第193話 休みの代わりに
顔に痣がが有り、接客業的には困った事になった俺。
裏作業だけならそう問題無いけど、人手足りない時に雇われたバイトなんだから何でも出来なきゃいけないよね?
襲撃のあった翌日。
いつものように3人で待ち合わせ。
伊勢『おはよ!…ほっぺ!どうしたの?!』
『いや、ぶつけちゃって?』
青井『ドジだよなあ。笑っちゃう!』
伊勢『笑い事じゃ無いよ!気をつけてね?』
あはははは!
青井の目は笑ってない。
青井には昨日、事情をロインして知らせて、ドジって事で話しを合わせてもらってる。
教室に着いて、
紅緒『立花くん!大丈夫?』
伊勢『ぶつけちゃったらしいよ?ドジだよね?』
はは。紅緒さんも事情知ってるから苦笑い。
津南はニヤニヤして、こちらを見てる。
(あいつ!びびってると思ってやがる!)
にたぁ。
できるだけ気持ち悪く笑う。
いや、5人にまた襲われるとかマジ怖い!
でも津南にだけは必ず一発ぶち込む。いつになろうとも。
証拠取れなかったし、油断してしまった今回は俺の負け。
でも必ず、必ず返す。
その意思を視線に込めて睨む。
津南はイラっとした表情で視線を逸らした。
もう、絶対に油断はしない。
お昼を仙道と食べる。
仙道は今日もひょうきんで話が面白い。
昼休みもダラダラ話してると、飲み物買いに行こう、付き合えって言われて購買へ向かう。
すると、
仙道『頬は違うよなあ?ぶつけた跡じゃないよなあ?』
え?仙道?
仙道は飄々としてるキャラなのに…?
仙道『津南?』
嘘はつけない、俺は頷く。
仙道はため息をつくと、
仙道『泣き寝入り…はしないんだよな?』
え?何?この漢気あふれる雰囲気!ヤンキー漫画とかだと一緒に乗り込んでくれそうな親友ポジの雰囲気!俺だと宏介、青井枠じゃない?そのぽじ!
仙道『…俺はケンカはまったく出来ない。
…中学生より弱いと思う。
…だからネットや後を付けて家とか特定したり、SNSとかでなんか嫌な事をやっていないか調べる!』
ちょっと拍子抜けしそうだったが、俺の力になりたいって気持ち伝わる。
ありがとう。暴力に突き合わせる気は元々無かったから、申し出だけで嬉しい!
仙道『東光受験の際にさ、同中の嫌な奴合格してて?そいつ
SNS特定して?そいつがやばい事してるSNS東光に密告したら嫌な奴入学式に居なかったんだ…。だから任せて?』
ひひひ。って笑う仙道。
怖い!そんな手が…。
一応わかってる連れと、知らない2人の特徴を覚えてるだけ伝える。
絶対に無理するなよ?
仙道『…僕は存在感無いからね?』
『…そう言えばぬらりひょんみたい!』
仙道『妖怪じゃねえよ!』
あははは!2人で笑いながら肩を叩き合う。
ありがとう、仙道!心強いよ!
※ぬらりひょん…家の者が忙しくしている夕方時などにどこからともなく家に入り、茶や煙草を飲んだり自分の家のようにふるまい、家の者が目撃しても「この人はこの家の主だ」と思ってしまうため、追い出すことはできない、またはその存在に気づかないと解説されている。また日本の妖怪の総大将とされている。
なんで?
この日はバイト休みで紅緒さんに勉強教えてもらって家に帰ったんだ。
特別な事は無かった、一応警戒して帰ったけどね?
☆ ☆ ☆ ☆
親友の怪我 side青井 航
昨日、立花から連絡があった。
放課後に津南とその連れが立花を囲んで一発殴ったらしい。
伊勢とか仙道に知られ無いように口裏合わせて!って頼まれた。
頬と鼻のあたりが痣になってた。
それを見たらブワッと背筋が寒くなった。腹が立ちすぎる!
(もう意味ない暴力は振るわないって決めたけど…許せねえ!)
もちろん暴力は振るわない。
でも襲ってきたなら?防衛なら良いんじゃねえ?
津南グループ…やっぱ許せねえわ。
俺の仲間は空手部やレスリング部などの武闘派の部活仲間。
もちろん暴力を振るえば迷惑がかかる、仲間も巻き込めない。
それでも、立花は特別なんだ。
俺を変えてくれた立花と過ごすために東光へ進学したんだから。
余計な事はしないけど何かあれば俺は立花の力になりたい。
そう思ってると、
放課後廊下で津南とすれ違う。周りに人は居ない。
津南『青井くんじゃん?』
青井『おう。』
津南『…青井くんの同中の立花さ、調子に乗ってて?ムカついたから?
昨日仲間と囲んでしめちゃった?ごめんね。
青井くんとは仲良くしたいんだ?』
無言で居ると奴は続けた、
津南『青井くんのツレみたいだけどあんな調子乗ってるモブ野郎は青井くんがつるむような価値は無いでしょ?
俺たちもっと仲良くしねえ?』
はは!俺は笑う。
はは!津南も笑う。
青井『立花殴ったって聞いたけど立花に止められてなきゃ俺が喧嘩してやったのにな?
お前と仲良く?なんで?
立花の方が1万億倍格好良いし良い男だわ!
俺あいつにケンカ二敗してるからな?』
津南『な?!』
こないだの体力測定で俺の数値知ってるから津南は俺には強く出ない。
こいつはそうゆうつまらない奴。
つまらねえって手でしっしって追っ払う仕草をしながら言う。
『お前、立花の敵な以上、俺の敵だから!』
言い切ると津南は呆然としてた。
そう言えば昔、俺、『狂犬』って呼ばれてた!その後、『
できる限り、俺は親友の助けになる!
その夜、千佳にトラブルはぼかして、クラスのいけすかない野郎と立花が揉めてて、俺を引き込もうとしたのか?誘ってきたから?
『立花の方が1万億倍格好良いし良い男だわ!』って言ってやった!
って話しをする、すると、
千佳『一万億って単位無いわよ?
…まあ航が言いたいことわかるけどね?』
って言った後すっげえ笑われた。え?無かったっけ?
…千佳は賢い。
☆ ☆ ☆
7月上旬 side立花 承
そして、一週間ほど経って。七月に入る。
痣は大体消えた。
…青井とケンカした時なんて全然!痣は消えないの!
おかしい位。あれに比べれば今回はたいした事ない。
紅緒さんは毎日軟膏を塗ってくれて恥ずかしいやら、塗られてる時何処を見れば良いやら?やっとそんな日々も終わる。
そんな6限手前の休み時間。
電話が鳴った。景虎さん?
『あ?承?
今日バイト休みだけどさ、ちょっと頼みがあんのよ?』
景虎さんが言うには、ターミナル駅の駅前の輸入食品の会社に頼んでた珍しいスパイスが今日届いたんだって。
今日これから送っても届くの明後日になりそうだしもし暇があれば、ターミナル駅に行って、駅前の輸入食品の会社へ行って受け取って、俺カレに届けてくれないか?と。
別に用は無いから、引き受ける。
輸入食品会社は17:00までだから学校終わったらすぐに行かないと。
で、2時間バイト代と交通費、賄いが出るって!
俺は引き受けると電話を切る。
…スマホで電話…格好良く無い?
※至って普通なんですが承くんは最近スマホ持ったばかりなので…。
紅緒『ふーん。』
紅緒さんが側で聞いてた。
紅緒『ふーん。』
あ、これ面倒くさいやつ!
『そうゆうわけだから?今日は俺お使いに行ってくるね。』
紅緒『私も行く!』
放課後、15:50HRが終わり、身支度して高校から約10分の東光駅へ向かう。
紅緒『わあ!電車通学してるとこんな感じなのかな?』
『紅緒さんは家すぐそこだから新鮮だよね?』
紅緒さんはキャッキャはしゃいでる。
ぱっと見清楚可憐に騙されるけど結構活発で好奇心が強い。
そして天真爛漫。
10分ほど歩けばもう駅。
ターミナル駅は反対ホームだけど田舎駅だからエレベーターが無い!
ひーふー言って紅緒さんは反対ホームへ向かう。
紅緒『私、基本車移動だから電車って久しぶり!』
そっか、不憫な子…。
少しすると電車が来る。電車で10分少々でターミナル駅。
予定では16:30にはターミナル駅に着く。
駅から歩いて15分位だから閉店の17:00までには大丈夫、着くだろう。
スマホでマップを出して調べる、受け取ればあと問題無く、時間は問題じゃ無い。
俺カレに寄って、受け取ったスパイスを渡して、賄い飯を食べて帰るだけ。
輸入食品会社へだけは早めに着かなければならない!
お使いの時間制限に少し緊張する俺。
久しぶり電車にテンション上る紅緒さん。
はしゃいでる紅緒さんはちょっと可愛い。
ターミナル駅に着くと、中央口から左に入って道なり。スマホ見てそう確認する。
ターミナル駅は社会人や学生でごった返していて、田舎の東光や新川とは偉い違い。
慌てて中央口から出て、左へ向かう。
紅緒『立花くん!そっちじゃないよ!こっち!』
袖を引かれる。
俺間違ってたw、スマホに気を取られ違うとこで曲がりそうだった!
ニコニコしながら紅緒さんは
紅緒『もう!しょうがないんだから!』
ぽんぽん!腕を叩かれて、ごめんって笑いながら謝る俺。
中央口から一本入った通路も十分人が多い。
幅10m位の真っ直ぐな通路。
人がすたすた歩いてる。
斜め数メートル前、女の子が立ち止まった?
何故かわかった。
?『…承くん…?』
そこには俺が死ぬほど会いたくて、…でも、とても顔を合わせられない、
あの娘が居た。
☆ ☆ ☆
193話ですが諸々更新で前回が更新200回でした。
応援してくれるみなさんのおかげです。
いつも本当にありがとうございます!
そしていよいよあの娘と再会になります。
当初予定では200回記念再会だったので順調に伸びてます。すいません!
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