第185話 カルチャーショック
次の日、日曜日。
望は親友の家に、俺も宏介の家に朝からお出かけ。
『じゃーん!宏介!やっとスマホ買って貰ったんだー!』
宏介『おお!』
早速2人であれこれ話しながらロインのアドレスを交換した!
『昨日望と意味も無くロインしてたけど、これで宏介ともいつでも連絡とれるな。』
宏介『…なに?家族以外では俺が最初なの?』
男同士でキモいだろ…とか言いつつなんか嬉しそうな宏介。
そりゃあ一番は宏介でしょ?絶対話す量も回数も。
諸々いろんなことを教えてくれた。
俺知らなかった事が多いんだなあ。
宏介『通信量があるから無制限にしとかないとうんたら。』
???
宏介『あ、うちに来た時はWi-Fi繋ぎなよ?』
『わいふぁい?』
宏介『…おじいちゃん、ゆっくり知っていけばいいよー?』
知ってるよ!無料の電波的なものでしょ!
宏介は俺を可哀想な目で見る…。
少し前に紅緒さんをおばあちゃん扱いした事が自分に返って来たんじゃ…。
人を笑うものは人に笑われる…そうゆうことだよね…。
午前たっぷり居て、そろそろ帰る頃。
宏介『…これで無理に家に来なくても連絡取れちゃうから…あまり家を行き来しなくなっちゃうかな?』
宏介は寂しそうに言う、
なんで?
『え?それはそれじゃん?俺は宏介の顔見たいし普通に来るけど?
…宏介は来ないの…?』
宏介『承のそうゆうとこは変わらないで欲しい。』
なんかニコニコしてる?
俺アナログ人間だから笑われた?そうでは無いようだけど…。
『スマホあったって人と人なんだから付き合い方なんて変わらないでしょ?』
宏介『…そうでも無いんだよ…。
これからはスマホで事前連絡すれば行ったけど居ないみたいなのは無くなるから良いな!』
宏介は三島さんとの事で悩んでるみたい。
俺で良ければ話を聞くよ。って伝えて帰ろうとすると、
宏介『…承、香椎さんのアドレス、送ろうか?』
『…そうゆうのって本人同士でやる事じゃない?』
宏介『…香椎さんなら承に教えても怒らないでしょ。』
『…なにを送るの?
久しぶり、元気?って?』
宏介『…それで良いじゃん。』
『合わせる顔も無いし、迷惑だろうし、いいや。』
宏介『…承が良いなら、良いけど。
変わってなければ俺は香椎さんアドレス知ってるから、その時は言えよな。』
…わかった。
あ、宏介に同じ北翔行ってる田中くんにスマホ買った事教えて、アドレスも伝えておいて?ってお願いする。
じゃあ!
俺は宏介宅を出て家へ帰る。
午後から昨日のお詫びにひーちゃんとお出かけ!
午後は望とひーちゃんと3人でバスに乗ってエイオンで買い物して、遊んで、たこ焼きとソフトクリームを食べて夕方家へ帰ったんだよ。
ひーちゃんバスに大興奮!
☆ ☆ ☆
翌週。
朝、青井と伊勢さんと学校へ向かう。
俺は出来るだけ自然に、
『…そういえば、さあ、俺スマホ買ったんだよね?』
青井『おおお?!』
伊勢『やっと?!』
文明に追いついたとまで言われる始末に苦笑い。
2人とアドレスを交換した。
紅緒『おはよう、立花くん。』
『おはよう。』
紅緒『最近ね、ちょっとあの2人と話してるの。』
少女マンガ好きな地味目な2人組の女の子と紅緒さんは友達になりたい。
良かったね。そう伝えて…。
(青井や伊勢さんにはスマホ買った!ってすぐ言えたのに?なんか紅緒さんには…何でだ?付き合い短いから気恥ずかしいのか?)
俺はスマホの話を紅緒さんにはしなかった。
中間テストで少し人気を上げた紅緒さんは今も色んな人に話しかけられる。
紅緒さんから話しかけるのは大体俺、伊勢さん、少女マンガ好きな2人。
それでも話しかけられたら一生懸命に対応している。偉いよね。
大体委員長業務が絡まなければ放課後以外は紅緒さんと話すことは少ない。
今まで無かった、スマホが気になってしまってすぐスマホ見てしまう癖がついた。
でもそれもみっともないから出来るだけ人前ではスマホを見ないようにしている。そんななか。
6限目、もうじき今日の授業もおしまい。
ぴこーん!
先生『誰だ?スマホマナーモードにし忘れてるぞ?』
授業中にはよくあること。
でも今回は俺!あれ?マナーモードどうやるの?
ぴこーん!
ああ!やばい!
誰だよ!通知を見ると青井か!
青井に目で、
(やめて!)
ニヤニヤしてた青井は俺が音を消せない事を悟ったのか手でごめんってしてくる。
こんな罠があるとは…。
くそ、俺が初心者なのを良いことにもて遊んで!
ぴこーん!
ビクッ!!
宏介!このタイミングで!
授業にまったく集中出来ない!
もう鳴るなよ…マナーモードのやり方だけ青井か伊勢さんに聞かなきゃ…。
取り敢えず音を下げて消音にして解決。
最後の教科が社会でそのまま担任の先生のHRで今日はおしまい!
あー変な疲れ方した…。
青井?さっきはよくも?
青井を捕まえて連行して…え?え?
俺は青井しか見てなかったけど、横からすごい怒った顔の紅緒さんが俺の袖をむんずと掴み、引っ張る!
『ちょっ?紅緒さん?なんで?』
紅緒さんが怒っている!
白い頬を赤くして、その強い目を怒らせて、無言で俺の袖を引っ張る。
引っ張って、引っ張って多分4階の社会科教室へ連行されている…?
俺は無実を訴えようとする、
『紅緒さん?俺何もしてない、いや本当に。』
紅緒『…。』
社会科教室へ息を入れずに俺を引っ張って上がった紅緒さんの頬は真っ赤で息は荒い。
心配!ひーちゃんだったらこれ以上無理すると胸に違和感出ちゃう!
『紅緒さん!座って、少しだけ胸元緩めて!
深呼吸して!そう!』
3分ほど安静に深呼吸して息を入れる。
これで落ち着かないようだと着衣を緩めて横にすべきなんだけどそこまでは大丈夫みたい。良かった。
なんでそんなに怒ってるんだ?
『なんでそn『なんで?!』』
言いかけた所に割って入られる。語気が強い!
迫力に飲まれ黙った俺。
紅緒『なんで!さっきの時間スマホ鳴ったの立花くんでしょ!
前に持ってないって言ったじゃない!』
紅緒さんは悔しそうに怒り口調で捲し立てる、
『いや、おとt『私とアドレス交換したく無いから嘘吐いたの?!』』
超キレてる…。
こわい。
紅緒『私が前に、聞いた時は、持ってないって!
アドレス交換したく無いから断る口実じゃないわよね?って確認したのに…。』
181話中間テスト参照
紅緒さんは俺の襟をグイグイ絞めながら俺を追求する!
顔を上げると紅緒さんはその大きな目からポロポロ涙をこぼして悲しい顔で俺を締め上げる、
(泣くのはずるいよ。)
女の子が泣いてたらもうそれは基本的に男が悪いでしょ。犯罪的な事でない限り。
…締めすぎ!ギブギブギブ!!タップしてやっと解いて貰った。
ぐずる紅緒さんになんとか話を聞いてもらう。
一昨日スマホを初めて買って貰ったこと。
だから今日初めて学校に持って来たこと。
スマホに慣れてなくってマナーモードの仕方がわからなくてさっき鳴らしてしまったこと。
家族と友達3人しかアドレスに入っていないこと。
紅緒さんはぐずりながら、
紅緒『ふぇ、本当?嘘ついて、うぇ無い?』
『本当だよ、見る?』
ほぼまっさらな俺のスマホはまだいかがわしい動画や写真見られては困るものが入っていない。
紅緒さんは遠慮がちに俺スマホを受け取ると、俺と全然違う手つきで恐ろしいほどのスピードで、アドレス、ロイン、ダウンロードファイル、などを手早くチェックして最後に写真を見た。え?本当にチェックしちゃうの?
紅緒『こんな写真ばっかり撮ってるような男の子が女の子を騙すはず無いか?』
ニヤニヤしながらアルバムを開いたまま俺にスマホを返す。
アルバムにはひーちゃんや望、両親や祖父母の写真。日付は一昨日から。
え?写真とか全部見たの?
紅緒『女の子なんて彼氏のスマホチェックする子も多いんだよ?
…私も隙があったらチェックしちゃうな。』
女の子怖い!そう思うが怒られそうなので黙ってる。
紅緒『スマホ買ったらなら教えて!
私嫌われてるんじゃないか?って、悲しくなったよ!
なんで朝一番に言ってくれなかったの?!』
紅緒さんはボソッと、
紅緒『私を意識しちゃって聞けなかったのかな?
良いのに…。
これで連絡したくなったらすぐ連絡できる!
…やった!』
1人で恥ずかしがって1人で完結してるよ。
俺はここに来てやっとわかった。
(香椎さんより先に違う女の子のアドレス入れる事に抵抗があったんだ…!
…伊勢さんは抵抗無いんだよなぁ?)
あと紅緒さんは人前では話し方が固いのに最近ふたりになると話し方が違う。
くだけた話し方になるな?こっちが地なのかな?
そんなことを思っていると、
紅緒『…あーあ、家族以外伊勢さんしかアドレスが埋まってない寂しい娘が居るなー。
寂しいなー。誰かアドレス聞いてくれないかなー?』
棒読み。
『こないだファミレスでカラオケでいっぱい交換したんでしょ?チャラい男たちと?』
紅緒『あれは全部ブロックしてるのー!』
わがままだなぁ。
紅緒『リピートアフターミー!
可愛い紅緒ちゃん!どうか僕にアドレス教えてよ!』
ほら!顔で催促される。
『可愛い紅緒ちゃん…僕にアドレスを教えてよ…?』
紅緒さんは真っ赤になって、
紅緒『し、仕方無いなあ、教えてあげるし、教えて?
男の子登録するの、は、初めてだよ…!』
そんなに照れるなら、赤面するなら言わせなきゃ良いのに…。
真っ赤になってる紅緒さんを見てると俺も照れちゃうし真っ赤になっちゃう。
…俺さ以前から思ってたんだけど。
香椎さんもそうだったんだけど、
女の子が赤面して恥ずかしがってる姿ほど可愛いものは無いって思うんだ。
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