第200話 暫定的婚約者候補もどき(仮)【side香椎玲奈】

は?私16歳だよ?まだ?


婚約を申し込んで来たのはこないだ会った兄妹の弟さん、松方新二さん(26)

その場ではお兄さんと比べて自分は…とか言ってやさぐれてた私より10も年上の男の人を説教した。のだが?


とにかく気に入ったと。

誰も選ばないなら俺が選んであげるよ?って?




はあ?私まだ16だし。結婚相手位は自分で選びたいよ!

…私はあの男の子が諦めきれない。



パパはあの糞先輩!足元見やがって!って憤る。

ママは言う、

うちの会社(パパの経営してる会社)が昨今の諸々で景気が大変に悪い。

148話vs香椎パパ 参照


今松方さんの会社に切られると会社が危ないって。

今は正直時間を稼ぎたい…って。



姉『だったら!玲奈じゃなくってもいいじゃない!

私の方が年上で!見た目は遜色ない上にバインバインだよ!もう19だし!』


ママは言いにくそうに、


ママ『…先方の新二さんが…姉の方は明らかに面倒臭そうだって。

あとjkが良いんだって。』



姉『あんな奴にモテたいわけじゃないよ!

でもこんな屈辱初めてだよぉ!』


お姉ちゃんは怒ってる。


あの人かあ、太ってて、甘えた大人で、僻み根性丸出しで、拗ねてて、しょうもない感じだったけど。

なんか寂しそうでそこまで悪い人じゃないような感じがする。

即決で断って心象悪くても会社に悪影響だよね。

一度会ってみようか。



そう言うとお姉ちゃんがキレながら私も着いて行く!って言って7月の終わりに会いに行く事になった。





7月終わり、ターミナル駅、駅前ホテルの喫茶店。



新二『来てくれて嬉しいよ!』


『はあ。』

姉『がるるる!』



お姉ちゃんどうどう!


お姉ちゃんは早速別卓へ移動させられた。

新二さんはこないだの説教が嬉しかった事、あんな事だれにも言われなかった事を楽しそうに語った後、



新二『誰にも選ばれなかったんでしょ?俺が選ぶよ!

玲奈さん婚約してください!『無理です。』』



一応最後まで聞いてから食い気味に被せたよ!


新二『え?誰にも選ばれないって…?』


誰にもじゃあありません!選んで欲しい人に選ばれなかったんです!

力説した。

私の事を少し話す、夢があること、将来を共にしたい好きな人が居ること。


新二『高1でもう夢や将来を共にしたいって?子供なのに?

選ばれ無かったのに?』



ちょっと鼻で笑われた。

それより選ばれなかったって言葉!グサってくるよ!


この太ったお兄さんは私に執着があるみたい。

うちの会社の取引をちらつかせる!



向こうの目的はわかってるんだ。

うまく気を損ねないように!でも魅力を感じさせながら話を続ける。

うちのクラスにも居る。

わがままで狙いがわかってる子を懐柔して、協力的にさせるには?

…誠意と敬意と譲歩と熱意が必要!




私はパパの会社の収益で育てて貰った。

パパとママが必死に立て直し、軌道に乗せ、その利益で私やお姉ちゃんは育ったよ。

会社のスタッフさん達にも可愛がって貰ったし、会社に遊びに行けば皆さんよくして貰った。会社が無くなれば皆さんの生活だって…。

だから私知らない!って投げ出せないでしょ!

パパの会社は私の家の一部でしょ!他人事じゃ無い!

私にできること!精一杯の事はしたい!




新二さんとかなり色んな話をした。




取り決め

松方グループの新二さんの任されてる子会社はうちの会社の取引はこのまま維持する。

婚約を破棄した場合取引は白紙に戻す。

婚約破棄が両者の合意ならペナルティは無し。

玲奈が18歳になるまでは強制力は無い。

月に一度、新二と玲奈が会う機会を設ける。

両者の合意が無ければ肉体的な接触、性交渉は絶対に不可。


付け足しを要求するよ!

『婚約者だと私の好きな人が気後れしてしまうから名称を変えてください。』



新二『好きにしたらいいよ。』



※暫定的婚約者候補もどき(仮)になりました。



でもね、これは勝負なんだ。


新二さんは私が欲しい。

私は会社を守って自由に自分の足で歩く権利が欲しい!


新二さんに認めさせればパパの会社との取り引きはそのまま円満に婚約破棄できるんだよ!


私は情熱で、人を熱で動かす姿を見た事がある。

新二さんを動かしてうちの会社を助けて見せる!

そしてあの男の子を絶対振り向かせて見せる!


自分を賭けた事はこのあとパパにもママにもお姉ちゃんにも怒られたけど私は自分や家族を養ってくれた会社と従業員の皆さんを、パパとママが必死に守ってきた会社を助けたいよ!

なんであんなにぼんやり、自暴自棄になっていたんだろ?


私は鬼になるんだった。

大事なものは何ひとつ手放しはしない。




承くんの言葉思い出してみるよ…。

そうだ、こんな感じ…。


☆ ☆ ☆


承『俺、暑苦しい事、恥ずかしい事言うよ?笑わないでね?

いや、笑ってくれても良いや!



それが香椎さんの願いなら俺が必ず叶えるから!

クラス、学年みんな敵にまわしても!


俺が持ってる力、才能、知恵、努力、なんでも全部を使って、いやらしい手でも悪辣な手でもどんな手段でも犯罪以外なんでも使って必ず香椎さんの願い叶えてみせる、誓うよ。』

88話決意 参照。


☆ ☆ ☆

そうだったね。

…いつも大事な事は承くんから学んだよ。

今は側に居ないよ、でも思い出せばこんなに心強い!

丸パクリだね。いや承くんを演じるよ!

パパママお姉ちゃんの目を見ながら自分にも宣言する。


『私が持ってる力、才能、知恵、努力、なんでも全部を使って、

いやらしい手でも悪辣な手でもどんな手段でも犯罪以外なんでも使って必ずうちの会社を会社のみなさんを助けて見せる、誓うよ。』


私もうぼーっとなんてしてられない!

私の戦いが始まる!



☆ ☆ ☆

香椎さんの不条理な試練回が連載200回目でした。

ここまでお付き合い頂いてる読者様いつもありがとうございます!

これでやっと設定やトラブルが大体出揃いました。

承くん、香椎さん、紅緒さんの3人を中心に話が進んでいきます。

お付き合い頂ければ幸いです。


ヒロインにざまぁする、ぶっこんでくる、絶対何かすると言われる作者ですが楽しんでいただけるよう努めます。

本当にいつもありがとう。

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