第152話 受験とその余波
あっという間に受験シーズンになった。
2月。
専願とか特別受験の生徒はもう入試が始まる。
俺は一般で公立、私立を受ける。
俺は公立の東光が本命。
うちの県は公立、私立の順番で受験になる。
バレンタインデーに香椎さんから手作りチョコ貰った!
机に入っててビックリした!
お礼を言いたいけど、受験でみんな不安になるのか香椎さんに周りは全く人が途切れない。
手作りチョコって初めて食べたんだけど、すっごい美味しい!香椎さん作だからかな?生チョコってやつ?だったんだよ!
次の日のお昼休みにやっと隙間を見つけてお礼を言えた!
『あんなに美味しいチョコ初めて食べたよ!』
『もう!またそうやって初めてって言ってる!
女の子みんなに言ってるんじゃ無いの!』
そう言いつつ、香椎さんはニコニコだった。
実は登校時伊勢さんからも貰った。市販品のお洒落なヤツ。
美味しかったけど、望とひーちゃんにほとんど食べられたんだよね。
3月初め。
ついに公立入試が始まった。
うちの中学から東光は11人受験する。ちなみに小石も居る。
近くて、偏差値中か中の下ってちょうど良さから今年は倍率1、32倍となかなかの激戦区。
青井『緊張する!』
伊勢『あーしはここ滑り止めだからー!』
承『でも、2人が居て安心する!』
皆で行動してても主にはこの3人で動いてる。
午前試験、午後面接。
一生懸命、問題を解き、必死にもう一度見直しチェックする。
神経が擦り減る作業。
それでも一点でも多く取る為に何度も見直す。
面接も必死のアピール!
緊張の一日だった。
本当に疲れた。何かあるといけないので隣駅だけど電車移動。自転車の方が絶対早いけどねえ。
青井『あー、不安!』
偏差値的には不安が残る青井は自信なさそう。
伊勢『あーしはまず大丈夫かな?』
伊勢さんは自信ありげ。この娘はおバカそうだけど成績自体は俺より良いのだ。
俺は多分大丈夫な気がする。
って言うか、家計的にも公立一択。
もし落ちたらランク落として公立の二次募集に賭けるしか無くなる。
でも、本当に青井と伊勢さんが居てくれて良かった!緊張感が凄かったから2人が居てくれたことに感謝!
ふたりとも俺の感想に同意してくれた。
でも、
伊勢『…でもあーしは麗䕃が本命だからねー?』
麗䕃は県内で有名なお嬢様高校でかなり校則が厳しい女子校。
異性関係や不祥事の対応がそうとう厳しく素行が悪い子は卒業させてもらえないなんて噂がある。
麗䕃へ行ったら伊勢さんは清楚ギャルになるんだって。
今も見慣れない黒髪成実さんだけど、髪はコテ?でグルングルンに盛ってあってメイクも抑えめ。
制服も着崩すことなく、なんか不思議な感じ。
俺は思わず言っちゃう、
承『…伊勢さんも一緒に東光高校行ってくれたら楽しいだろうなあ。』
伊勢さんは申し訳なさそうに、
伊勢『ごめん、ギャル友達たちと麗䕃は昔から約束しててね。
…でも立花と青井と東光も楽しそうだね…
立花と一緒の学校行けたらなあ…
なんてね?はは!』
ごめん!伊勢さん!
不躾で厚かましいこと言っちゃった!
進学は能力によるべきで友達が行くからランク下げる!じゃ無いよね?
青井は別だよ、友達と一緒の高校へ行く為に自分の偏差値より高めの目標を掲げ努力してきたんだから!
夏からの青井の頑張りには感心させられる。
夏休みは俺と完くんと勉強したし、2学期はあんなにイベント頑張って小幡さんから見返りに勉強教えて貰ってかなりこの半年で学力を上げた。
結果は来週出る!
数日後、私立の受験!
一応の滑り止めなんだけど、同級生は7人受けるけど特別親しい子が居ない。ここにも小石が居る。
黙々と行動してフィニッシュ!
同じく結果は来週!
色々大変だったり、精神削られた割にはあまり思い出にならない。
初めての学校、初めての校舎、緊張したなあって記憶だけ。
家族に聞かれても
そうとしか答えられない。
とりあえずあとは結果待ち!
まあどっちも落ちたら辞退者の数だけ出る欠員の椅子を争う、二次募集に全てをかけるしか無いがそれはしんどい。
なんとかなりますように!
⬜︎ ⬜︎ ⬜︎
受験の意外な余波
家族に今日の入試の話をしながら18:30頃家族と夕飯。
テレビではニュースが流れ、県内では私立高校の受験が…なんて報じており、各地の倍率とかの話のあと、受験生にインタビューしてる光景が、
『難しかったですが手応えはありました!
はい、入学できたらテニス部に入部したいです♪』
望『うわ!可愛いと思ったら香椎先輩じゃん!』
承『本当だー?!』
インタビュアーの質問に答えてるのは香椎さんで、実物も可愛いけどテレビ映りも抜群に良くてビックリした!
なにこれ?録画しておけば良かった!
翌日、私立高校受験の興奮の話と同じ分だけ、香椎玲奈テレビデビューの話題で大盛り上がり!
『香椎さんめっちゃ可愛い!』
『SNSで話題になってたよー!』
『新川中の香椎さんだって特定されてた!』
『テニスの県大会優勝でバレたらしい!』
『天月高校顔面偏差値レベル高けえー!ってSNSざわついてたよ?』
『県内にこんな美少女が?!みたいな反響が!』
『バレるの早く無い?』
とか言って、香椎さんフィーバー!
香椎さん親衛隊が復活して香椎さんを囲い込んでた。
でも、本当に凄まじい反響で、下校時校門前に変な人?って言うか不審な男性が20人くらい香椎さんの出待ちをしてた。
多くない?!
家バレ怖いから香椎さん明日からしばらく車で送迎するらしい。
それは良いとして今日どうやって帰るの?
もう半分位生徒が帰った教室で皆考え込む。
『俺たち親衛隊が送っていくよ!』
親衛隊とやらが自信満々宣言するけど、
『ここに居ます!って言ってるようなものでしょ?家バレちゃうよ!』
確かに。
陽キャ達がみんなで考え込んでるけど…、
俺は皆から距離置かれてるから離れて様子を見てるよ。
こうゆう時こそ役に立てば外町の印象良くなるのに居ないな?
『どうする?』
『変装とか?』
『囮を出したらどうかな?』
みんな色々意見を出してる。
一度出た生徒が戻ってきた。
『なんか!香椎さんの写真が一部出回ってるみたい?』
『生徒の顔をスマホで確認してたよ?』
『裏口と学校横の橋にも人居たよ!』
SNS社会怖い!!
こんなの流出するの?
スマホ持ってない俺からしたら訳がわからない。
でも香椎さんがピンチなのはわかる…。
香椎さんは寂しそうに言う、
香椎『本当はね?もうあと少ししかみんなと登下校出来ないでしょ?
…本当は送り迎えなんて嫌だなぁ。
もう数えるほどしか登校も下校も出来ないんだよね。』
そうだよね、来週末にはいよいよ卒業式だよね。
もう、登下校もあと数回。
あんなに毎日登下校してたのがあと数回だよ?信じられないよ…。
なんとかしてやりたい!
何が出来る?
とりあえず陽キャたちが色々試行錯誤し始めた。
たった今、合流した小幡さんが仕切り始める。
小幡『ほら!真面目に考えて!』
小幡さんのリーダーシップで場はみんなで考えよう?って雰囲気。
小幡さんに言われたからじゃ無いけどその光景を見ながら俺も考えてみる。
俺はあと数回しか無い、香椎さんの登下校を守りたい!
考えろ!俺!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます