第129話 完璧VS女王 2戦目【side小幡千佳】

こうして文化祭の演目は全て終了した。

表彰式に移るのだけれど、伝統として出し物の主演とか実行委員が衣装などで登壇するのだけれど、うちはベルの私が最後のドレス、王子の青井がやはり最後の盛装で用意している。


やっぱり花形の出し物の結果次第なのよね?

これが獲れるとほぼ最優秀クラスは獲れるはず。強いて言うと合唱と課題で2冠取られると持ってかれる可能性もあるのよ。

それでも花形の出し物!これに賭けてきた!

うちは体育祭で負けた日から秘密裏に準備してきた!

玲奈に勝ちたい!!でもそれよりクラスで勝ちたい!

表彰式が始まる。



式が始まり校長先生の話を全く聞かずに今までのことを思い出しちゃう。

クラスのみんなの献身的な下準備に練習量。私は3組を誇りに思う。

中でも青井は本当に頑張ってくれた。

しごきと言っても良いほどの練習量と質を求め、私と二人で髪を金髪にまでして頑張ってくれた。

…実は体育祭から青井からアプローチを受けている。

体育祭での活躍、頼もしさ、あの時かけてくれた言葉。

正直くらっときた。でもみんなが頑張ってくれてる時に

『私たち付き合いまーす!』なんて言えないし、小さい頃から近所で今更恥ずかしいって言うのもある。

どうしよう?あと3回くらい告白してくれたら…?答えは出ない。



先生の長い話が終わった。

生徒会長が出てきた。

いよいよ部門ごとの発表よ…!

まずは課題発表。

1組の玲奈と目が合う。

恨みっこなしよね?勝負!!




1年、2年、読み上げていく、


生徒会長『3年課題発表、最優秀は…


2組『僕たちの町の未来』です!!』



おお!!


あれはすごいわよね?私たちの町の店1軒1軒訪ねて漠然とした経営状態(良い、普通、悪い)、後継者の有無を全部地図に書き込んであって…

近所の駄菓子屋の経営状態が悪いで後継者無しで不安になった生徒が昨日から駄菓子屋に殺到してるらしいわよ?

納得よね…。


まずは2組か。目立たないけど、いやだからこそこうゆう種目は得意なのよね?




続いては、合唱コンクール!

これは獲りたい!いや全部獲りたいんだけどね?






1年、2年、読み上げていく、




生徒会長『3年!合唱コンクール!最優秀!


1組『樹氷の街』!!』




おおおお!!!


くっ!!!玲奈がホッとしてる…!

なんで1組はあんなにまとまりが無いのに合唱こんなに強いのよっ!

1組に1冠、2組に1冠。

勝つには出し物を獲るしかない!



また、また負けるの?

みんなの力を借りて、秘密裏に他クラスより早め準備のアドバンテージがあっても?

また負けるの?私が?玲奈に?

私のせい?



そっと私の手を誰かが握る、



青井『まだ結果は出てない、落ち着けよ。

みんなも居る。』


金髪で微笑む青井は王子様のようで、私は素直にうなずいてしまう。



3組女子『ケダモノがまたどさくさに紛れて千佳ちゃんの手を握りましたー!』


3組女子『連行!』


青井はあっと言うまに隔離されたのよね。



泣いても、笑ってもこの『出し物』次第。

(お願い!)


神様なんて信じてないし、何にも信仰なんてしない。でも人間って祈る時ほぼ同じようなポーズをとる。


胸の前で、指を絡めて祈るように見守る。

横を見ると全く同じポーズで玲奈も祈ってる。


(玲奈、きっとあなたも負けられない理由あるのよね?でも私もなの!)





いよいよ、メインイベント、出し物の発表!!



今までの練習光景が走馬灯のように流れる。

大変だったわ、苦しかったわ、楽しかったわ。

高難易度の劇にしよう!高難易度の方が票を入れてくれるって噂?

恋愛!感動!歌もつけよう!

複合の方が先生ウケするらしいよ?

歌とダンスとか劇と歌とか…

じゃあ美女と野獣をミュージカル仕立てで行こう!!


そんな思い出ばっかり思い出す!


始まった。








1年、2年、読み上げられる。








生徒会長『3年!出し物!最優秀!!



実は本当に僅差でした、

わずか2票差です!!』




票差に言及するのは聞いたことがない?

良いから早く!心臓がおかしくなっちゃう!!





生徒会長『最優秀、








3組『美女と野獣!!!』』



おおおおおおおお!!?!!?!!


この日1番のどよめきが体育館を揺らす。



千佳『…負けた?』


青井『ばか!勝ったんだよ!!!』

青井が私を肩車する。

理解が全く追い付かない?


千佳『ちょっと何言ってるかわからない?』


宏介『承じゃないんだから!』

田中『女王!』

木村『女王!!』

3組『『やったぜ!!』』



やっと理解した私は下ろしてもらって立つとすぐに膝から崩れ落ちる。理解してから涙が止まらない。

玲奈も奇しくも同じポーズで膝から崩れ落ちていた。あっちも涙が止まらない。



生徒会長は読み上げる、




生徒会長『以上の結果をもちまして学年最優秀クラスを発表します!』





1年、2年、






生徒会長『3年、最優秀クラス!3年3組!!』




おおおおおおお!!!

男子が鬨の声をあげる!女子も叫ぶ!



各学年の最優秀クラスが壇上に呼ばれ表彰される。


私は無理だ。腰が抜けて、涙が止まらず、声が出ない!

それを周りにアピールする。

女王が壇上に上がるのを楽しみにしてたってみんなに言われて仕方なく歩き出す。

でもね?涙でコンタクトが安定しなくって、全く前が見えないの!



青井『しょうがねえなあ。』


ヨタヨタしてる私を見かねて青井が手を引いてくれた。


3組女子『ケダモノがまた千佳ちゃんが弱った隙に手を握ってる!』

3組女子『今だけだからね!きちんとエスコートしなさいよ!』



私は青井に手を引かれて壇上へ上がる。

すっごい冷やかされている…恥ずかしいよぅ。


そして校長先生から表彰状をもらった。

表彰状って要る?って前から思ってた。

けど前言撤回!こんなに嬉しい!



表彰状を掲げながら、青井に介助されクラスに戻る!

みんなニッコニコ!

嬉しい!やっと、やっとみんなに努力して報われる喜びを教えることが出来た!



その後のことはあんまり覚えていない。

気づいたら皆に担がれるように3組に戻り、HR。



みんな『『最優秀出し物!最優秀クラス獲得!おめでとう!!』』


クラス大盛り上がり!!


ここも宏介司会

宏介『楽しかったこの女王体制ごっこもこれでおしまい!

明日からは受験に備えてみんなで頑張ろう!



名残惜しいけど最後に女王に締めてもらうね?

女王!』



ええ?私?

何を言えば良いのかしら?思ったままでいいのよね?宏介に確認する。





千佳『みんなありがとう。


いっぱい考えたけど、この言葉だけ。





『みんなで良かった。』』




その一言を言うとみんな一斉に泣き出した。

声を出すもの、顔をぐちゃぐちゃにするもの、泣いてない者も泣いてる子を見てもらい泣き。

5分ほど、みんなで泣いた。

これが最後のイベント、皆痛感しているこれが中学最後のイベントだったんだって。

でも素敵よね?泣いて惜しむ繋がりって。

もうこのメンバーで体育祭も文化祭をすることは無い。

酔った言い方だけど私たちの幼馴染イベントはこれでおしまい。

これからは受験戦争から高校生へと道は続く。




さて、片付けタイムからの後夜祭よね?

最後にあれやりたい!って男子が言い出す。

ああ!あれ?

あれ腹立ったもんよ?ああ!



勝鬨をあげよう!って事になった。


でも結局この1勝だけだしな?合唱コンクール、課題発表も取られてるしな?

最強は確かに1組かな?悔しいな?

なんかいい言葉ない?

このあとの青井の一言に満場一致で決定した。



青井『では!

ご唱和ください!




学年最高!3年3組!!』



『『学年最高!3年3組!!!!』』


おおおおおお!!!



体育祭の時の『学年最強!3年1組!』に対する細やかな意趣返し。

玲奈受け取ってもらえたかしら?

私のクラスが【最高】だ!私は胸を張って言い切ったの。

ありがとう、みんな!








□ □ □ □

長かった文化祭の結果が出ました!

ここからそれぞれの結果の受け止め方の話になっていきます。


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