第176話 残りを決めなきゃ
そして週が明けて高校生活も2週目。
クラス委員長になっちゃったし、忙しくなるだろうね。
今週は、
先週決まらなかった各委員会や係に人を割り振る。
今週から部活解禁になる。
これが終わると多分しばらくは通常業務で、提出物、配布物関連しか仕事無いはず。
そんな事を考えて登校し、教室へ着く。
あれ?紅緒さんがメガネかけてる?
薄い紫のハーフリムのあっさりしたメガネ。
目悪いの?
俺を見つけた紅緒さんは俺を廊下へ促し、仮設校舎の周りにいくつか設置されたベンチへ誘う。
(あ、委員長決定の時の事で気を使ってるのかな?)
そんなふうに思ってると、
紅緒『あ、私そんなチョロい女じゃ無いから少し恩を着せたぐらいで?
ものにできると思わないでね?』
『うん、いいよ。興味無いし。』
いや、良いんだけどね?
『紅緒さん、目が悪いの?席は結構後ろだけど見づらかったの?』
ふー。って息を吹くと、
紅緒『目なら良いわよ?
委員長って言ったらメガネじゃ無い?』
そうかな?形から入るタイプなの?
紅緒さんに今日の最後LHRで残りの委員会を決める為にどうする?って話をする。
紅緒『…どうするって…?
普通に決めるんじゃ無いの?』
うん、決まればね?
俺は希望者が居なかった場合の為に誰かに委員やらない?って打診したり、知ってる子にお願いしておいたりする必要性を説明した。
そして津南(もう呼び捨てで良いでしょ)と稲田さんが何かしてきたり、妨害の可能性を説明した。
紅緒『やらないか
…ごめんなさい。
…立花くんって見た目よりしっかりしてるのね?
ただ委員会や係になってじゃダメなんだ?』
紅緒さん前の開いたツナギの男の人みたいなセリフをぼそっとつぶやくと我に帰る。
ダメじゃ無い。それで決まればそれが一番!
…でもまとまらないとクラスが荒れたり、誰のせいだ!
クラス委員長がまとめられないのが悪い!みたいに煽る奴が出る怖さを説明する。俺はそうゆう目にあったし…。
…頭が悪い子じゃない。でも…なんか世間知らずなのかなあ?
俺の紅緒さんとコミュニケーションとった手応えはそんな感じ。
紅緒さんは立花くんは心配症だね、ありがとう、心配してくれて。
まずはやってみるから!
みたいな、あまり深刻に捉えて居ない反応だった。
(脇が甘そうな娘だなぁ。)
そう思った。
昼休み1-4教室、俺、青井、伊勢、仙道の4人でお弁当タイム。
青井と伊勢さんは話すの初めてだと思うから仙道を紹介する。
仙道はふひひって笑いながら
仙道『青井くん、伊勢さん初めまして?
夜は墓場で運動会、
『ぷふー!!』
青井『げげげの!それゲゲゲのヤツ!!』
俺と青井は大ウケ。
伊勢『はあ。伊勢成実だよー。』
仙道『あっはい。』
仙道はギャルに免疫ないのかな?緊張してる。
わかるよ、俺も伊勢さん以外のギャル怖いもん。
青井と伊勢さんは俺と同中で友達なんだ!って伝える。
4人で弁当を食べ始める。
あーだ、こーだ話しながら。
青井も伊勢さんもすっかりグループのリーダーポジションだから週半分は自分グループと昼ご飯食べる事になりそう。
仙道『立花!ワシが居るぞ!』
目玉のオヤジの声真似上手い!
青井と俺は大ウケ。
青井も仙道気に入ったみたい。
それで今週解禁になる部活どうする?
って事になった。
剣道部がここには無かった青井は柔道部に入ってみようかな?って考えてて驚いた。青井はスポーツ万能だけど個人競技の格闘技が良いんだって。
今日放課後覗いてみるらしい。そういえば中学校の授業で抜群に青井強かった。
仙道くんはスポーツ苦手だから文化系か帰宅部。
伊勢さんもスポーツはもういいかな?って。
青井『立花は?サッカーずっとやってたけど。
もう良いかな?みたいな事言ってたろ?』
うん。サッカー好きなんだけど…もう良いかな?とは思ってる。
今も走り込みしてるし、やったら面白いんだろうけど?
なんか気が乗らない。
強いて言えばバスケットボールに興味あるんだけど…津南がバスケ部に居るだろうから嫌だな。
今は帰宅部で良い気がする。
そんな事を青井を中心に話してた。青井以外は部活しなそう。
そんで各委員会の穴あき具合を3人に話して、青井のグループと伊勢さんグループの子達に話す機会を作って貰って昼休みと5限休み時間に一応ネマワシをしておいた。
昼休みに紅緒さんは教室には居なかったからそっちはどうだったか聞けなかった。
そして授業が終わり、LHR。
紅緒さんが司会で俺は黒板係。
紅緒さんは先週最後の委員会決めの続きを宣言して、残りの委員会の希望者を募った。数人希望者が居て一部希望者が重なったが話し合いで問題なくまとまり、埋まっていく。
でもあまり人気のない体育係と美化委員会、風紀委員会が空いてる。
各科目係は先生の指示で教材とか運んだり、提出物集める係なんだけど、
(これ良いよね!中学の時はこれクラス委員長が兼ねてた!)
体育係は高跳びとかハードルとかバレーのネットとか全部自分が!では無いけど他の教科に比べてて煩雑そうなんだ。
美化委員会は活動が多くて面倒だし、風紀委員会は人に注意とかトラブルのもとだからみんなやりたがらない。
誰もやりたがらない係と委員会が残っちゃっても紅緒さんは希望者を募り続ける。
このLHR終われば帰れるから、決まらない事でみんなイライラ。
稲田『早く決めて!帰りたいのよー!』
津南『そうだ!そうだ!委員長!もっとしっかりしろ!』
『『そうだ!そうだ!』』
津南、稲田グループは紅緒さんと俺にヤジを飛ばす。
(やっぱりか。どこでも変わらないんだな?)
紅緒さんは無表情だけど、少し焦ってる。
まだ大丈夫だな。
これも経験だろうから少しだけ様子見てフォローする!
タイミングを見計らうよ。
長引く様子にクラスの不満が出そうになってる?
ここまででしょ?
俺も司会に参加する。
昼休みに打診してた生徒に『お願い』して係を引き受けてもらう。
もちろん俺フォローするよ!ありがとう!助かるよ!
こうゆうやり取りを目の前ですると…1人、もう1人委員会に名乗り出てくれた!
残った風紀委員…。
津南『早く決めろ!まだかよ?』
稲田『紅緒さん?リーダーシップ取れないならやめな!』
(…自分が推薦しておいて…嫌な奴らだ。)
紅緒『…希望者居ませんか?』
無表情だけど、ヤジは結構こたえるんだよなぁ。
そうかと思えば場を和ます女の子が居る。
伊勢『あたし風紀委員やろうか?金髪の生徒とか取り締まっちゃうよ!』
どっ!!!
『いやいや!伊勢さん取締られる側でしょ!』
俺は突っ込む!
クラスに笑いが広がる。
ちょっとピリついてた雰囲気が和やかになる。
立候補が居なくって結局打診してた伊勢さん友達が名乗り出てくれて風紀委員会に決定した。
女の子『風紀委員になった以上はすぐにしげざねを取り締まる!
このおっぱいは犯罪!』
伊勢『やめて!』
あはははは!!
こうして、クラスの雰囲気は和やかにLHRを無事に終えた。
良かった!
なのに津南と稲田さんは悔しそう。なんであえて乱を起こそうとするのか?陽キャの考える事はわかんないよね。
放課後、青井は柔道部見学。伊勢さんは風紀委員になる子たちとショッピングモールへ行くから今日は1人で帰ろうか。
近くのショッピングエリアで見て回ろうか?早く帰ってひーちゃんかまってあげようか?ひーちゃんだな!今日も結構気を使ったからひーちゃんしかないでしょ!マイブラザーは癒しの塊!
足取り軽やかに教室を出る。
紅緒『…立花くん…。』
『お疲れ!また明日!』
紅緒『待って!』
さっきのLHRのことかな?
誰だって最初はうまくいかないよ。気にしなくって良い。
俺は彼女にしてもらった事を次の人にしただけ!
それも言う必要は無いでしょ。
じゃあねー!手を振って俺は軽やかに帰る!
ぐえ!!
首根っこ引っ張られて、俺は連れ戻される。
朝の仮設校舎外のベンチへ引きずられる…。
見返り求めては居ないけどこの扱いは無いでしょ。
紅緒『ちょっと聞いて欲しいし、聞かせて欲しい。』
紅緒さんはとても頼む姿勢ではない高飛車な態度で俺と話がしたいって言った。
え?本当に話がしたいの?怒ってない?
俺これから説教されるって雰囲気だよ?
こうして容姿だけなら暫定学年1位と評判の黒髪色白美少女とふたりで話す事になった。
絶対にロマンスが無い雰囲気で。
俺ひーちゃんに会いたい…。
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