第148話 vs香椎パパ
娘が男を連れて来た。 【side香椎パパ】
クリスマスの近づいた冬シーズン。
実は会社の業績が少しばかり悪い。
父から継いだ貿易会社を妻と二人で大きくしてずっと調子が良かったが世界的な感染症の流行、円安の影響、原油高色々悩みは尽きない。
知り合いの取り引き先も規模を縮小予定とか言って年末近いのに不景気な話ばかり。今すぐどうとは言わないがこのままずっと続くと厳しい。
大学の先輩の経営する会社も少し取り引き量を減らしたいとか後輩だと思って、足元見て揺さぶりをかけてくる。
会社を守り、家族を守るのが俺の使命!
さて、俺には宝物が4つある。
妻、娘2人、会社!
会社には当然、社員も含まれる!
どれも愛しくて、大切な俺の宝物!
特に家族は何者にも変え難い。
妻は何年たっても素晴らしく胸はバインバインだしもっちりしてて幾つになっても抱…ごふんぐふん。
気になるのは娘!世の中のお父様方はよく娘を手放せるなって思う。
妹の方はまだ中学生だし、雰囲気からして清楚だけど…
姉の方は妻に似てバインバインで性格的に自由なタイプで…来年は大学生なんだが会って欲しい人が居るとか言われたら俺…平常心を保てる気がしない。
俺、妻の実家に初めて挨拶に行った時、義父さんにねっとり嫌味を言われて、義父さんなんか武術やってて組み手の相手させられて、ぎっちりしめられたんだよ。
でも今なら義父さんの気持ちわかる!娘の男は俺の敵!
天に太陽はふたつ要らない、この家に男は俺一人で良い!
そんな仕事の不調のストレスは俺の宝物にしか癒せない!
軽やかな足取りで我が家へ帰ると…男物の靴がある?
逸る心を抑えて、努めて冷静に聞いてみる、
『ただいま!
お客さん?』
ダイニングキッチンに入ると中学生?高校生?男の子が俺の席に座っている?
下の娘が慌てて紹介してくれる、
玲奈『パパ!おかえり!
こちら同級生の立花くん!』
男の子は緊張した面持ちで俺に挨拶する、
立花『こんばんわ!お邪魔してます。
玲奈さんの同級生の立花です。』
普通だな?特別なものは感じない…。
パパ『…こんばんわ。いらっしゃい?
玲奈の父です。』
初対面印象は悪く無い…でも敵認定。
まさか…あの小さかった下の娘が姉より先に男を連れてくるとは…
彼氏?彼氏なのか?!
小さい小さい時から宝物のように慈しみ育ててきた玲奈が…。
思わず皮肉を言う、止められないだろ。
パパ『こんな時間まで?家族は心配してるんじゃ無いかな?』
立花『はい、すいません、ちょうどお暇するところで…。』
もう逃げるのか?俺が初めて挨拶する時はもっと根性を…
長居されたく無いから多分どっちでも気に入らない!
ケーキの皿2枚も出てる…こいつまさか俺の分まで?!
やっぱり娘の連れて来た男は気に入らない!
まあ誰を連れて来たって気に入らないけど!
でも、すぐわかった。
玲奈が、若い頃の妻と同じ笑顔をしてる…こいつが好きなんだな…
パパショック!
⬜︎ ⬜︎ ⬜︎
香椎パパ怖い side立花 承
前に父さんが言ってた、
『母さんと結婚させて下さい!って言いに行く時ほど緊張した事は無いぞ。
一発殴られる位は覚悟してた。
でも今なら仕方ないってわかる。
望を下さい⤴︎ってチャラい男とか来たら…
SATSUGAIしちゃうかも…。』
父さん怖いよ。
いつかそうゆう時がきたら覚悟しなきゃだなあ、なんてなんとはなく思ってたら。
このタイミングで玲奈さんのお父さんに会うとは…。
席から立ち上がり挨拶をすると、
父『…こんばんわ、いらっしゃい?
玲奈の父です。』
流石に怜奈さんのお父さんだけあって若々しくカッコいい着る物もオシャレな男性。
しかし圧がある、ビリビリくる殺気。
お前は娘のなんなんだ?目がそう問いかける。
その後の言葉もさりげなく早く帰れと言われてる気がする。
(俺だって望が男の子連れて来たらなんか複雑!
玲奈さんほどの可愛い娘だから香椎パパの心中はきっとうちの父さんと一緒だろ?殺される!帰った方が良い!)
まあ救いは付き合って無いし、当然傷物にしたわけじゃ無いからそこまでの敵意は持ってないはず?って思ってたんだけど…。
パパ『あーパパ疲れた!玲奈の手作りケーキ食べたいなあ!』
玲奈『もう無いよ?私がお願いして承くんに2切れ食べてもらったの♪
元々承くんに食べて貰うための試作だからね?』
頬に手を当ててきゃっ♡とか言いながら玲奈さんは体を捩る。
香椎パパはぎぎぎと軋むような音を立てて首だけ俺の方へ向ける…
殺気!玲奈さん!パパを煽らないで!
パパ『…承くん…?』
俺は慌てて、
承『あ、はい!立花 承です!』
姉『承くんは玲奈をいつも助けてくれる王子様なんだよ!ね?』
ママ『聞いててキュンキュンしちゃうのよー?』
香椎パパは無表情に聞きながらじっと俺の席を見てる?
!!
ここ香椎パパの席なんじゃ無いか?
ざっとわかってるだけで、
娘が男を連れて来た(※これだけで殺意)、自分の席に座ってる、自分の楽しみにしてたケーキ、娘が名前呼び、姉まで名前呼び、妻も気に入ってる。
俺絶対に良い印象持たれて無いよ!
いつか挨拶する事はあるかもしれないけど、それは色々定まってからで良いでしょ?
帰ろう!
しかし、パパもイライラしてたんだろうね、
パパ『…パパの分までケーキ食べちゃったのかい?
いくら娘が勧めたからって人のうちで…?そんなに?』
玲奈さんはフォローの様な煽りのような事を言う、
玲奈『私が無理言って食べて貰ったの!パパ!そんなこと言わないで!』
パパさんの気持ちを考えれば皮肉のひとつも言いたくなるか。と思った。
謝ろう、
承『玲奈さんの言葉に甘えてしまってついつい食べすぎてしまいました。
遅くまですいませんでした、失礼します。』
ちょっと引き攣ったけど笑顔を浮かべ、頭を下げて、玲奈さん、お姉ちゃん、ママに挨拶して帰ろうとすると、
パパ『そうだね、もうこんな時間だもんね?
食べ過ぎだよ?
パパとママはケーキを買ってくれないのかな?』
パパの言葉に瞬間的にイラっとする!
一瞬で頭に血が登って顔が火照る。
玲奈さんの家族だぞ!我慢しろ!
俺のコンプレックスが刺激される。
黙って頭を下げて退室しようとする俺に、
パパ『おうちでケーキは出ないのかなぁ?クリスマスケーキ位ねえ?
玲奈は小さい頃から不自由無い様に育てたお嬢様なんだよ?
そんなお家の子じゃあ釣り合いが取れなくないかな?』
まるでうちに貧しいの?って言われたような気分。
この家を見れば裕福なのはわかる。比べるまでもない。
うちが苦しいのなんで知ってる?玲奈さん?
思わず玲奈さんを強く見てしまう。
玲奈『ち、ちが!』
玲奈さんは泣きそうな顔をして首を振る、
そうだよね、玲奈さんはそんな事思ってない…でも家族に話ちゃったりしたのかな?玲奈さんに限ってそんなわけないか。
スンって急に落ち着いた、
承『こんな時間まですいませんでした、ケーキも食べすぎてすいません、
お邪魔しました。』
俺は90度以上頭を下げた。
テーブルに頭が少しぶつかった。
俺は急いで香椎家から退出する。
⬜︎ ⬜︎ ⬜︎ ⬜︎
パパの暴言 【side香椎玲奈】
パパが承くんがケーキを食べちゃった事を恨んで、皮肉を言った。
私が食べさせたんだよ!
すぐに嗜めるべきだったけど、承くんの顔色が変わるところを見てしまい言葉がでない、
パパやめて!承くんは家族を大事にしてるから家族を馬鹿にされるのが一番嫌いなの!パパとママが頑張ってるのに借金があることに心を痛めてるの!
パパにケーキ買ってもらえないの?って言われた承くんは顔色が赤くなった!
怒ってる!
私をお嬢様だから釣り合いが取れないって言われると今度は顔色が白くなる、承くんが私を強い目で見る、
玲奈『ち、ちが!』
私は家族に承くんの家の経済状況なんて話した事無い!でもピンポイントでパパは承くんの家が貧乏でパパとママにはケーキ買ってくれないの?って侮蔑するような事を言ってしまった…、私が家族に話したと思われた?!
私と目が合うと諦めるような、悲しい目をして、挨拶して出て行こうとした。
承くん…私、ちが…
お姉ちゃんが我に返って私に言う!
姉『玲奈!このまま帰しちゃ絶対ダメー!!』
ママは静かにキレてる。
ママ『パパ?パパはこっち!』
パパ『痛い、痛い!!ママ腕極まってる!!』
ママ『極めてるのよー?何しちゃってるの?』
パパ『俺だって、義父さんに初めて挨拶に行った時には!
もっと!皮肉と暴力が!』
ママ『あの頃のパパはもう22歳で付き合ってて、結婚も視野に入って、私ともう関係もあったでしょー?
中学生でまだお付き合いもしてない玲奈と全然違うでしょー!』
姉『パパ最低ー!』
パパがママに締められてるのを見て我に返りダッシュでダイニングを飛び出す、リビングを通って玄関へ出るつもりの承くんを止めなきゃ!
ソファーの前の承くんを私は思いっきり押し倒して抱き着いた!
抱きついたって言うか…ラグビーのタックルだったよね。
顔が近いから本当に恥ずかしい!
今日は色々あったよ!
喧嘩して、仲直りして、家族に紹介して、ケーキ食べてもらって最初は悲しい1日だったけど最後は楽しい1日だった!で終わりそうなところをパパにぶち壊された!
承くんの為にもこんな気持ちで、このまま帰す訳には行かないよ!
⬜︎ ⬜︎ ⬜︎ ⬜︎
この初めてのケンカ編が終わったら、10000pv記念外伝を1話挟みます。
承くんの親友宏介くんの話になります、よろしくお願いします。
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