第175話 人と違うってこと
クラス委員長リベンジうまくやれるかな?って思いながら家へ帰る。
家へ帰ると望もひーちゃんも家に帰って来てた。
ただいまー。家へ帰り制服を脱いで、掛けてジャージに着替える。
ふー。
望『…ねえ、兄ちゃん?』
『どうしたん?』
望が言うにはひーちゃんの様子がおかしいらしい。
ひーちゃんは数日前から幼稚園の年少さんになって毎日楽しそうにしていたんだけど?
居間でごろんって横になるひーちゃんを見つける。
いつも歩き回るか絵本を読んでるひーちゃんが?
具合でも悪い?!
慌てて望と2人で話しかけるけど、しょんぼりしてる…?
兄姉弟で3人で横になって話してると、ひーちゃんが話しはじめた。
ひー『…にいちゃん、ねえちゃん、ぼくってみんなとちがうの?』
望『なんでー?なんかあったのー?』
ひー『…ぼくはみんなといっしょに鬼ごっこのときとか遊べなくて、みんなが走ってるときもせんせいに見てて?っていわれてね?』
うん、うん、兄妹は頷く、
ひーちゃんは心臓が悪くて30分以上の有酸素運動や急に血圧が上がるような負荷は禁止されてるから。それ以外は普通の子と変わりないから運動関連だけ先生に配慮してもらってるって母さんが言ってた。
ひー『…そしたらね、おともだちが
『ひーちゃん鬼ごっこできないなら帰れば?』って言ってね。』
ひーちゃんが泣きそう!
…幼児は残酷だから思ったこと言っちゃうんだよな。
ひーちゃん『ひーはいっぱい走ったりするとむねがくるしくていたくなっちゃうからダメなんだ。ごめんね。ってあやまったんだ。』
クリクリおめめに涙を溜めて、ひーちゃんは語る。
辛かったんだろうな。なんと言えば…。
でもまだ続きがあるみたい。
ひー『…それでね…おひるねのおきがえの時にね。
ぼく…いっぺんにぬいじゃったの。
うえはだかになっちゃってね、あはは!ってみんなでわらったの。』
うん、
ひー『…そうしたらね…
『わー!ひーちゃんのむねきったねー!ぐちゃぐちゃだー!
きもちわるいー!』
って…うぇ…うえぇぇ、
にいちゃあ、ねえちゃあ…ぼくのこの『しゅじゅちゅのあと』ってきたないの?きもちわるいの?うぇ、あぁあぁん…』
ついに決壊してしまったひーちゃんくりくりおめめダム。
泣きじゃくるひーを望は胸に抱いて背中をさする。
俺も背中から抱きしめて頭を撫でる。
しばらく泣きじゃくると落ち着いたのか、
ひー『ないちゃった…。』
えへへ。って笑うけど傷付いてるのは一目瞭然。
もう一回兄妹でひーを挟み込み、
『ひーちゃんサンドイッチだ!!』
望『ひーちゃんが具ならお姉ちゃん食べちゃいたい!』
ひー『きゃー!』
3人でしばらくはしゃぐ。
少しして、ひーは自分でシャツを脱ぎ捨てると、
ひー『にいちゃん、ぼくのこれきたない?きもちわるい?』
真剣に聞いてきたんだ。
(ここは大事!)
俺も真面目に答える。
『ひーのこの傷痕はひーが頑張った証拠なんだよ。
ひーちゃんがもっと赤ちゃんだった頃、大きな大きな手術だったの。
死んじゃうかも?!って兄ちゃんも姉ちゃんも心配したの。』
望もうんうん頷く。
『ひーちゃんの心臓は人とは違うかもね。
でもすっごく頑張ってくれてる心臓でまだ赤ちゃんだったひーちゃんが頑張って手術した印がこの『しゅじゅつのあと』なんだ。
…もしひーちゃんが死んじゃったら兄ちゃんは生きてはいけないよ。』
望『姉ちゃんも!姉ちゃん生きていけない!』
望も言う。
『だから知らない人が見たらただの傷だけどうちの家族から見たら、これは、
『ひーちゃんが頑張った印』なんだよ。
ひーちゃんは頑張ってる!』
望『兄ちゃんの言う通り!
次文句言われたらお姉ちゃんがそいつに教えてあげるから連れてきなよ!』
ひー『ほんと?ほんとに?
きたなくない?きもちわるくない?』
ひーちゃんのまだ裸の上半身の胸部に残る大きな手術痕。
俺はその傷痕にチュッてキスをする。
『ひーの心臓ありがと、頑張ってくれてるね。
きたない?きもちわるい?バカ言うな!
こんな傷痛かったはずなんだ!ひーちゃんすごい!格好良い!』
望もひーちゃんの手術痕にキスをする。
望『ひーちゃんの心臓いつもありがとう!
赤ちゃんひーちゃん頑張った!』
ひー『…ぼくのしんぞう頑張ってるんだよね?ありがとうしなきゃだよね?』
また兄姉に挟まれてチュッチュされてひーちゃんはご満悦!
ハンデかもしれない、また人と違うことに悩む日が来るかもしれない。
でも頑張ってるひーちゃんの
ひーちゃんのお金のかかるわがままボディは立花家の宝物なのだ!
納得したかはわからない。
でもそれ以降手術痕の話を泣きながらしてくることは無かったんだよ。
☆ ☆ ☆
金言
高校生になって初めての休日。
久しぶりに宏介の家へ行く。
クラスは違っても同じ学校でしよっちゅう行き来してたからこれだけ会わないのは今まで無かった。
…でもこれからだんだんそうなっていくんだろうね…
宏介の部屋には北翔高校の制服がかけられてていて大人っぽくなったなあって思った。北翔の制服って東光と少し似てる。
紺色っぽいブレザーにグレーのスラックス。
袖の縁の色とタイの色が違うだけで結構似てるんだよなあ。
宏介『…あれから香椎さんとは?』
忘れようとしてるけど…なんかあれば思い出しちゃう。
正直に言う。
宏介『…ほら。
後悔しないように良く考えなよ。
…あと次会ったら何も言わずにとにかく謝るんだ。承の気持ちや言いたい事とか別にまず謝れ。手紙で済ました事、直接会って話さなかった事。
…必ずだぞ。』
『うん?』
これが後に俺を助ける金言だったと気づくのはもう少し先の話だった。
それはそれとして宏介はどう?北翔どう?
宏介『…皐月が高校デビューした。』
えー?!宏介の彼女の三島皐月さんは清楚な地味美人だったんだけど…スマホ見せて貰ったら…伊勢さんみたいになってるー?!
宏介『伊勢さんが悪いわけじゃないんだけど…前の方が良かった…言えないけど。地味っぽいって気にしてたんだよね。』
で、新しい学校で新しい人間関係構築中でお互い忙しくって同じ高校だけど登校時以外なかなか会えないらしい。
彼女持ちも大変だね!
承は?
あ!俺クラス委員長になった!
…は?
俺は宏介に青井と伊勢さんが同じクラスでかくかくしかじかと説明をする。
伊勢さんが東光に来たって話と同じクラスってのは青井からロインが来て知ってたらしいけどクラス委員長の話は知らなかったらしい。
津南と早速敵対してるって話を聞いて頭を抱える宏介。
バスケ部?宏介は野球、卓球ときて高校ではバスケしようかな?って思ってるらしい。
中学の時みんなで昼休みや空いた時間にやるバスケ面白かったよね!
小学生の頃バスケ部作ろうとして却下された思い出が蘇る。
宏介がやるなら俺もやりたい気持ちがあるけど…津南と同じ部は無理でしょ。
宏介『…心配。』
心配するなって。一回体験してるから!
そこで紅緒永遠の話もする。
俺の口から香椎さん以外の話が出るのに驚いてた。
宏介『…面倒くさそうな娘だな?
なんか事情があるのかな?』
俺もそう思うけど…俺の話でわかっちゃうんだから宏介は流石だよね。
お互いの近況はここまで!
宏介とダラダラゲームしながらたわいもない話をした。
窓から見える中学校が眩しく見える。
あそこに香椎さんはもう居ないのにニッコリ笑ってる香椎さんが中学校に居るんじゃないかって思っちゃう。
みんな、同級生たちもこんな風に新生活を楽しんだり苦労しているのだろうか?
☆ ☆ ☆
伊勢成実は高校生になって初めての休日、承と同じく親友の家に向かった。
木多ママ『…成実ちゃん、ごめんね、良子今は会えないって…。
…まだショックが大きくて…ね。』
伊勢『いえ、急に来たので…』
木多ママは申し訳なさそうに。
木多ママ『あれはもう、事件だから…麗䕃は入学辞退して、今年一年療養予定なのね?
あんまりうるさくないところを受験して来年から高校生って感じになるわね。
成実ちゃん、ありがとう、良子を気にかけてくれて。また来てね!』
成実は木多ちゃんのママと少し話をして家へ帰る。
…木多ちゃん…伊勢成実は親友の事が気がかりだった。
伊勢成実は気を取り直して、約束していた友達とのカラオケに行く。
麗䕃へ行ったギャル友がこっちに気を使ってるのが地味に傷付いた。
みんな苦労して、みんな楽しんでる。そんな新生活と新生活に進めなかった親友の事を思いながら伊勢成実は今日も陽気に振る舞う。
成実は仲間を思い、仲間を思う成実をみんな大好きだからギャル友たちの結束は固かった。
皆にせがまれて金髪盛り盛りの時の写真をみんなに見せる。
ロインで一枚送ったがまだあるのか?って。
『金髪はヤバいっしょ!』
『え?!東光だとこれでも許されるの?!』
『スーパーjkモード…震える!』
『立花くんや青井くん驚いたっしょ?!』
麗䕃女子からしたら驚天動地の傾き者である。こんな事が許されるのか?!
伊勢『…玄関入ったとたん…生徒指導室へ連行されて…停学になるところだったょ…
青井は
『じゃあみんなが噂してた、登校と同時に先生に生徒指導室へ連行されたすっげえ金髪のヤンキーって伊勢のことなんか?』って…。』
『金髪ヤンキーw』
『伝説作った!』
『もう噂になってるじゃん!(笑)』
伊勢成実のグループは変わらない。
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