第215話 あいつならどうする?
なんとか昨日は何事も無かったけど新学期3日目の今日、最後にあるLHRで9月4週の体育祭の実行委員と応援団員を2名ずつ選出しなければならない。
今、この4組ではクラス委員長の紅緒さん、立花の悪い噂が流れててちょっとやりにくい状態だけど、本来紅緒さんはある程度の支持を得てるからやり方次第でなんとかなるはず。伊勢さん、青井のグループに紅緒さんのファンも居るから!
紅緒さんに今の状況を説明して、支持者にネマワシをする必要を説く。
円滑に、上手く回る為に。
紅緒さんが学校生活を楽しめるようにここは断固戦うべきで、歩き遠足みたいに体育祭も楽しもうよ!
紅緒『うん!もう前回みたいに?ただ何もしないでぼっこにはされない!
私と仲良くしてくれる人と楽しむ為にも必要な事だよね!』
昼休みまでに手分けしてこないだの歩き遠足付き合ってくれたクラスメイトを中心に俺と紅緒さんは手分けして話しかけていく。
みんな噂でてるね?ってリアクションで、積極的では無いけど紅緒さん支持をしてくれた。
思ったより影響は無いけど、
立花は紅緒さんと付き合ってるの?
紅緒さんは本当にヤクザの娘なの?
立花くんそんな人じゃ無いよね?
噂の反響は結構あったよね…。
紅緒『違うよ、お父さんはヤクザじゃないよ!』
紅緒さんがキッパリ否定した話を皆にする。
知っての通り、紅緒さんは心臓が悪くて中学時代は学校にまともに通えなかったのを誰かが悪意のある噂を流したんだ。と話をする。
あ、そうか!
俺の好きなゲームの三国志で頭の良い武将がかけてきた計略を逆に相手に返す。
【反計】って特技がある。
まあ相手の策を跳ね返すってこと。
この噂は【俺と紅緒さんを陥れたい】って意図で流されてる。
なら逆算したら?
俺は紅緒さん支持者に話をする際に、付け加える。
『知っての通り、紅緒さんは頭良いけど見ての通り世間知らずの健気わんこだよ?
誰がそうゆう噂を流したのかな?
俺はとにかく、紅緒さんなんて実際何も悪い事してないし、する体力も無いし。
誰かが悪い噂を流してる。あの娘から学校生活を取り上げようとしてる奴が居る。』
新学期始まった瞬間これだけ広がってる噂なら結構無理して流してるはず。
すぐに噂の出所みんな気づいて、意図を感じるはず!
陥れてやろうしてる人物にみんな思い当たるはず。
それが見えれば逆に紅緒さんはいわれの無い悪意をぶつけられたヒロインとして支持や同情が大きく集まるはず!
敵の思惑が裏目に出る!
こうゆうの宏介なら上手く、自然に紅緒さん支持に誘導できるの。
中学生の頃のイベントの時、クラスの旗印の小幡さんに絶対的な支持を集めたり、体育祭負けてグダグダな小幡さんを一瞬で立ち直らせたり、体育祭種目に対して具体的な対策、訓練を即座に出したり。
あー宏介が居ればなぁ。
まあ、居ない親友に思いを馳せながら宏介ならこうゆう時どうする?
って想像する。
またゲームに話になるなあ。
宏介なら相手と距離を絶妙に保って、相手に先に攻撃させる。
ただギリギリの射程範囲で全力では殴れない、ギリギリの距離で先に殴らせて全力で反撃して短期間で決める。地味な罠や小細工を散らして。
まあ結局元々紅緒さん支持なら支持してくれる。
津南や稲田さんに与するなら支持してくれない。
ただ今回の噂の広がり方は性急すぎる。それだけに粗が目立つ。
…まじ外町の方が…陰湿で狡猾、自分は手を下さないから尻尾は掴めないし厄介だったよ…。
去年の今頃はなぁ…香椎さん大変だったっけ。
これなら最後のLHRで妨害されても、クラスメイトの支持的には妨害を封殺できるだろ。
強いて言うなら想定出来るのは2パターン。
体育祭実行委員に敵が名乗り上げるパターン。
…これは厄介。相手主導権で好きにされるし上手くイベントを成功させれば人気や支持を上昇させるなあ。
体育祭実行委員にならないパターン。
…こっちな気がする。
こっちはただなんでもいちゃもんケチ付けて、妨害するだけ。
上手くいかない責任を俺と紅緒さんになすりつけて笑い者にしたり攻撃する名分を作ったり?
短い付き合いだけど津南たちは努力して皆んなで楽しんで支持を得るぜ!ってタイプじゃ無いよ。ただ人を下に見て、馬鹿にして、自分の周りだけ楽しめれば良い!って感じ。
こんな奴を支持する程クラスメイトは馬鹿じゃ無いと思いたい。
ただ同じ中学の派閥や結構イケメンと美人だから支持してる奴が居るのも事実。どうなる?LHR?
紅緒さんが司会するけども、きっと野次や妨害があるだろう。
紅緒さんを支持してる人も多いから冷静に進めていこう?
紅緒さんと直前に話すよ。
紅緒『私は体育祭って小5以来!皆楽しみじゃ無いの?
新しい学校生活の思い出より人の邪魔したりする方が楽しいのかな?
…それって悲しく無い?』
この子は素直なんだよ。
『悲しい。
だから、紅緒さんは紅緒さんを支持してくれる、同じように思い出作る為全力で楽しもう!って仲間の為にも頑張って!』
紅緒さんはにっこり、見るものを惹きつける可愛い笑顔で言い切る
紅緒『みんなで思い出作りたいよ!
承くん!お願いね!』
ふふー!って笑うあの娘と重なって見える。
そんなわけ無いのに、あんな娘はふたりと居ない。
それでも似て非なるその輝きに俺は頷く、必ずどうにかしてみせる。
だけど俺は何処か紅緒さんを甘く見ていたのかも。
ひとりでどうしようも無い状態になってたのを見たから?
学校生活のレクチャーをしたから?
紅緒さんは頭が良い。俺と比較しちゃいけないくらい。
その学習能力は早く、吸収力は高い。
この後、このクラスが紅緒さんのクラスになっていくのをまざまざと見せつけられる。
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