第199話 1学期の終わり

歩き遠足も終わり、いよいよテスト期間!

放課後の社会科教室。



青井『今回も頼むわー!』

伊勢『あーしもー!』

仙道『要チェックや!』



代表して皆に声をかける、

『さて、今日の講師にご登場頂きましょう、とわんこ先生です!』


『『『おお?!』』』


紅緒『わんこじゃないよ!』


抗議する紅緒さん!



学年一位の紅緒先生!

今回から希望者も一緒にテスト前勉強を一緒にしてるよ。

前回一緒に歩いてくれた生徒たちとかね。

…なんか急速にクラス委員長っぽくなってきたね、紅緒さん。




紅緒先生のテスト範囲のピックアップ授業は結構遅くまで続く。

みっちり18時までやって解散。

いつもの明日に持ち越せない病が発症した。



帰り道。


紅緒『本当は前みたいな少数でワイワイ楽しくやりたかったかな。』


『みんな紅緒さんが好きになったから。』


照れる紅緒さんはウキウキを隠せない、


紅緒『でもね、こんなにみんなと上手くいくなんて、最初の頃は思えなかったよ。』



『紅緒さんの力だね。』


『むう、いつも承くんは感謝させてくれない!』


テスト期間だから『俺カレ』のバイトはお休み。

賄いが食べたい…。景虎さんの下らない熱い話が恋しい。

いや、勉強に対する嫌気が出てるんだ。


…でも、昔より勉強は好き…までいかないけど苦手では無くなったかな?

…香椎さんがやり方や考え方を教えてくれたから。

…香椎さん綺麗になってたなぁ。恋する乙女は綺麗になるって言うもんな。

幸せであるといいな。


紅緒『!!

別の女の子の事を考えてたでしょ!』



!!

なんでわかるの?






次の日の放課後社会科教室は昨日より人が増えた!

昨日の反響だね、すごい!

結局最終的にはクラスの半分近いの生徒が参加する人気コンテンツになったんだ。

当然稲田さんグループは来なかった。でも津南グループは来た。

特に津南はことあるごとに紅緒さんを独り占めしようとして顰蹙を買ってた。

何度か津南と目が合った。…気をつけよう。あれで終わりとは思えない!



テストが始まった。

結果は悲喜交々。俺はというと?


ちょっと前回よりは手応えが…悪い…?

言い訳だけどバイトし始めたからかな?


変わる為にバイト初めて、部活はしてないけど習慣の走り込みは増やしてる。

変わる!って思って勉強量自体は少し増えたんだけどね?バイト初期は帰ると疲れて寝ちゃってた。

ぼーっとしてると香椎さんのことばっか考えちゃうんだもん。




テスト最終日、

やっと終わった!紅緒さんのドヤ顔ムーブをするりといなしてバイト先の俺カレへみんなと向かう。

テストお疲れ会!みんな俺カレには来た事あるんだよね。奥の座敷席だと6人席があるからこの5人でも大丈夫!



景虎『へらっしゅー!

お?テスト終わったんか?』


景虎さんが出て来た!


終わりましたー!明日はシフト入ります!なんて挨拶してオーダー!



青井『俺、ハンバーグカレー大盛りで!温玉トッピングで!』

仙道『日替わりハンバーグセットをライスで。』


俺は、

『おろしハンバーグセットおろしましまし、ライスで!』



紅緒『うーん、ダブルハンバーグセットライスで。と…チョコレートパフェ!』


ガーン!って顔で伊勢さんは、


伊勢『とわわん!カロリーって知ってる?!』


紅緒『私燃費悪いんだ。』


伊勢『にくい!太らない体質って女がにくい!』


伊勢さんは甘い物…腹に溜まる…カロリー…ってうわ言のように呟く。

太ったのかな?見た目わからないし怒られるから…聞けないよ…。



景虎『姉ちゃん?パンケーキの改良でカロリー半分パンケーキって試作メニューあるんだけど?』

伊勢『本当?!』



みんなでワイワイ食べて話して、テストの話、夏休みの話をした。

まあその前に期末の結果発表があるんだけどね…?

それでも久しぶりのテストのための勉強からの開放感!



飽きる事無くみんなで話す、笑う。

でも1番楽しそうなのは紅緒さんだった。


何度も

『私こうゆうのずっとずーっと憧れてた!

楽しい!』


紅緒さんは今日もニッコニコだった。



そして、期末テストが返ってくる。

結果は…まあ前回並み?まあこんなもんだよね。

まあ一安心。




久しぶりのバイトに行く。

たった2週間だけど生活の一部だったから戻った!って感じがある。

忙しくくるくる働いて、自分のシフトが終わって、ぼーっとしてると、



景虎『承はなんか悩みでもあんの?』


このワイルドさんは勘がいいというか、子供っぽいけどすっごい大人で人をすごく見ている。

俺以外のバイトにも同じ様に接しててすごく感心させられる。



いや、あの、俺は歯切れが悪い。


景虎『言いたくなきゃ言わないでいいわ。

なんかあれば言えよ?

…お前位だと大体好きな子絡みだけどな?』


かなわない。

俺はちょろってぼかしながら香椎さんの話をしちゃう。



景虎『は?お前あのふたりのうちどっちかじゃねえの?

ラブコメの主人公みてえだな…?』


伊勢さんと紅緒さんは最近すっかり常連。

いやいや違うっす。


一通り聞いてた景虎さんは、



景虎『自分らしさの檻に囚われてんじゃないの?お前らしくに縛られすぎてんじゃねえ?』



!!!

え?俺らしくに縛られてる?

なんて言うか、ショックを受けた。

俺らしく…俺らしくってなんだ?

俺らしくってこだわるべき?捨てるべき?


景虎さん!もうちょっとこの話深掘りしたい!



景虎『これ以上はミスチルを聞けよ。

そうだ!承!ちょっと付き合えよ!』



俺は同じくシフトが終わったチャラいけどいい大学生の先輩と連れ出される。どこ行くの?




少し行った国道の下。国道は高速道路っぽく上を走ってて下に空間がひろがってるのだが、そこは二面のバスケのコートが広がっていた。


結構な人数の若者が集まっていて、景虎さんが通るとおす!とかちーっすとか挨拶される。何人か俺カレの常連も居る。



景虎『承、バスケ出来る?人数足りなくてさ?

悩む事と同じ位悩まない事も大事なんだぜ?』


ルールは基本3対3の形式。

この人はいちいち格好いい大人だよなあって思う。


『素人です!』


景虎『ルールさえ知ってりゃいいよ!』


22時過ぎから日付が変わるまで夢中でボールを追った。

うじうじ悩んでるのがバカみたいに楽しく、最高の時間だった。



景虎『ひー!おっさんにはきつい!

でも気持ちいい!』


景虎さんがポカリを奢ってくれた!

まじポカリうまい!



こうして、俺は時々景虎さんと3on3に一緒に行くようになった。

いや、ハマった。

…そういえばあっちゃんと小学生時代バスケ部を作ろうとした事があったっけ。どうしてるかなぁ。

中学校時代、昼休みや空いた時間にみんなでやったバスケもすっごい楽しかったっけ。それに宏介!高校入ってバスケ部入ったんだっけ!

教えてもらおう!


俺は新しい趣味に出会ったんだ。

勉強にバイトに趣味に全力!



そして夏休みが始まる。



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