第204話 千夜一夜【side香椎玲奈】
次の日、ママはパパと出勤した。
一晩経ったパパは少しやつれてたけど目は強く輝き、覇気が戻っていた。
…ママはしっとりして艶々していた?
姉『仲良しなのはいいこと!』
元々パパとママは仲良しだよ?お姉ちゃん?
お姉ちゃんは朝食後すぐに出かけた。
朝食時、ママは私たちに言う。
ママは限界までパパと外回りするから夜ご飯は適当に食べてて!って。
で、ママが私たちに求めることは早く一人前になって欲しい。それのみ。
しいて言うなら?最低限の家事。
お姉ちゃんには自動車免許の早めの取得。
玲奈も普通に学業にテニスに変わらず学んで欲しいと。
そして、松方新二さんの事をママは調べていた。
ママ『ママの知り合いにね?探偵さんがいるのよ?』
なんか怖い。
松方新二(26)
高校、大学とも三流の私立出身。
女性遍歴は学生時代ほぼ無し。大人になってから愛人が居る?父親にあてがわれた?
趣味はゲーム、インターネット、インドアな感じ。
学生時代の同級生に聞き込みすると子供の頃は優しい気の弱い子で。勉強も運動もからっきし。資産家の息子で奢りを期待した取り巻きが多かった。その為か人間不信ぎみ。
大学卒業後父親の持ち会社で形だけ2年働き、2年前から子会社の社長就任。
実権はほぼ無く、仕事もほぼ無い為怠惰な日々をおくっている。
とにかく幼少期から大人になるまで資産家の息子目当ての人に囲まれてた為人間不信で特に女性不信。
一歳年上の兄に新一が居る。新一は勉強もスポーツも優秀で彼に対してコンプレックスがある。
ママ『そんな感じ。ねじれちゃってるわね?』
姉『うげ、無能な二代目ボンボンじゃん!愛人って最低!』
寂しそうな人だったけどなあ。でも可哀想とは思っててもトツギーノなんて出来ないよ!
ママ『新二くんのパパさんはママとパパの大学の2年先輩なんだけどね?
強気、貪欲、セクハラの三拍子揃った強欲オヤジなの!
ママ大学生の頃口説かれてこっぴどくフったのよー?
だってあっち婚約者居るのに?ママを愛人にしてあげる!って大学生が大学生に言うのよ?
もうパパと付き合ってたから?
ママキレちゃった♪』
ママがキレるって相当だよ?
でもそれ、ママが恨まれてるんじゃ?
朝そんな会話をして解散!
私もすぐに家を出て学校へ向かいテニス部で汗を流してすぐに家に戻る。
前々から取り寄せていた六法全書を始め、法律関係の書籍を読みふける。
私に出来ることは何にも無い。
昔、承くんが言ってた、自分が子供で無力だって。
今、その気持ちわかるよ!承くんと語り合いたい!
承くん、今どうしてる?
今はそれどころでは無いけどそんな事ばかり考えてしまう。
さて、課題はもうひとつ。
松方さんとどう接する?
当然、進展する気も無いんだけど男の人が何考えてるかなんてわからないし?
迂闊な事で承くんに顔合わせられないような事になるわけには…。
そもそも一回きちんと会って?色々事実確認しなきゃだよね。
…例え彼女が居ても諦められない…!
いやいや!すぐ承くんの事ばかり!まだ私怒ってるんだよ!
思考も分散しがちだなぁ。
戻そう、松方新二さんとどう接しよう?
なんと無く考えていることは、
『妹のように思ってもらう!』
可愛い、親密!でも手を出す気になれない!
そんな関係はどうだろう?
…でも?どうしよう?妹!はあはあ!ってタイプも居るって千佳が言ってた…!
まあ、考えても仕方ないよね?
お互いを理解、親密になるには会話が1番。
密室じゃ無い、人目のあるところでたくさんおしゃべりを楽しめれば寂しい人みたいだから良いんじゃないかな?
相手は大人だ、子供みたいな。甘く見るな!全力で誠意と敬意をもってわかりあわなければ!
なんとなくのイメージはある。
子供の頃から、よく承くんとは昔話の話をした。
中学生になってもひーちゃんに読み聞かせてた昔話の話題は多かった。
…泣いた赤鬼…!
いや、今はそれはいい。
そこで出た話。
『千夜一夜物語』
邦題のアラビアンナイトの方がわかりやすいかな?
「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」は、ペルシャ、インド、エジプトなどの物語集で、なかでもアリババ、アラジン、シンドバッドなどの話が有名。
ペルシャのシャハリヤール王の新しい妃となったシェーラザードが、1001夜かかって王に次々と物語をはなしてきかせるというストーリー!
承『話の中に話があるよね!』
むかしむかし、シャハリヤールという王がいました。
弟が妻の不貞を発見して、彼女を死刑にしたんだって。
やがて、シャハリヤール自身の妃も不貞をはたらいていたことがわかり、王は彼女を処刑しますが、それから王は世の中の女すべてを憎み、毎日新しい妻をむかえては、翌朝に処刑したんだって。
ある日のこと、大臣の娘はこのことを知りながら、人々の命をすくうために王と結婚します。その娘シェヘラザードは婚礼の夜、王に物語をはなしてきかせ、夜明け近くに話がちょうど佳境にはいったところでうちきってしまい、続きは翌日の夜にはなすことにしたのです。
シェヘラザードは、毎夜アリ・ババ、アラジン、シンドバッドなどのおもしろい物語をはなしては、翌日も王が聞きたがるようにしむけ、そして最後には、王の人間不信を解き、残酷な考えをあらため、シェヘラザードと幸福に暮らすようなった。そんな話。
私はシェヘラザードになる!お妃になるきはないけどね!
叶うなら松方さんの心を溶かしてあげたい。
それが叶えば皆んな幸せ!
これが私の秘策!
甘く見ちゃいけない!私の戦いも始まるよ!
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