第180話 意識しちゃうでしょ【side紅緒永遠】
私…可愛いんだ…?立花くんはそう思ってくれてるの?
私を意識してるのかな?
立花くんが私をどう思ってるのか知ってしまった私の胸は動悸が激しい。
私の身体にはあまり良くないから深呼吸して整える。
(全然、不愉快じゃない…むしろちょっと嬉しい。かな?)
入学当初のカラオケやファミレスで綺麗、美人、可愛いって歯が浮くようなお世辞はいっぱい聞いたし、むしろ下心が透けて見えて嫌悪すらあった。
それが、立花くんの何気無い会話からぽろりと出た褒め言葉に私はご機嫌なのだ。
(どうしよう、恥ずかしい…顔が見れない…。)
私は理由をつけてそろそろ帰るわ。って彼に伝える。
彼は優しい顔で、
『気をつけて帰ってね、また明日!』
気になる女の子なら送るよ?とか途中まで一緒に帰ろう?とか言えばいいのに!って思うけどわがまますぎるか。
まあ。まだ完全に好き!では無いよね、気になってる…のかな?
私は諸々の経験が少なすぎて自分の状態が判断出来ない。
入院時にたくさん読んだマンガや見たドラマはもっと鮮烈なシーンでヒロインが意識したり、好意を自覚していたような?
まあ、落ち着いて私。
いくら何でも最初に交友関係を築いた男の子をすぐ好きになるってチョロすぎるでしょ。
よーく観察して私に相応しいか、私が全てを捧げるに相応しい男性か見極めなくちゃ。
でも、意識はしてしまっているのよね。
寝るまで立花くんの可愛いって言葉が頭から離れないなんて。
4月も終わる。
やっと高校生活も慣れてきて、ペースが掴めてきた感じ。
自業自得なんだけど私は相変わらず女子にも男子の大半にも人気がない。
特に自己紹介でたくさん釣れてしまった私の見た目に騙された男子達は私を嫌っている…。
自分が悪いんだけど…あの時は嫌悪感が強くて…。
立花くんにああいう募集方法で応募してくる男子が真面目で誠実で頼もしいわけないでしょ?って言われてから、ああ!なるほど!って思った。
余計な敵を作ってしまった。まあ仕方ない。
女子の友達が1人も出来ないのは誤算だった。
本当に自己紹介と最初の印象の悪さをリカバリーできなかった…これに尽きる…。
初手が悪すぎて笑える。
でも投了するわけにも諦める訳にはいかないからゴールデンウィーク明けにまた頑張ろう。
ところで立花くんは、
『このままだとgwまでにクビにならなくてすむかも?』
って安心してる。
中学生の時のはなしを聞いてて不条理だなあって思ったから本人はなおさらそう思ってるんだろう。
立花くんが私可愛いって思ってて気になってるみたいだけど?
gwは何か誘って来るかな?なんてちょっと想像する。
私は体力が無いから遠出や人混みに長時間とかじゃなきゃ誘われたら行っても良いかな?と思ってる。
私も大概だけど立花くんも女性慣れしてなそうだからあまり刺激の強いなにかでは無いだろうけど…こうゆうのは気持ちだから!
5日もあれば大概のことは出来るわよね。
gw前日のHR後
『紅緒さん、またね!』
『待ちなさい。』
何か忘れてることや忘れ物無い?
私は尋ねる。
立花くんはうーんって考えて、
『無い!大丈夫!良いゴールデンウィークを!』
立花くんは颯爽と帰って行った。
え?私を意識してるんじゃ無いの?
むう、釈然としない。
ゴールデンウィークは何事もなく終わった。
ゆっくり休んで、家族と過ごした!
…健全な休日。不満は無いけど…そういえばゴールデンウィーク中に一回も連絡してこないって…本当に私気になってるの?
!!
そう言えば立花くんと連絡先の交換して無いわ。
昔、テレビなどでJKが毎日夜とかクラスの友達と長くロインしたり電話してるって聞いて、学生同士なんだし毎日会えるでしょ?そんな毎日連絡しなくても…。
って思ってたけど、確かに毎日会ってても連絡したくなる気持ちわかってきたかも。
たわいも無い事だって聞きたいし、聞いてほしいわ。
これも人と人の関わりなのかな?
知らなかった。毎日会っても連絡したくなっちゃうんだ…。
知らなかった。最近このフレーズばっかり。
久しぶりの学校生活には知らなかったがたくさんあって、毎日がワンダーランドなのね。
それが高校生活一ヵ月目にわかった事だったの。
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