第217話 紅緒さんの相方

えええ?!

津南?お前さっきはそんな暇無いって言ってたじゃない!

そして津南の立候補を紅緒さんは即却下した!



それは想定できなかった?!

どうする?

俺も立候補する?



これじゃ制御出来ないぞ?!




それならそれでいっか?

俺が紅緒さんをフォローすれば良い。

誰が相方だろうが俺の立ち位置は変わらない、クラス委員長の立花なんだから紅緒さんが忙しければフォローしたり、俺が委員長業務を引き受ければ良いだけ!



結局立候補でクラスの紅緒さんのファンの我の強く無い男子の目白くんが実行委員になり紅緒さんの相方になった。

大人しめなイケメンで穏和で優しい良い男だと思う。仙道も良い人選じゃ無い?でも良いの?って。良いよ?


目白『紅緒さん!よろしく!俺頑張るね!』


紅緒『うん、よろしく…。』


目白くんはとわんこ勉強会や歩き遠足にも協力してくれた紅緒ファン!

彼なら大丈夫でしょ。





でも、HR終わっても、ガヤガヤザワザワは収まらなくって。

特に稲田グループが、津南が実行委員を立候補して却下された事を全部紅緒さんへ文句をぶつける。


変な病気持ちの子が!

援交、パパ活するような娘だ!

ヤクザの娘だ!

男好き!


立花と付き合ってるんでしょ?は言われない、まあ付き合って無いし!



最初は違うよ?とか嘘だよ?

とか言ってた紅緒さんなんだけど…。


一向に収まらない口撃にだんだんイライラ。



あ、やばい。

あの娘キレそう!




紅緒『もう!良い加減にしてよ!

本当に!ヤクザや!変な病気や!パパ活や援交してたんなら!

言われても仕方ないけど!

絶対違うんだから!』



紅緒さんは俺をチラチラ見ながら、キレる。



紅緒『そんな事無いんだから!

皆んな!私に!着いて来てよ!』



ぷんすこぷんすこ!頭から湯気出そうな雰囲気で。

紅緒さんは激おこで4組のみんなを引率して何処かへ向かう!

保健室だ。




先生『わ!みんなどうしたの?』


紅緒『先生!私の心臓の件で不名誉な噂が出てて、この子達が、

【私が変な病気を貰ってきて中学時代まともに登校出来なかった】

って言うんです。

入学時に提出した病気と身体の診断書と、医師の記入した病気の証明書ありましたよね?』


指をさされたあんだけヤジった女子は、


『そんなつもりじゃ…』

『そうゆう噂が…』

『別に本当にそう思ってたわけじゃ…。』


とかモゴモゴ言ってるの。

紅緒さんは顔を紅潮させて、


『ここで証明しないと私はそんな女の子なんだって思われちゃう!

そんな風に思われたく無い人に誤解されちゃう!

女の子ならそんなの我慢出来る?

誰にその噂聞いたの?

あなたが言って広めたの?』


紅緒さんキレてる!


先生はこの書類はね?医師が病気とその後遺症で通学出来ないって証明の書類、先生も見たけど中学校は通えなかったけど、きちんと先生立ち会いで試験受けて素晴らしい成績でしたし、入試も主席合格だったから。

って紅緒さんの病気に関する不名誉な噂を払拭してくれた。



紅緒『次!』

まだ続くらしい。



靴を履き替え、クラスのほとんどは校外へ案内される。

一部生徒は所用や塾、部活、帰宅したけど大半は着いて行く。



校門から約250m。

あ、ここが紅緒さん家?

確かに近い!



敷地広い!駐車場めっちゃ広くって、なんかイカついガタイのいい男性が行き交ってる…。


仙道『僕も初めて昨日見たんだけど…なんとも説明が…?

あれ。』


伊勢『…うわぁ。』


仙道が視線を向ける先、


立派で巨大な門構えの和風の邸宅。

その門構えに【東光組】の立派な看板…。



ほんまもんやないけ!


チャララー!チャララー!

どっかで聞いたような緊迫感のある有名なテーマが聞こえる気がする。



『永遠ちゃんおかえり!』



イカついお兄さんが紅緒さんににっこりあいさつ!


紅緒『あ!お兄ちゃん!ただいま!』


お兄ちゃん?!



『おう、永遠おかえり。』

『友達?いらっしゃい。』

『ゆっくりしていってね?』


イカついおじさん、お兄さん、ゴツいおじいさん。皆んな紅緒さんに微笑みかける?


『ただいま!パパ!おじさま、パパ!』


パパ何人?!


紅緒『うちの家業が土木関連の仕事なの!

道路の舗装とか白線とか道路標識やガードレール、カーブミラーとか道路に関することや下水道の設置や取り付けとか?』



紅緒さんは得意げに言い切った!


うちで働いてる皆さんは私の家族!

みんなパパやおじさまやお兄ちゃんや兄貴って呼んでるの!




ああ。そうゆう事。

だからあんなにイカついお兄さんたちがウロウロ…。



?『いらっしゃい…永遠のお友達かな?』


顔に傷のある、迫力のある顎ひげを生やしたガタイのいいおじさまがスーツをビシッと着て出てきた。


紅緒さんパパかな?

ヤクザじゃないんだよね?本当に?

もう迫力満点のおじさまと従業員の皆様に囲まれクラスメイトは声が出ない。

特に津南や稲田さんは血の気の引いた逃げ腰で。

がっこうからわずか250mにこんな異世界が広がってるとは思えなかった。

すっげえ。



伊勢『この家と出入りしてる人見てとわわんいじめる奴居ないでしょ?』


仙道『なんとも説明し難い…。』


『まあヤクザ屋さんじゃないなら問題無いでしょ…?』



いや、本当に違うんだよね?

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