第124話 望のステージ【side香椎玲奈】

そうして朝を迎えた。

お姉ちゃんにお礼を言い、学校へ早めに向かう。

小幡ちゃんとはしばらく別登校の約束をしているからもう先に行ったと思う。

昨日までジュリエットに引っ張られてたせいか今日は景色が違って見えた。

登校時早歩きしながら不安と緊張、それを宥めてすかして自分に馴染ませようとする。



かなり早めに教室に着いたよ。

そっと昨日書いた手紙を承くんの引き出しに入れる。

(気づいてくれるかな?)



早めに来てくれた衣装係とフィッティングの相談をする。

出し物は今日AMから順番に行っていく。私たちはPMの半ばすぎ頃。大トリがライバルの3−3。

生徒票、一般票、教師票の投票で決まる。

課題発表は各教室の壁に張り出され、先生票で決する。

各教室内には書道の題字や美術の絵、技術で作成した灯籠など展示されてる。

吹奏楽部は昼にステージがあったり、道場ではバザーやってたり楽しい催しもの盛りだくさん!

合唱コンクールが明日PMに行なわれ、合唱コンクールは全員参加、見学なので終了後そのまま各部門表彰式へ続き、後夜祭で締まる感じだね。


今日は午後までは各クラス出し物を確認して、各教室を見学したりしてPMから出し物って日程。

AMはフリー。

出し物は今日しか見れないから今日は基本出し物を見たい!

出来れば承くんと周りたいけど…出し物で少し前から最終調整やフィティングするから午後開始位から控え室で缶詰になるだろう。



クラス順番になるから先陣は1−1。望ちゃんのクラスだ。

(怒られるかもだけど見に行こう。許されないけど謝ろう。)



そして定時になり、HR。

今日の日程や注意事項が伝達される。

その後体育館へ行き全校集会が始まる。

校長先生の挨拶の後、生徒会長の挨拶が続き、いよいよ文化祭の開幕が宣言される!



文化祭が始まる!




体育館で解散し。15分後校内放送で一般公開開始が伝えられる。

時間ごとにクラスに常駐する生徒が居て、課題発表の説明や、防犯、緊急時用に誰かしら待機してることになってる。


各部でなんかしてるとこはそこも分担。

文化祭本部委員は巡回してトラブルや急病人居ないか目配りして写真撮って回ったりしてるね。

活気があって本当にお祭り気分!

私もいろんな人に一緒に回らない?って誘われたりしたけどごめんね?ってみんな断ったんだよ。


10:00 1−1のステージが始まる。1−1は歌のステージだって

最初はアジアテイストの男子六人が2曲歌って踊って。

そのあと、アイドルグループっぽい八人くらいの女子が聞いたことある曲を歌う。

(可愛いなあ。でも、望ちゃん居ないなあ?)



『玲奈、望ちゃん居ないね?』


『小幡ちゃん?うんそうだね?』



めずらしい。こうゆう時意識してくるのは大体小幡ちゃんで、見かけてもナーバスになっていて話しかけてこないのに?


『あの子出し物のセトリで揉めてるって言ってたけど干されたのかしら?』


『そうなの?』


『聞いてないの?』


『望ちゃんと今ちょっと…。』


小幡ちゃんがすごい驚いている。

まあ普通私はそうゆうトラブル無いタイプだからね。


女子たちのグループが終わった。

半分過ぎたしそろそろかな?


五人の女子と男子が数人出てきた。

これがメインだ!って華やかさ!






※また実在する歌や歌詞が出ます、もし注意があればすぐ書き直します!あるは角田さんも、ももクロも大好きです!




ももクロだ!

衣装でわかるよね!


あ!承くん!承くん居た!!

小幡ちゃんに断り隣へ!


『隣良いかな?』


『え?香椎さん!良いけど…?』


周りを気にしてる、少しだけだから!って


五人は『いくぜっ!怪盗少女』『走れ!』を歌った。

えび反りは望ちゃんがやってた!



『望ちゃん上手いね!』


『小さい頃アイドルか武将になるって言ってた。』


『お兄ちゃんと一緒じゃない!』



ふふふ!最初ぎこちなかったけど2曲終わる頃にはもういつもの様に打ち解けていたよ。久しぶりでほんと嬉しいっ!



望『3曲目なんですけど、ここから私の趣味です。

よろしくね♪

PUSH!!』



パチンってウインクして望ちゃんがセンターになる。

バックの男子は散開して気合入れてる。



(知らない曲だなあ…?)

※望ちゃんいいぞって方は要検索!


ももクロは元気でパワフルな曲が多い。

この曲もそんな曲みたい!



♪〜!!


『歓声に沸き立つスタジアム!強いものが勝利を掴む!

悔しい思いは砂を噛む♪』


歌詞が骨太!!



望ちゃんのソロパート!

『ねえ、深く息を吸いこんだら

ねえ、指でそっと触れるだけで

ねえ、まるで奇跡起きちゃうようなボタンがあるんだ!』



目が離せないっ!



『『『もっと速く!もっと強く!もっと美しくなる!!

このボタン押したら2度と戻れなくても良い!


もっと高く!もっと遠く!!

もっともっともっともっと!!!』』』



『熱い!!』


私は熱に思わずつぶやく。

望ちゃんは中1とは思えないほどパワフルにセクシーに見えた。

足を捲り上げていてすっごい足長く綺麗に見えるんだけどそんなに見せていの?!って心配になっちゃうよ!



『熱い!兄ばかだけど!』


承くんもつぶやく。


終わり近くの歌詞もなんか胸に刺さる


『『このボタン押したら何もかも!

友達の時のようじゃいられなくなる!

恋しくてたまらない!それでいい!

PUSHしちゃう!』』



(私にもそんなボタンあるのかな?

あったらPUSHしちゃう。)



PUSHが終わった。

曲調が変わる?



望『漢花!!!』


望ちゃんはめっちゃロックな雰囲気で言い切る!

あ!体育祭の応援歌の系譜だこれ!


『おりゃおりゃおりゃおりゃどかーん!!』


テンポ良く、小気味よく!そして漢らしく!

ステージを5人が跳ね回りながら歌う!楽しそ!


『『見上げてみろよあの空よ!

たとえどんなに雨だって!晴わたる蒼天やってくる!!

散ってこその桜花!!

傾いてこその漢花!!!』』



いちいち歌詞が男らしい。

隣の承くんがうっとりしてる。


『漢語りしたい。』


なんかぶつぶつ言ってる。もう最後の曲なのかな?



望『よっしゃあ漢唄!!!!』



『『漢!漢!漢!が燃える!

それが定めよ!漢!!』』



(あ!完くんと最後まで迷ってた曲だ!!)


『『槍もて!弓持て!法螺を吹け!!

戦は漢の花舞台!!』』



勇壮な響きと男感ふれる歌詞で気持ちが高揚する!



『舞って見せようぞ傾き舞!』



バックダンサーの男子も高揚してるのが見える。

5人も漢らしく格好いい!

私も歌いたい!



望『おりゃおりゃおりゃおりゃ!よっしゃああああ!!!』



しん。


歌い終わり、一瞬静まる体育館、制限時間約2分残し。

オーバーは点数にペナルティだからベストの時間配分だね。


はあ、良いステージだったなあ…って余韻に浸っていると、







♪♪〜



ん?まだあるの?


聞き覚えある前奏だよ?

体育祭でやった『修羅の果てまでも』だ!



えーいえーいおー!

えーいえーいおー!


GO GO GO GO GO GO 轟!!




どんどこ太鼓の音がボルテージを上げていく。



望『はいやーーー!!!』



カッコいい、イントロからの?


望ちゃん!超ドヤ顔!!





望『轟け!!!!』

バシャン!!!

幕がすごい勢いで降ろされた…。


中から聞こえる…

『なんで最後無理矢理詰め込んだの!音楽係も望ちゃんの言うこと聞いちゃダメって言ったでしょ!?』

『え?望ちゃんが委員長の許可もらったって?』

望『イケると思ったんだけどなぁ?』




どっっ!!!!

体育館は大爆笑!!

私も涙出そう!承くんと大笑いしながら、どさくさに紛れて手を繋ごうと手を伸ばす!

…でも私は手を繋げなかった…。

私にそんな資格無いよね…。




アナウンス『1−1出し物お疲れ様でした!

なお持ち時間超過のため点数にペナルティがつきます。』




どっ!!!

さらにオチがついて観客大ウケ!!


『歌とコントかあ、いや面白い!』

『ペナルティ付いて可哀想だし、投票しよう?』


全校集会直後の一発目だから生徒の観客は多分最大値。逆に一般客はほぼ居ない。これがどう出るか?

ただ難しい一発目をバッチリ盛り上げた1-1に対する評価は高い。




(どうしよう、すっごい面白かった…!)

多分この後出てくる望ちゃんに笑顔で語りかけて良いものか躊躇う。



望ちゃんは誰よりこの祭りを楽しんでいた、私は楽しみにしながらも楽しんでいなかったなあ。真剣にやる!とか勝つ!だけじゃない、楽しまなきゃ!だよね?





あ、望ちゃん出てきた。


望『あー、気持ち良かったあ♪』


委員長『望ちゃん!まだ話終わってないから!』



望『あ!兄ちゃん!どうだった?漢らしくやれてたでしょ?』


望ちゃんは私を無視して横の承くんに話かける。


委員長『あ!香椎先輩!あ、あ、あ、初めまして!1−1のクラス委員ちちゅうしてます!あ、握手してもらっても?』


私も初めまして、ステージとっても良かったね?って言いながら握手した。

それよりも…


玲奈『…望ちゃん?今ちょっとだけいい?』


望ちゃんは私の横を抜けて後ろに立ってた小幡ちゃんに向かう。


望『あ!小幡先輩お疲れ様です!美女と野獣やるんですよね?

絶対に観に行きます!頑張ってくださいねー!』


これくらいは仕方ないよ。もう一度だけ。



玲奈『望ちゃん、今ちょっとだけいい?』


心底迷惑そうに、


望『ちっ!うるさいなあ、兄ちゃんと私に近寄るな。

エロガッパ!』



(エロガッパ?!)

エロガッパってなに?!エロい河童?


私を刺すような視線で見る望ちゃん。

…言い訳のしようもないよ。


玲奈『…ごめんね、今度時間ある時にお話ししようね?』


承『望!口のきき方!!』



私は急いで承くんを止めた、いいの、これは私と望ちゃんの話だから!って。家でも蒸し返さないようにお願いして、承くんと望ちゃんの邪魔しないよう私はこの場を立ち去ることにした。


玲奈『手紙読んでくれたかな?』


承『うん、ロミジュリの前に会いに来て欲しいって書いてたよね?』


玲奈『うん、絶対最高の舞台にするから最後に一押し、勇気が欲しい。

別に変なことしないよ!だってきっとみんな居るし。』



承くんは、絶対行くから頑張ってね?って言って望ちゃんのところへ戻った。

私も行こう。


まだ早いけど承くんに会って、話しが出来たからもう最後のピース以外全て揃った。


ん、小幡ちゃん?

小幡『午前どう過ごそうかって思ってたけど、玲奈の顔見たら昂ってきちゃった!

私、もう準備に入るわ。』


玲奈『…私も。全力で行くよ。』



私たちは別れた。





私はゆっくり集中を始めながら各展示を見て周り、美術室へたどり着く。

昨日のお姉ちゃんとの練習を思い浮かべながら。


お姉ちゃんの秘策は単純だった。


『ジュリエットの『魂』が使えないなら、玲奈の『魂』で行くしかないでしょ?ロミオに惹かれるシーン、ロミオに夢中なシーン、ロミオを失うシーンなんでも承くんで当てはめて演じるしかないでしょ?』



『私の男の子を好き!って気持ちはそれしか知らない、それしか出来ない。』


『そうそう、選択肢なんて無いの!

その上で承くんに会って、充電かつ、あなたを想って演じるって宣言しなさい。』



『せんげん!!!』


『これで緊張感、本気、魂全部補えるよ!

もうこれは告白みたいなもんだよね。』



ニヤニヤしながらお姉ちゃんは言った。

私…できるかな?いや、できるかなじゃないやる!



私は自分への最後の一押しに承くんに来てもらう。

そこで伝える。

私は『承くん』を想いながら演技する。

承くんは自分がロミオだって気持ちで観てて欲しいと。


そしてもし勝てたら明日の後夜祭で聞いてもらいたいことがあると。


午後になった、

メイクはせずにドレスだけ着付けて集中してる。

もうすぐ、もうすぐ承くんが来てくれる。


□ □ □ □

しばらく香椎さんメインで話が進みます。

もしここまで読んでくれた方は承くんや玲奈さんと一緒に文化祭回ったり準備して本番に望む気持ちで読んで見てください(笑)


いよいよ本番が始まります。

次回、うまく承くんに説明できるかな?

よろしければお付き合いください♪


♡、☆是非お願いします!!

コメント、感想是非お寄せください!

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