第211話 夏休み最終日【side紅緒永遠】

明日から学校かぁ。

2学期は体育祭やマラソン大会、文化祭とイベント目白押しだなぁ。

…結局承くんは全然何処にも誘ってくれなくて?エイオンとか近所にショッピングエリアでちょっとだけ会った程度。

結局この俺カレが1番会える。

注文すれば話せる。もうここホストクラブにならないかな?

SYOくん指名したいよ!

192話 あわわわ紅緒さん 参照




いつもの1番テーブルに今日は少し遅めの15:00に入った私は、オーナー夫人の通称奥さんに、


『1番テーブル、ヌシが入りました!』

ってからかわれる。ヌシってなに?



承くんに唐揚げカレーとジンジャエールを注文して、今日も承くんを観察してまったり過ごす。

私夏休みの自由研究ってやった事無いんだけど『承くんの観察日記』なら根気よく精密な記録を残せる気がするね。


食べ終わって、しばらくスマホいじりながら承くんを見てるんだけど、

あ、来店のお客さんだ?



なるみん!と女の子?なるみんは私を見つけてまっすぐこちらへやってくる。



なるみん『おー!やっぱ居た!とわわん♪おいーっす!』


『おいっす?』


なるみんは今ダイエットしてるって言ってた。

ダイエットご褒美で承くんがご飯ご馳走してくれるんだって…むう、なんか羨ましい…。


あれ?なるみんのお連れさん?

承くんと仲良し?承くんの腕を引っ張ったり、財布を取ろうとしたり!

キャッキャしてる?なにあれ?

胸がモヤモヤするよ。


承くんは女の子を優しい目で見て…

女の子の頭をくしゃくしゃって撫でて女の子に怒られてる?


なんか見てたくない…

私は目を背けてお手洗いへ行く。



(あれ誰だろ?すっごい可愛い女の子。年下かな?)

胸がざわめく。




お手洗いから出ると、承くんがちょっと先のテーブルに居た。オーダー受けてる。


オーダー流したのを見計らって通路で話しかける。



『いいね、仲良さそうで?』


思ったよりつんけんした言葉出ちゃった。


承『まあね。毎日一緒だしね。』


はあ?

はああ?!



『むん!女たらしー!承くんのロリコン!

カロリー2倍パンケーキひとつおねがい!』


私は承くんの肩をぽむ!って軽く殴ると席へ戻る。


(八つ当たりしちゃったなぁ、私可愛く無い女の子だなぁ…。)



自己嫌悪に陥って私の縄張りにすごすご帰る…。


そこにはさっきの女の子が!

なんで?なるみん?



女の子を観察する。

黒髪で肩まで位の髪を後ろで束ねてる?目がクリクリってした美少女で、目鼻立ちがくっきりしてて可愛い!

私と違い健康的で可愛いタイプの子。

ブランド物の良いワンピースを着ててすっごい似合う。こんな可愛い子も承くんの知り合いなの?


なるみん!なんでこの子テーブルに?

友達?…まあなるみんは友達が多いもんね…。


なるみんはまったく気にしない様子であっけらかんとその子を紹介してくれた、



なるみん『あ、とわわん、紹介するね?

立花の妹の望ちゃん。厨二w。

知ってる?』


望『成実ちゃん!厨二じゃないよ!中2!

初めまして?紅緒さんですか?』


え?妹?

承くんの妹さん?

ウロヤ毛沼?

こんな美少女がー?!


私は慌てて表情を整えて外行きの挨拶、


『紅緒永遠です。

承くんの、立花くんや成実さんの友達です。』



慌てて自己紹介をする!

どうしよう?承くんに八つ当たりしちゃったよぅ!

私は緊張しながら望ちゃん?とぎこちなく話しをした。



承『じゃあ、2人は脂質、糖質低めで高タンパクの赤身ハンバーグセットとカロリー6割減パンケーキね?』



もうオーダー通してたのかすぐに赤身ハンバーグセットが来て、2人は最近ダイエットメニューで辛かったのか、



なるみん『っっっっ!うみゃあ!』


望『…うま!ハンバーグうま!』


ふたりは目をキラキラさせて食べてた。美味しそうに食べるね?


そしてパンケーキが3人分運ばれるよ!


なるみん『うまいぞー!』

望『おいちい…あまいぃ…。』


涙を流さんばかりに喜ぶふたり。

私は思う、

(あ、望ちゃん!食べる時の顔が…承くんと一緒だー!!)


なんか嬉しくなっちゃう!

私はもうそこそこ食べてるからゆっくり食べてると…



望『…紅緒さん?紅緒さんのパンケーキって?』


盛りが違うんだよね。並べると違いが強い。

食べてその承くんとおんなじ笑顔見せて欲しいな!

私は何も考えずに勧めた、


『一口食べる?』


望『じゃあ遠慮なく…。』

なるみん『あ!ダメ!のぞみち…』


ビクンビクン!と望ちゃんが跳ねる。


『なるみんもいる?』


なるみん『…ダメだってわかってるのに…!』



ふたりはもう一口食べた。

美味しいよね?これ!



望『悔しい!…でも食べちゃう!』

ビクンビクン!


なるみん『ダメ、ダメだよぅ…。』



本当美味しいよね?



望『はあ?これ?!そんなカロリーが?!』

なるみん『これは罠なの…でもわかっててもかかってしまうタイプの罠なの…。』


ふたりは私を恨めしそうに見つめる。



望『カロリー気にしないって…世の中は不公平!』


なるみん『そう、世界は不条理にみちてるっしょ!』


ちょっと待って!なんで私を恨むのー!?

私は慌てて弁明する!


望ちゃんは承くんと結構違う。

自由で気まぐれ、自分の世界を持ってる女の子。

生命力に溢れる魅力的なネコみたいな美少女。




楽しかったね!望ちゃんにも会えて良かった!

明日からまた学校だ!また楽しい日々が始まるよ!


あ!私は徒歩で来てたから外で会ったと手を繋いで家に帰ったよ。


☆ ☆ ☆

噂の美人        side立花 望


ご褒美の俺カレで最近兄ちゃんがよく話してる紅緒永遠さんに会った。

あの兄ちゃんが、

『香椎さん位美人』

って言う女の子。

まさか!あれほどのキラキラの美人は居ないでしょ?




…って思ってた…。

確かに会った時思ったよ。

これは香椎先輩と互角の美貌だって。


そして香椎先輩の時にも感じたこの女の子に取られる!って胸騒ぎが紅緒さんにもあった。


香椎先輩と違うタイプの目を離せない美しさ。


そして、兄ちゃんを『承くん』って呼ぶ。

知ってるのかな?兄ちゃんの側にはこんな美人が居るんだよ?


先輩…良いの?

中学卒業後まともに連絡を取っていないはずの兄ちゃんと香椎先輩。

漠然とした不安と見えない先行きに危機感を感じたよ。






…でもそれはそれとして?

ダイエット成功して体重下げた!

あとはもう少しゆるゆる下げていこう!この1週間みたいなキツイダイエットはしないで済むように節制を心がけなきゃだよね!


ふふーん!あ、胸のサラシ外さなきゃ?


成実ちゃんが言ってた。


成実『まずおっぱいから落ちちゃうからね?だからしっかり固定しないとおっぱい痛いし!走りにくいし!落ちちゃうし!だからね?ちゃんと固定して走るんだよ。』


『ちょっと何言ってるかわからない。』


私はどんなに激しく動いても胸は揺れないし、走りにくい事は無いし、まあ落ちちゃうのは困る!

最近やっとおっぱいが主張し始めてきた!あとおっぱいがあれば私も完成形になるよ!



サラシを外して、自分のおっぱいを触る…。



…。



…あれ?




…あれあれ?




無い!私のおっぱいが無い!


太ったから?太ったからおっぱいが主張してたのー?!

こんなのって無いよ!!

私は涙した、幻のおっぱいを懐かしむけど…もう居ない…!



悲報!立花望の膨らみかけのおっぱい、しぼむ。


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