第219話 正攻法とは?【side紅緒永遠】

お父さんのヤクザ疑惑を否定する為にクラスメイトの大半を家に連れてきた!

ママは呆れながら皆んなにお茶とお菓子、急いでケーキを買ってきてくれて振る舞ってくれたの。


承くん、なるみん、仙道くんとはママやお父さんを交えて少し談笑した!


承くんを両親に紹介しちゃった!


ふふ?って思い出し笑いをする私。

もう両親公認だよね?


ママ『永遠…。』


ママは残念な生き物を見る目で私を見るよ…。

実は先日、承くん会いたさに俺カレで散財してるのがバレた。

散財自体は、食べ過ぎ自体は不問だった。

…でもね。



ママ『バイト先に押しかけて?彼と話をする為だけに…あんなにばかばか食べて…。

オーダーと配膳の時に必死に話しかけて…』


どこからか見られていたらしいの。

呆れるママに私は必死に言い訳するよ!


『だって!アルバイトの邪魔しちゃいけないし!

お店に迷惑かけない為に注文するしかないし!』


ママ『でも…お店の人にヌシって呼ばれて…。

俺カレ?のレシート12枚も財布に入ってたよ?』


見たの?!ママは呆れながら、


ママ『もっとこう…

せっかく可愛く産まれたんだから…

永遠はもうちょっと正攻法で攻めるべきだと思うの…。』


『こないだから、ママ言ってるね?

正攻法ってなに?』


本当にそう思う。

私だって少女漫画やドラマ見まくりで?結構恋愛の手管?手腕?は自信あるんだけど?



ママ『逆に聞くけど…進展する為に何かしてる?』


私はキタ!って思ったよ?


『何もしてないっ!

…ママ…どうしたら良いの?

待ってても、何も誘ってくれないの…。』




ママはあちゃあ、って顔をして、


ママ『恋愛で待ちは…。

こないだ彼のバイト帰りにアイス食べたとか言ってたじゃない?』


恥を忍んで言った、涙目になりながら。


『それしか夏休みイベント無かった!

あとは俺カレで課金して話しただけ?


ママ…どうしたらいい?』


ママはため息をついて、



ママ『ママが正攻法を教えるよ…。

普段一緒も良いことだけどお出かけじゃない?』


『お出かけ?誘ってもらったこと無いよ…。』


ママ『誘うの!前に彼のバイト先のお使いに付いて行ったんでしょ?あんな感じ。』



あ…なるほどー!


勉強は出来るのに…なんて残念な…ママが呟く。


『でも?なんか普通じゃない?』


ママ『効果が高くてみんなするから普通の方法になったのよ。

例えば、参考書買いに行くから付き合って?とか、

ラーメン食べたいけど女の子だけじゃ…一緒に行こう?とか、

チケットあるから映画行かない?とか。』



なんと!


『ママ天才!ママの誘い文句このままコピぺして承くん誘っちゃおう!』



ママ『ママは天才、永遠は転載って言われるよ?』


なんだろう?どこかで散々やったようなデジャヴ…。



『とにかく!ママわかったよ!正攻法!』


ママ『永遠!あまりしつこくしたり、何度も断られるようなら考えなさいよ?』



良いこと聞いた!週明けが楽しみだ!









☆ ☆ ☆

何で?

週明け、私はすっごい忙しい。

体育祭の実行委員って仕事多い!

備品の管理に、クラスへ伝達、実行委員会議、決める事たくさん!

個人種目のエントリーやなど諸々!


クラス委員長の仕事もあるよ!

…でもそっちは承くんが全部やってくれた。

承くんは、


承『しょうがないなぁ。』


って言いながら委員長仕事の集計や提出物系、委員長会議への出席など全部ひとりでこなした。

それどころか体育祭実行委員の仕事までフォローしてくれる!

配布物のついで!とかあの子余ってるから小道具係の手伝い頼もうか?って。


私…両立出来ると思ってた。

バッファ的にはまだ余裕があるよ。でも実際先読み行動する余裕なんて無い。


承くんは委員長仕事をこなしながら、


承『バイト無い日なら手伝うよ?』



って言ってくれて、私は情け無くなっちゃう。

自分でやる!って言って承くんに助けて貰わないとならない自分が恥ずかしい。

そしてその状態に甘えちゃう自分が嫌だ。

承くんの前では綺麗で可愛くて格好良い女の子でありたいよ。



そんな事を思ってた放課後。

ちょっとしたミスでヘコむ私を承くんは優しく笑いながら、


『慣れてないからだよ、紅緒さんなら慣れれば、もっともっと!俺なんかより、すっごい事出来るよ!

俺は委員長仕事やったことあるし、体育祭実行委員もしたことあるもん。

1回目なんて紅緒さんほど出来なかったよ!』



『…慰められると泣きそう…。』


承『泣くな泣くな!』


承くんの頭を撫でてくれる手が優しくてほんとに涙滲んできた。

大きい手、優しい手、力強い手。

こないだ会った妹さんや弟くんは毎日承くんに撫でてもらってるのかな?

…羨ましい…。



そんな事をぼんやり、思ってたら思わず言葉が出た。

正攻法、なるほど、一緒に居たいよ、その為に口実作ってお出かけしたいよ。



『週末…お出かけしたい。

…おねがい。』


承くんビックリしてる。

ここだ!押し込め!

承くん何が好き?考えて!



『私、ラーメン食べたい。

ラーメン店は女の子には敷居が高い…承くん…。』



ラーメン屋さんへ連れて行って?ってお願いの割に私は必死。

必死の上目遣い、ウルウル、プルプル。

チワワみたいな感じ。



『どうしても日曜日ラーメン食べたいっ!

承くんのおススメ食べたいよう!』




どうだ!正攻法!

でも本音だよっ



承『あ、日曜日は無理だ!』

手でばってんを作ってノータイムお断り!



何でよ?!


『じゃ、じゃあ!来週…』


私の言葉を遮る承くん、


承『大丈夫!良いこと考えた!』






日曜日。


なるみん『とわわん!ここが!

私と立花のおススメのお店なんだよー!』




『へー!』


ターミナル駅の駅前、人気のラーメン屋さんなのか11時前なのに少し行列できてる。なんか美味しそうな匂い…!



なるみん『なんのかんの立花と4回位来たかな?

去年の今頃も体育祭の応援団引き受ける変わりに…。』


『え?何それ!聞きたい聞きたい!』


…。



…。



『お店ラーメンってこんな美味しいのー?!』


なるみん『えー?おおげさ!

ラーメン位食べるっしょ?』


『お店で食べるの6年ぶり?かな?』



なるみん『不憫な娘…。でもそれなんだっけ?』


『こってりラーメンセット、大盛り、ネギ、半熟卵、と油淋鶏。』


なるみん『太らない体質って…憎い…!』


なるみんとお店ラーメン堪能したよ!

承くんは乙女心絶対わからないから誘い方要注意だぞ?

痛感した秋の日。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る