第207話 成実大忙し!【side伊勢成実】
東光高校へ入学して色々あった。
せっかくだから金髪盛り盛りにして入学式出ようとして?即生徒指導室へ連行されて泣きそうになったし!
光沢の無い黒髪ロングヅラを被らされて机に突っ伏してたら立花と青井が来てなんて言えば良いかわからないうちに自己紹介になっちゃって?やけくそ自己紹介をしたり?
そして紅緒永遠こと。とわわんとの出会い。
立花が自分と同じ境遇で望んで無いクラス委員長にさせられた彼女を助ける為立花もクラス委員長になった。
紅緒永遠は初日自己紹介でずいぶんな事故紹介で一気に悪い意味で時の人になった娘で?でも立花がなんとかしてやろうって思うくらいだから悪い子じゃないんでしょー?ってたんだけど?
良い子!めっちゃ不憫で中学時代を病気で棒に振った子なの!
あたしはすっかり感情移入してしまい『とわわん』『なるみん』
と呼び合う仲になったんだ。
でもね、とわわんは立花が好き。
すぐにわかった。香椎玲奈の時もそうだったけどすぐにわかった。
とわわんは犬に例えられるほど純粋で健気な女の子。
見た目も光沢のある黒髪ロングに綺麗に整った目鼻立ちのすっごい色白美人!シュッとしたスレンダーな娘で男の人はこんな娘が好きなんだろうなあ。って思っちゃう。
そう言えば、香椎玲奈に彼氏が出来たって噂だけどあたしは信じられない。
あの温和そうに見えてこだわり症で何でも出来る娘が本気で獲りにいった立花をそう簡単に諦めるとは?
そもそも追われても追うことが無かったあの香椎玲奈が簡単に諦める光景が想像つかない。子供の頃から何でも実現させてきた完璧女子だよ?
そう思っちゃう。
そしたらとわわん、その香椎玲奈に会ったらしくてめっちゃ香椎玲奈の事聞いてきた、危機感を覚えたらしい。わかる!あれを敵に回すの…ねえ?
あたしは結局、立花の気持ち、とわわんの気持ちを考えると自分の気持ちに蓋をしちゃう。
そんなあたしは最近ある服屋さんにどハマりしてる。
高校から少し行った複合商業施設のエイオンの片隅にある女性オーナーのお店で、そこの服がどストライク!なの!
可愛くて、派手で!セクシーだけど下品じゃ無い!あーし好み!
買わなくても通っちゃうし、見てるだけで楽しい!
店員『なるちゃん毎日来るねー?
まあ客いない時は歓迎だけどねー?』
お店にお客が1人も居ないと心理として入りにくいんだって。
ひとり居るだけで見ても良いんだってなるんだって。
呼び水的な?
私の感覚、センス的にばっちり!だから居心地も良い。
だからエイオンに来ると必ずここに来るし、なんなら差し入れして話しを聞かせて貰う。
店長『うちはセレクトショップだけどさ、あたしのセンスで自分の好きな服をおいてるんだよ。』
『わかります!超好きー!』
嬉しそうに店員さんや店長と側で話を聞いてるオーナーさん。
最近時間があれば服論をこの3人に聞いている。
あたしは服や髪にこだわりたい。
勝負時、気合い入れたい時、髪や服が決まってれば自然気合いは入る!
わかってたけど自分好みの服が揃ってるこの店はアガる!
そして、夏休みに入り、その店で、
店長『ねえ、なるちゃん。
夏休みうちでバイトしない?』
え?
店長『1人おめでたで人が苦しくてね?
あんまりお給料は出せないけど?なるちゃんうちの服好きだし?この業界興味あるんでしょ?
あたし服飾の専門学校出だからその辺の話も教えられるよ?』
!
興味あるなあ!最近立花もバイト初めて大人っぽくなった。
あたし、服に、服を扱う仕事に興味がある…!
『お願いします!』
まずは夏休み中、問題なければ夏休み後も働ける!
あたしも大人にならなくちゃ!
あたしの道を見つける為に…!
☆ ☆ ☆
夏休みのある日、久しぶりに電車に乗る。
あたしは自転車通学だし?ターミナル駅へ行かなくてもエイオンの行きつけお店で大体満足してるから最近電車使ってないね。
新川駅から二駅、東光駅の一個向こうの駅。
その駅近のマンションに入る。
新しい木多ちゃんの家なんだ。
結局何かあって外町と木多ちゃんがばったり会ったりしたら何か起こるかも知れない?って木多家は引っ越しを決断した。一応加害者だし。
慣れ親しんだ木多家が引っ越しするのは悲しく、寂しかった。
が、二駅先の駅近マンションだからすぐに行くことは出来る。
でも元の家の前を通って木多ちゃんと遊んだ記憶や木多ちゃんの家族に良くして貰った思い出とここにはもう居ないって思うと寂しい。
最近やっと会えるようになって、たわいも無い話を出来るようになってきた。
『でね、あたしバイト始めるんだ!もし気が向いたら?遊びに来てよ!』
木多『…うん、気が向いたら…ね。』
『絶対!絶対だよ!木多ちゃんが気にいる服あるし!』
あのギラギラしてた木多ちゃんはもう居なくって、昔、初めて会った頃より内気になってしまった木多ちゃん。
焦らずに時々会いに来るよ!
お土産のスイーツ一緒に食べよ!
いつか機会があれば『俺カレ』へ連れていきたい!
なんか内気になってあたしに遠慮してる木多ちゃんみてると泣きそうになるんだ。
☆ ☆ ☆
さて、そんな事を思ったら俺カレへ行きたくなった。
次の日夕方になる頃、バイト終わりの帰り道俺カレへ寄った。
疲れたー。バイトで動いてるからお腹減ったな、これだけ動いてるなら食べすぎなければ痩せるんじゃない?ひひ!ほくそ笑みながら店内へ。
景虎『へらっしゅー!』
この挨拶だけは慣れないよ、笑っちゃう!
紅緒『あ!なるみん!』
『とわわんちーす!』
承『いらっしゃいませ?
伊勢さんバイトどうだった?』
少しだけ、バイトの話をする。
大変だった!立ちっぱなし疲れる!
売れると思ったけどダメだった…。でも!後からやっぱり買っちゃお!って買ってくれて超嬉しかったよ!そんな話を立花はニコニコ聞いてくれて。
もう食べ散らかしてるとわわんの伝票の金額と食べた品目の予想カロリー量にちょっと引きつつとわわんとバイトの話をしたよ!
食べ過ぎたらお金的にもカロリー的にもバイトした意味無くなっちゃうから、今日はカレーだけにしたんだけど。
景虎『試作なんだけど?ギャルちゃんも感想教えて?』
景虎さんはここのオーナーで?立花がバイト初めてから?この俺カレはよく利用してるし、ちょいダイエットでパンケーキのカロリー減バージョンを頼んだらね?
それ正式採用されて正式メニューになった!いまは何と!約6割カロリー減パンケーキまで出てるんだよ?すごくない?
一枚だけ?美味しそう♪
紅緒『私もさっき頂いたけどね?すっごい美味しいよ!』
とわわん目をキラキラさせてる。本当に?!
恐る恐る、カットして一口頬張る…!
『うまぁ!なにこれ?!うま!』
めっちゃ美味い!今までパンケーキもすっごい美味しくってたまらなかったけど?ちょっとだけ味は落ちるけどカロリー減パンケーキ食べてたけど?
これ通常パンケーキより!はるかに!美味いぞー!
とわわんも興奮気味で!
紅緒『でしょ?そう思うでしょ!私お金払って3枚盛りで追加しちゃった!
あ、来た!』
3枚盛り…ごくり。
カレー食べると…無性に食欲増すよね…?
働いたばっかりだし?エネルギー補充?バイトしたからお金入るし?
『私も!これ『3枚盛り』頂戴!』
立花『まいどー。』
側でニコニコ見てた立花に思わずオーダー通しちゃう。
まだ正規メニューじゃ無いから口頭で景虎さん試作パンケーキ3枚盛りで追加です!って立花がオーダーしてる。
もむもむ、ごくり!
紅緒『んまぁ!なるみん、絶対これ流行るよ!』
そりゃそうでしょ!こんな美味しいパンケーキ初めて食べた!
あーしのも来た!!
夢中で食べちゃった…。美味しかったよぅー!
とわわんと満足して一息ついてると景虎さんが来た。
景虎『紅緒ちゃんもギャルちゃんも気に入ってくれたみたいな?新作パンケーキ?』
紅緒『最高。』
『本当に最高。すごいよあれ。』
私も感心してため息が出るよ!
景虎さんは満足そうに、
景虎『じゃあ、調整して、名前付けて来週メニューに掲載してみようかな?』
紅緒『なんて名前なんですか?まだ名前無いんですか?』
良い名前付けた方が良いよ!あんなに美味しいんだもん!
すると景虎さんは言った、
景虎『仮名だけど
『カロリー2倍パンケーキ』
にしようかな?』
『なんてもん食わせんのよぉ!!!』
だ、だ、ダイエット中なのに…!
想像する…。
(試作1枚+追加3枚)×2=約8枚分
8枚?!
頭の中の計算にショックを隠しきれない!
『約8枚?』
震える声で尋ねる。
景虎さんは首を傾げながら、
景虎『うんにゃ?四捨五入してるから。
1枚約2.3倍かな?』
?!
(試作1枚+追加3枚)×2.3=約9.2枚分
9.2枚?
とわわんは無邪気に、
紅緒『だからあんなに美味しいんだ!
確かに記事もシロップもクリームも濃厚で芳醇、香り高く、クリーミーかつジューシー!カロリーは倍でも値段は1.5倍なら納得だよ!』
『あーしは納得出来ないよ!!』
値段は試作だからって安くしてくれたけど…!
紅緒『美味しかったねー?』
あーしは太らない体質って奴だけは許せない…。
とわわんの伝票見た?午後だけでダブルハンバーグセットにチキンカレー食べてクリームソーダとコーラフロート飲んで、カロリー2倍パンケーキ4枚食べてんだよ?この細い身体で?
私なんて最近ダイエットしてるのに胸とお腹と太ももムッチムチになってきたのに!
ダイエットの道は険しく遠い!
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