第181話 中間テスト
大型連休が終わった。
ゴールデンウィーク何をしたか?って言うと特に何も?
宏介と青井と田中くんと4人で久しぶりに集まって色んな話しながら遊んだり?
望とひーちゃん連れてバスでエイオンって複合商業施設行って買い物してなんか食べたり?
久しぶりに家族でドライブ行ったり?
良いおやすみだったよ!
彼女持ちの青井はショッピングとかめっちゃ大変って言ってた…はいはい彼女もち!
しかし宏介は高校デビューした彼女の三島さんが忙しくて全然会えないってぼやいてた…宏介がしょんぼりしてるから珍しく俺が聞き役。
ちょっと紅緒さんの事相談したかったけど宏介へこんでるから仕方ないよね…?
そうして、連休は終わる。
『久しぶりー!』
『あれ?痩せた?』
『わかるー!』
大型連休を挟んでイメチェンする者、キャラ変更を企むもの、様々。
紅緒『おはよう。』
『おはよう!紅緒さん元気?』
元気よ。って俺に答えると、
紅緒『おはよう。』
紅緒さんは以前に話しかけて断られた2人の女子に挨拶する。
『…。おはよ。』
『おはよう、紅緒さん…。』
なに?って反応だけど女子は挨拶を返してくれた。
紅緒さんは俺以外に挨拶してるの見た事無いから心して挨拶したんだろう。
連休前に俺にしてくれた小さい夢の話。
その為に紅緒さんも頑張ってるのかな?
挨拶一つでも勇気が要る、紅緒さんがんば!って思った。
そして、放課後。
最近担任の先生の管轄の4階社会科教室を汚さないなら使用許可を頂いたのでここにいる事が増えた。
4階だから紅緒さんはしんどそうだけど、ここの景色が好きで俺は気に入ってる。
紅緒さんは文句言いながらゆっくり登っているけど、
『トレーニング、トレーニングだから…。』
って言い聞かせていた。
今日は勉強を見てもらった。
だいぶ苦手な数学を解説してもらいながら合間合間に話しをしながら。
そこで連休の話になって。聞かれた、
『連休はどう過ごしたの?』
『友達と遊んだり?家族と過ごしたり?』
『ふーん。良いわね。
私は家族と過ごしたんだけど…。
立花くん、立花くんと連絡取ろうと思ったらそう言えば連絡先交換してなかったわよね?』
『…して無いね…。』
スマホを持たざる者は人にあらず…なのか…?
『こうゆうのって男の子側から聞いてこないのかしら?』
紅緒さんがチラッチラッと見て来るけど…。
『…俺スマホ持ってないんだ…。』
『…まじ?』
頷く。
『じゃあ仕方ないわね。
断る口実じゃないわよね?』
紅緒さんが心配そうに尋ねてくる…。
貧乏なの?ってディスられたらムカっとするとこだけど、本気で私と交換したくないから言い訳してるんじゃ?って涙目になってる…。
俺は慌てて、俺の家あんまり裕福じゃなくって…弟が病弱な事を説明して…なんか説明したくない…仕方ないか。
紅緒『…そっかあ、私に似てる可愛いひーちゃんは病弱さんなんだ…心配だね。』
遠い目をして、なにか思いを巡らせてる紅緒さん。
俺も『君と似た症状で…』とは言い難く、なんかしんみりムード。
紅緒『…私さ、ゴールデンウィークに立花くんと連絡したいなって思ったんだ。
…たわいも無い事、どっか行こうよ。何でも良いし、行かなくても良い。
今まで思った事が無かったんだ。
この気持ちが自分でもよくわからない。でもね、立花くんと接して芽生えたこの気持ち大事にしたいのよね。
それを広げていきたい。
…そう思ったら、朝、前に断られた2人女の子に挨拶しようって思えたのよ。』
そんなこと思ってたんだ。
それは素敵な事だよね、俺は素直にそう伝える。
その一歩が変えて行くかもね?
紅緒『…あの二人ね、少女マンガの話してて…私も入院中に読んだから…話したい!キュンキュンしたとこ共感したいよ!
…ともだちになりたい…!』
紅緒さんは恥ずかしい事を言ったわ…ってめちゃくちゃ照れていた。
この子は笑えばものすごい可愛いんだ。
これをクラスの皆んなに知って貰えば…あっという間に人気者になれるはず。
でも、どうしたらいい?
思案がまとまらない。
とりあえず、親しくなりたい人にまずは挨拶!
挨拶を何度かしたら軽く話を振ってみるしか無いでしょ?
俺もぼっちだったから友達を作るスキルが高く無いよ…。
フォローは出来ても教える事なんてほぼ無いじゃ無いか?
紅緒さんから信頼されているのを感じる。
教えるなんて烏滸がましいことは考えずどうしたら良いか一緒に考えていこうに方針転換が必要って思った。
その後はたわいも無い話をしながら数学のコツを教えてもらいながら夕方まで一緒にすごした。
紅緒さん…本当に頭が良い!
いや、疑ってた訳じゃ無いよ?それでも予想してたよりずっと良い!
紅緒『ふふん!
実は入試は主席だったのよ?
人前で話すのが嫌だったから断ったけど入学式でスピーチ依頼だってあったんだから!』
誇らしげに胸を張ってドヤ顔紅緒さんを見ながら思う。
初手をしくじるって怖いなあって。
こんなに美人で頭良いのに…自己紹介であんな大惨事に…。
紅緒『…立花くん…なんか失礼な事考えてるでしょ?』
睨む紅緒さんと謝る俺。少しそんなショートコントをしながら
ふふふ!同時に笑い出す。
ここ落ち着くなあ。
そっか、中学の頃の美術室みたいな場所になりつつあるのだな。
…香椎さん元気かな?
それから毎日紅緒さんは少女マンガ好きな2人に毎朝挨拶するようになった。
放課後は俺に勉強を教えたり、話をしたり、クラス委員長業務をしたりしながら一週間経った。
一週間経つとテスト前週間になり、青井が泣きついて来る。
青井『…赤点多いと部活出れない!立花頼む!』
伊勢『大丈夫だと…思うんだけど?あーし高校生になってからあんま勉強してない…。』
俺は最近放課後、社会科教室で勉強してるって言うと2人とも飛びついた。
紅緒さんは微笑みながら、
紅緒『2人とも立花くんの友達だよね、紅緒です。』
紅緒さんが挨拶すると2人とも複雑そうな顔。
紅緒さんの友達増やしたいけど無理やり俺が紹介するのもなんか違うから敢えて紹介はこれまでしてこなかった。
俺がクラス委員長になった経緯は知ってるし、紅緒さんをフォローしてるのも知ってる2人。
でも今回この試験前勉強を機に一緒過ごしてみようって思った。
同じクラスだし別に不自然じゃ無いよね。
青井『立花がつるんでるんだから噂みたいな嫌な奴じゃないんだろ?
よろしく!』
伊勢『まあ、そうだよね。』
勉強を一緒に始めるが、意外にも伊勢さんと紅緒さんがあっという間に打ち解けた。
伊勢『えー!そうなん?
苦労してるー!』
紅緒『…そんなことない…。』
伊勢『どうしよう!あーし噂ほどじゃ無いけどちょっと嫌な子なのかなって思っちゃった…ごめんだね。
とわわんって呼んで良い?』
紅緒『…とわわん?』
女子大盛り上がり。
青井『…立花。数学は考える葦である…。』
『現国混じってる…?』
俺も最近紅緒さんに教えてもらったとこを復習するように噛み砕いて青井に教える。
紅緒さん以外の3人は1人だと気が散りやすいタイプなのでこの形式の勉強会は良いかも!
テスト週間は毎日こんな感じで頑張ろう!って事になった。
帰り道、俺たち3人は一緒に帰る。
紅緒さんだけ別。
紅緒『…なんか羨ましいわ…。』
『楽しいよ?色々話しながら帰るの。』
紅緒『憧れちゃうよ。まあ家すぐそこなんだけどね。』
指で刺す方向の家?本当に高校から見える距離なんだ?
…でも自転車なんだね…?
紅緒『私の体力の無さを見くびって貰っちゃ困るわね。
しかも電動アシストよ?』
ああ!あの坂道とか楽になるやつでしょ?
要る?
初日ね、あんなすぐそこなのに気がはやっちゃって…早足で来てバテたのよ…。恥ずかしそうに紅緒さんは言う。
※プロローグ参照
紅緒『それより!初めて!初めてあだ名ついたあ!!』
嬉しそう。
『じゃあね!。また明日!』
『じゃあなあ!』
『ばいびー!とわわん!』
『また明日ね!』
帰り道、青井も伊勢さんも紅緒さん普通じゃん!って言ってた。
俺は少しぼかしながら彼女が病弱で中学校ほとんど行けなくって世間知らずなとこあるって話をするとふたりとも立花はフォローするって思ってたから何かあれば言ってね?って言ってくれた。本当に助かるし心強い。
そして、あっという間に中間テストが始まった。
苦手科目以外はまあまあ自信があったが苦手科目の数学を紅緒さんに教えて貰ってたから結構手応えあり!
総合で学年で60位だった。結構良く無い?380人位の中だからまあまあじゃない?
青井も赤点1個でなんとかなりそうだし、伊勢さんも学年30位と本来麗䕃行く女子だったからここでは上位だよね。
そして紅緒さんは…
1位 紅緒 永遠
さっすが!
俺はテスト前に、言っておいた。
中間テストで好成績出して注目されたら、
『中学校は病気で行けなかったんだ、だから体育も見学なんだ…。
もし私で良ければ勉強教えるよ?』
みたいな?病気とかぼかしても良いし、正直何でもいい!
とにかく噂を打ち消す内容のコメント。
体育休んでるのもサボりじゃなくって病弱ってきちんと伝える機会にしちゃおう!って。
早速、紅緒さんがまた人に囲まれてる!
がんばれ!紅緒さん!悪い噂と違う普通の病弱でちょっと世間知らずな女の子だって皆に知ってもらおうよ!
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