


宏介『承、来たよ。』

望『宏介くん見つけた!』


望ちゃんが宏介くんを連れて来た!

承くん嬉しそう!


承『おお!宏介も来てくれたの?』


『あ、宏介くんお久しぶり!』


私も久しぶりに会った。

わいわいみんなで話してると、いよいよひーちゃんが出場出来る玉入れ!

あ、ひーちゃん!



承『ひーちゃん!』

望『ひーちゃーん!』

『『ひーちゃん!ひーちゃん!』』


立花家大盛り上がり!



ひーちゃんはこちらの立花家サイドをチラチラ気にしながら真剣な面持ち。


バン!


玉入れ開始!


ひーちゃん!頑張って!

ひーちゃんは頑張って何個もカゴにお手玉を投げ込んでた!


でも負けちゃった。

ひーちゃん悔しそう…。


悔しそうなひーちゃんを見つめて荒れる立花兄妹。


望『クレーム入れよう!』

承『うーん…。』


割と常識人な承くんまで?

落ち着いて?ね?




次の競技はパン食い障害走。


アスレチックみたいな障害物を超えてぶら下がってるパンを咥えてゴールした順位で争うんだけど。



またひーちゃんはひとり、クラスの席で座ってる。


望『くそう!パン食いなら我が家は強いはずなのに…!』

望ちゃんが悔しがってる。

立花家はパン食い強いって言ってた(笑)

101話 体育祭開戦!参照


わいわいとみんなで話す。


宏介くんは割と無口でそんなに発言しない。

このメンバーだと私と望ちゃんの組み合わせで話しちゃう事が多いね。


パン食い障害物競走を眺めながら4人でのんびりお話。

これも結構楽しい。


メインは年少さんの、ひーちゃんの歌と踊り?

何をするのかな?楽しみ!

承くんが言うには毎日のように練習してたんだって。



パン食い障害物競走のあと、父兄の二人三脚があってお昼。


二人三脚って言えば…去年は酷い目にあったなあ…。

同じく101話 参照


去年、承くんと二人三脚しよう!って提案したんだけどね?

伊勢さんと競合しちゃって…借りが多くて…譲る羽目になって…。


小石くんにセクハラされて、匂いくんくんされて!怒ったんだよ!

※おまゆう。



二人三脚は承くんと望ちゃんで出るんだって。

いいなぁ。




そんな事を思ってると、


望『あー。さっき。おんぶ競走で。無理しすぎたかも、しれない。』

※棒読み。



どうしたの?望ちゃん?!




望『あー。どこかに。ひーちゃんの為に、走ってくれる人は、いないかな?』

チラッ、チラッ。



…。



承『…宏介?二人三脚出来る?『何で?』』



食い気味に突っ込んでしまったよ…。


望『まあまあ、香椎先輩と兄ちゃんがいいんじゃ無い?』

宏介『…俺も香椎さんと承が良いと思う。』


宏介くん!ナイスアシスト!


私は!承くんと!二人三脚出来るよ!

ふう、落ち着こう。



エントリー順に並ぶと周りはパパとママばかり。

なんか不思議。

でも周りが全部知らない人だからまたふたりで話し込んじゃう。

すると、話は核心の方向へ。



…卒業式でのあの仕打ちのこと。

想いを伝えると約束してたのに手紙だけって…。

これだけはまだ納得いかない。

絶対、絶対に両想いなはず!って私の確信から釣り合わないって、一緒に居れないって、その理由と好きなところあんなに羅列しておいて…あげく泣いた赤鬼になぞらえるって…。

これだけはわだかまりがあるんだよ!




待合コーナーで少しだけ詰める。

承くんは謝るけど、それだけ。

今はどう思ってるの?まだ同じで一緒に居れない?もう私に興味無い?


色々ぐるぐる回る。

あんなに話してたふたりだったのに、ピタッと会話が止まる。

あんなに居心地の良い雰囲気が少しピリつく。



私は少しイライラしていたんだ。

自分が婚約(仮仮仮)したのを棚に上げて承くんは!って怒ってた。

私の気持ちを知らないで!ってツンツンしてたんだよ!




承『…ごめん、競技だから巻くよ?』


足首に紐を巻き、結ぶ。

近い?近い!密着だよ!



承くんの顔が近いよー!



あ、悪い癖出そう…!



いちに着いて!よーい、ドン!!



そこから先は録画で見た。

望ちゃんが撮ってたんだ。


よーいどん!から5秒、私も承くんも相手に合わせようとして、スタートしなかった。

周りはどんどん走っていく。

まずい!と思った承くんが動き出す。

それに完璧に合わせる私。



承くんはほぼ普通に走ってる!

それに完璧にあわせる私!



一時大差でビリだった承と玲奈チームは終わってみれば圧勝!

そりゃそうだよね、普通に1人で走ってるスピードだもん!



ただ、私は記憶がほとんど無い…。

気づいたら終わってた…。


悪い癖…出ちゃった…!



☆ ☆ ☆

玲奈の記憶。



承くんに合わせるよ!


承くん近いな…!


…くんくん、



くんくんくん!くんくんくんくん!!


…ふにゃあ。



ここで記憶が途切れてる。


次に我に帰った時は…



承『香椎さん?香椎さん大丈夫?』


『ふーっ…ふーっ…ふーっ♡』


私は息を荒くして承くんに横からしがみついて、首すじ辺りに顔を埋めていたんだよ…。

もう、怒ってるとかピリピリどころじゃないの!



もう、承くんとこしかお嫁に行けないよ!




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