第209話 夏休みの終わりに。

夏休みがどんどん消化されていく。


バイト先に宏介が来たその夜、甲子園を狙って野球強豪校の高峰農業に進学した完くんが全寮制の宿舎から久しぶりに帰省した!


完『シャバの空気美味え!』


完くん痩せた?顔小さい?

ん?首から下が二回り大きくなってるー?!

え?肩どうなってんの?みんな完くんを囲んでわいわい!


河川敷公園には新川中の男子が14人ほど集まった。

夜にみんなでお菓子飲み物、ジャンクフードを持ち寄って話したり、バスケしたり!

なんでケンタッキー3人も買ってきたの?


結局深夜までみんなで遊んで騒いだ!


宏介が他校のバスケ部の練習や方法など細かに調べて勉強してた。

宏介らしい。俺もバスケ部…津南居るから無理だ。


バスケもすっごい盛り上がって、昼休みにみんなで遊んで頃と同じテンションだけどバスケ部に行った奴が何人か居て別格の動きになってた。

宏介は冷静でドリブル上手い、パス鋭いですごいPGぽい感じだった。

向いてるんじゃ無い?宏介に誉めてもらってバスケ部入ればいいじゃ無いって言われたけど…敵が居るんだって言ったらすっごい心配する。

実は秘密なんだけどバイト終わりに景虎さんとバスケ以外にも自衛隊式の自衛隊格闘術を習ってるんだ。メッチャきついんだけど日本拳法をベースにした当て身や投げ、関節、締め技なんだけど景虎さん鬼強で突きと回し打ちと締め技の三つで大体何とかなる!って言われてそれだけやってる…。



田中くんはニコニコしながら時々カメラ回してた。

最近カメラ持つと性格変わるって聞いたけど俺の前ではいつも通りだよ?

完くんと青井のマッチアップが熱くて、もう肉弾戦って感じの押し合いへし合い!ゴール下は戦場だった!




伊勢『おー!完くん!痩せた?

あれ?体の縮尺おかしくない?』


それもうやったよ?

途中で伊勢さんまで来ちゃってみんなで久しぶりに集まれて良かった!

完くんはまだレギュラー獲れていないんだって、来年楽しみだね!



☆ ☆ ☆

スポーツと言えば、妹の望がテニス個人戦で県大会ベスト4に残り、地方大会でベスト8で全国大会は逃した。

でもまだ2年生。来年どうなる?すごい!楽しみ!

バイトがあって見に行けなかったけど、来年の大会は見に行きたい。


そんな夏の日、寝る前。



望『ねえ、兄ちゃん。』


『どうした?』


望『テニスがね、面白くって面白くって上手くなるともっと面白くってさ。』



こうゆう言い方の時って遠慮してるんだよね。


『何が要るの?』


望『ふふー。兄ちゃんは流石わかっちゃうんだね…。

良いラケットが欲しい…香椎先輩とかが使ってるのほどじゃ無いけど。』



望は初心者用のアルミのラケットをずっと使ってたけど人のカーボンとチタン製のラケットすっごい良かったし、軽いけど強度がありちょっと、ううん、それが有れば強くなるわけじゃ無いけど、あれは力になる!


電気を消した室内。望の声は申し訳無さそう。

兄だぜ?妹のワガママ位!バイトしてるんだぜ?


『望、バイト代が25日に入るから、夏休みの終わりか、9月に見に行こう。』


望『いいの?兄ちゃん!…でもどうして返したら良い?

兄ちゃんあんなに頑張って稼いだお金なのに…。』


そんな借りみたいに負担に思われたくない!

俺はすぐに思いついた!


『じゃあさ!立花家の伝統で、下に継承して行けば良いんじゃないか?

いつか、ひーちゃんが何か必要になったら、大人になった望が出来る範囲で援助でも今回みたいなどうしても必要な物を!な?』


望は激しく頷く、うん!うん!ひーちゃんの為になるような物贈るよ!

兄ちゃん、ごめんね、ありがとう、嬉しいな。

望は寝つきが良い。寝る寸前までずっと感謝言葉を呟いていたんだよ。

こうしてれば妹も天使なんだけど…。

兄ちゃんは妹弟のおねだりには弱いんだよ。

俺は自分のそんな弱点が嫌いでは無い。



☆ ☆ ☆

甘え    side立花 望

8月下旬、テニス部。


夏の大会で3年生が引退したからいよいよあたしたちの代!

あたしの親友がキャプテンになった。

私は地方大会まで進出したけどまだまだ強くなる!

もう少ししたら新しいラケットも兄ちゃんに買って貰える!

楽しみ!でもその前に腕前を磨かないとね?


夏休みは結構練習に打ち込んだ!

そして!来たよ!香椎先輩!


今日こそ!勝つぞー!



!!



!!




また…負けた…。

おかしい、地方大会まで進出出来るようになったのに…。

こないだより簡単に負けた?



香椎『望ちゃん…このままじゃダメだよ?』


香椎先輩が綺麗な顔で言いにくそうに言葉を選んでる…?



なんで?

確かに邪念があった。

兄ちゃんにラケットの借りがあるから?もし香椎先輩に勝てたら兄ちゃんとアドレス交換を強要しようとか、なんか理由付けて家へ引っ張って行って?兄ちゃんと久しぶりに会ってもらおう!とかあたしなりのキューピッド計画があったんだ。

その邪念?



香椎『…本当に言いにくいよ、でも先輩として、誰も言わないなら…。』



え?そんな?なんか重大な欠点?

テニスに必要な何かが無いとか?

香椎先輩の表情は暗く、言いにくそう…。



香椎『…望ちゃんおいで。』



人の居ないグラウンド隅ベンチに腰掛けるよう勧められる。

何だろう?緊張する…!


香椎『…望ちゃん、スマイル♪』


にっ!



スマホでふたりで写真撮った?

前にもたまに香椎先輩のスマホで写真撮ったっけな?



香椎先輩は写真を持参のタブレットへ移動させて、あたしにタブレットを手渡す。

写真スライドして、あこれ!懐かし!



去年の写真?今と似た構図だね、スライド、さっきの写真…。



あれ?



あれあ。


まさか?



違うよ?




スマホ設定?



香椎『望ちゃん…太ったでしょ…?』


『いやーーーーー!!!』



去年の写真より、明らかに!丸顔に!なってるー!!!



なんで!?なんで?!


香椎『なんか心当たりあるんじゃ無い?間食とか、おかわりとか、夜に食べてるとか?』


思い返す…。


『兄ちゃんおかえりー!チキンカレーだー!』

『にいちゃんおかえり♪ハンバーガーだぁ!』

『へへー!にいちゃん待ってました!おろしハンバーグセット?』

『やった!パンケーキ!myメープルシロップびしゃがけー!』



あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ!


香椎先輩はしょうがないなぁって顔をして、


香椎『なんか心当たりあったね?』



『兄ちゃんのせいです。』

私は言い切った。

このままじゃ…まずい!

香椎先輩と兄ちゃんを取り持つどころじゃなくなってあたしは動揺したまま家に帰る。


兄ちゃんもひーちゃんも今日は家に居る。


ねえ、にいちゃん、嘘は言わないで良いよ?あたし太った?



承『なんか何言っても怒られる気がする…!

ちょっとむっちりしてきた気がする…。』


ショックを受けてるとひーちゃん!

ひーちゃんはそんな事言わないよね?



ひー『ねえちゃん?かおがまるくなったね?せいちょうきって言うんでしょ?』



ひー!!!


あたし1人じゃ無理だよ!誘惑に抗えない!

同志が必要!…だれがいい?



あたしはスマホからこの人なら!って人に電話をかける。



?『もしもし?望ちゃん?どしたん?』


『成実ちゃん?

…失礼だけど…最近太ったんじゃ無い?』


成実ちゃんが息を呑む音がしたよ!



☆ ☆ ☆

ひーちゃん外伝からちらちら出てましたが望が太った疑惑ですw

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